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絵本の話を中心に、好きなもの、想うことなど。

嘘つきアニェラ

2011-02-08 12:00:33 | 好きな本
ムシェロビィチ本の4冊目↓を、読み終わりました。
嘘つき娘‥って、かなりインパクトのあるタイトルですよね?

嘘つき娘


ポーランドのポズナンの町を舞台に、今回の主人公はアニェラ(15歳)です。
主な登場人物の欄の2行目、アニェラの横に、フラニャという「お手伝い」の少女の
名前があって、最初のうち何度もここを見返して、フラニャという子はどこで
出てくるのだろうと思っていました。

主人公のアニェラはすごい行動力の持ち主で、頭の回転がとても良いのです。
そしてお芝居が(読むのも演じるのも)大好き。

ひと目惚れになった男子のあとを追いかけて、その子と同じ町の、すぐ近くの家へ
住む方法を考え出し、その後、多少の成り行きもありますが、名前を変えて
その男子の家の「お手伝い」に「変身」してしまったり‥。

決断したら、実行するのみ、です。

誰かをすこし傷つけることになるかもしれないとか、誰かがその結果
寂しくなるかもしれないとか、それがほんとに正しいことなのかとか、
そういう自問自答は、どこかの棚に預けてあるのでしょう‥おもしろいように
アニェラの口からは、本当のことも、そうでもないことも、同じようにどんどん
出てきます。

でも、読んでいて、アニェラのことを嫌な子だなあとちっとも思わなかったのは、
親友のカーシャへの手紙に、アニェラの気持ちが表われていたからかなと思います。
手紙のやりとり、とてもよい効果を出していると思いました。

そして、この物語も最後はクリスマスの日で終わるのですが‥
アニェラが「ただの嘘つき娘」ではなく、経験したことをちゃんと自分の成長の糧に
したことがわかり、しみじみ嬉しい気持ちがこみあげます。


ハムレットを無事演じ切った彼女が、帰り道にこう思うところがあるのです。

  “シェークスピアってすごい”凍結した歩道にこつこつと靴音を
  響かせながらアニェラは考えた。“みんなに好かれていると実感できると、
  良い人間でいるのが簡単になる”ともアニェラは思った。


なんか、これって人間関係の基本だなと思ってしまいました。





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2 コメント

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ぱせりさんへ (ruca)
2011-02-10 16:14:35
こんにちは。

ノエルカの方を、私は先に読んでいるので
あの大人びたサンタクロースに扮した青年の
幼少期はこんな感じだったのか、と驚きました。

ボレイコ家のガブリシャの娘たちとおなじくらい
手に負えませんね~笑。

10年経つと、子どもたちはみんなそれなりになっていき
へえーって感じです。
本の中では10年はあっという間ですが、リアルライフの
私の周りに居る子どもたちも、ちょっと離れた場所から
見れば、こんなふうに成長しているのでしょうか‥

おっと、その前に、自分自身はこの10年で
どう変わったのか、変わらないのか‥ですね。
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Unknown (ぱせり)
2011-02-09 07:04:31
おはようございます。
このシリーズで初めて読んだのがこの本だったので、一番印象に残っています。
登場人物の名まえと関係を確認するために、何度も登場人物の紹介をみました。
そして、そうそう、フラニャ、わたしもいつ出てくるんだろう、とずっと気になっていました。

アニェラ、憎めないですよね。自分の目的のためになりふり構わず突き進むエネルギーは気持ちいい、とさえ思えました。

わたしは双子が好きでした。トムチョが『ノエルカ』で素敵な青年に成長しているのに出会ったときはうれしかったです。
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