お天気に恵まれたシルバーウィークまっただ中の昨日、
高校時代からの友人と、港の見える丘公園内にある、神奈川近代文学館へ
行ってきました。
まるごと佐野洋子展
特別に、佐野洋子さんのファン、というわけではないのですが、
なんかこれは観ておかないと、という気持ちで気になっていました。
展覧会のタイトルに「まるごと」とあり、サブタイトルは
「100万回生きたねこ」から「シズコさんまで」。
ほんとにその通りで、とても見応えがありました。
年代ごとに分かれている展示とその誘導のしかたも、わかりやすく、
原画と、テキストの比率は半々くらいの印象がありますが、
手書き原稿や、束見本(本の原型のような、紙の束)がずっと昔のものも
大切にきれいに保管されていたのだなーと思いました。
佐野さんが飼っていた歴代のねこの写真もあり、「100万回~」のモデルに
なったねこも見ることもできます。
ねこを飼おうと思ったいきさつを、友達のうちのねこをかわいがる息子を
見て、自分の知らなかった息子の一面に軽く嫉妬し、ねこが可愛い、可愛がりたい
というよりも、そういう息子を見ていたくなったから、と書いてあったのが、
とても印象に残っています。
私は、佐野洋子さんの絵本では、有名な「100万回~」とか「~のかさ」とかを
家で何度も何度も読んだ、というわけではなく、「こどものとも」で、どなたかの
テキストに絵を描かれていたものを覚えているといった感じでした。
一時期エッセイは何冊か続けて読んだ記憶があり、とてもさっぱりと、すぱっと
書くことができる人なんだという認識でした。
それよりも強く印象に残っているのは、ずいぶん前、詩人の谷川俊太郎さんの
特集番組(武満徹さんの番組?)を観ていた時に、奥さまとして所々に出ていた
佐野さん。観ていた時はその方が佐野洋子さんだとは知らなかったのですが、
後から思い返してみればそうでした。
谷川さんと再婚されたのが、洋子さんが52歳の時なので、番組内で観た時や、
今回の展示会場の中にあったビデオのインタビュー時は、ちょうど今の私くらいの
年齢だったのかと思い、なんか感慨深かったです。
今回あらためて、佐野さんの手がけた作品の原画を見て、読んでみよう、
読み返してみようと思う絵本が何冊もありました。
エッセイも未読のものがたくさんあって…「ひとり佐野洋子まつり」が 始まり
そうです。
(早速図書館で、児童の書棚に残っていた2冊を借りてきました)
そうそう、展示の中の晩年のコーナーで、愛用のメガネがガラスケースに
納められていました。
すぐに見失ってしまうので、メガネはたくさん持っていたとか。
ご自分で作られたメガネケースもふたつありました。
手書き原稿や、愛用のエッチングの道具よりも、私はそのメガネを見た時に
佐野洋子さんという人の不在をとても強く感じ、どんなに立派なお仕事を
成し遂げた方であっても、生きていてこそ、と思う気持ちを拭えませんでした。
展覧会は27日、今度の日曜日までです。