もう2週間くらい前ですが、今年初めての『開き読み』がありました。
この季節に読みたいのは、やはり雪のお話ですが、それと並んで、なんとなく「鬼もの」も気になります。
3年生のクラスだったので、 『だいくとおにろく』いいかもと思っていましたが、図書館へ行く時間がなくって‥。でも、家の本棚から↓の絵本を見つけました。
うちにも、いい「鬼もの」があったのでした。
『まゆとおに』
富安陽子 文 降矢なな 絵
表紙に描かれたかわいい女の子が、主人公のまゆです。
まゆは、きたの おやまの てっぺんの さんぼんすぎのしたに、のっぽの やまんばかあさんと住んでいます。
あるひ まゆは、ぞうきばやしのおくで、
とんでもなく おおきな ひとに あいました。
まゆは、おおきなひとが、鬼だとは知らなかったので、「あなたの あたまの てっぺんに ついているのは、たんこぶなの?」と聞いたりします。これくらいの年の子どもは、好奇心の固まりですよね~。
おなかがすいていた鬼は、まゆがやまんばの娘とも知らず、「じょうちゃん、ちっと うちへ あそびに こないかね?」とまゆを誘います。大鍋で煮て、食ってやろうと企んでいたのです。
‥‥‥
無心にお手伝いをするまゆと、下心ありありの鬼とのやりとりがおもしろく、めでたしめでたしのエンディングも昔話のようでほっとします。
『まゆとおに』は、1999年4月号「こどものとも」からのハードカバー化ですが、それより前に同コンビの作品で『やまんば山のモッコたち』があったようです。説明を読むと、富安陽子さんのデビュー作と書いてありました。機会を見つけて読んでみようと思っています。
まゆのおはなしは、その後「こどものとも」2004年3月号の『まゆとりゅう』があり、第3作の『まゆとうりんこ』を、今年の2月号の「こどものとも」で発見しました。
3つのお話を並べてみると、小さなまゆと、おおきなもの‥鬼だったり、龍だったり、猪のお母さんだったり‥との対比がおもしろく、どれも、降矢ななさんの、大胆な構図のスピード感あふれる絵が、お話のおもしろさを倍増させているなあと思いました。
降矢ななさんと言えば‥私が初めてその絵の魅力を知ったのは、1998年9月号「年少版こどものとも」の『ねえ どっちがすき?』です。(2003年にハードカバー版も出たのですね)
男の子ときつねが、好きなものを選びあっていくお話ですが‥降矢さんの絵には、なぜきつねなのでしょう? 『まゆとおに』にも、場面の端々に、まゆを心配するかのようにきつねが顔を覗かせています。
『まゆとおに』について、書きたかったことは以上のようなことで、ここで終わりにしてもよかったのですが‥。この本についての、忘れられない思い出というか、想いがあって、それもこの本を選んだことの「一部」になっていると思うので記しておくことにしました。
昨年のことだか、2年前のことだか、そのへんのことはわかりませんが、小学校低学年の女の子が続けて誘拐された後、無残な姿で発見されたという事件がありました。一人の子は、たしか犯人が外国人で、もう一人の子は、犯人が写真付きのメールを母親宛てに送りつけたという大変卑劣なものでした。
私は、何も知らない無垢なまゆが、その女の子たちに重なり、言葉巧みに誘った鬼が、どうしても犯人と重なって見えて、しかたがなかったのでした。物語の世界と現実の世界が違うことはもちろんよーくわかっているし、物語の展開は、思わず笑みがこぼれる素敵なものなのに、それでもひっかかった刺はなかなか取れず、一時、この絵本を棚から取り出すことができませんでした。
昨年の開き読みのパートナーのAさんが、この絵本を読もうと思うと持ってきた時も、自分の声がいつもより低くなっているのを感じました。でも、実際にAさんが、教室の子どもたちに向かって本を読み、くすくす笑う子どもたちを見た時に、自分の心が固くなり過ぎていただけなのを知りました。余計なことを考えず、Aさんの声に耳を傾け、絵を追っていると、ほんとうにおもしろい話なのです。
それから、時間がたち‥。今回本棚から、すっとこの絵本を手に取ることができました。よかったと思っています。
この季節に読みたいのは、やはり雪のお話ですが、それと並んで、なんとなく「鬼もの」も気になります。
3年生のクラスだったので、 『だいくとおにろく』いいかもと思っていましたが、図書館へ行く時間がなくって‥。でも、家の本棚から↓の絵本を見つけました。
うちにも、いい「鬼もの」があったのでした。
『まゆとおに』
富安陽子 文 降矢なな 絵
表紙に描かれたかわいい女の子が、主人公のまゆです。
まゆは、きたの おやまの てっぺんの さんぼんすぎのしたに、のっぽの やまんばかあさんと住んでいます。
あるひ まゆは、ぞうきばやしのおくで、
とんでもなく おおきな ひとに あいました。
まゆは、おおきなひとが、鬼だとは知らなかったので、「あなたの あたまの てっぺんに ついているのは、たんこぶなの?」と聞いたりします。これくらいの年の子どもは、好奇心の固まりですよね~。
おなかがすいていた鬼は、まゆがやまんばの娘とも知らず、「じょうちゃん、ちっと うちへ あそびに こないかね?」とまゆを誘います。大鍋で煮て、食ってやろうと企んでいたのです。
‥‥‥
無心にお手伝いをするまゆと、下心ありありの鬼とのやりとりがおもしろく、めでたしめでたしのエンディングも昔話のようでほっとします。
『まゆとおに』は、1999年4月号「こどものとも」からのハードカバー化ですが、それより前に同コンビの作品で『やまんば山のモッコたち』があったようです。説明を読むと、富安陽子さんのデビュー作と書いてありました。機会を見つけて読んでみようと思っています。
まゆのおはなしは、その後「こどものとも」2004年3月号の『まゆとりゅう』があり、第3作の『まゆとうりんこ』を、今年の2月号の「こどものとも」で発見しました。
3つのお話を並べてみると、小さなまゆと、おおきなもの‥鬼だったり、龍だったり、猪のお母さんだったり‥との対比がおもしろく、どれも、降矢ななさんの、大胆な構図のスピード感あふれる絵が、お話のおもしろさを倍増させているなあと思いました。
降矢ななさんと言えば‥私が初めてその絵の魅力を知ったのは、1998年9月号「年少版こどものとも」の『ねえ どっちがすき?』です。(2003年にハードカバー版も出たのですね)
男の子ときつねが、好きなものを選びあっていくお話ですが‥降矢さんの絵には、なぜきつねなのでしょう? 『まゆとおに』にも、場面の端々に、まゆを心配するかのようにきつねが顔を覗かせています。
『まゆとおに』について、書きたかったことは以上のようなことで、ここで終わりにしてもよかったのですが‥。この本についての、忘れられない思い出というか、想いがあって、それもこの本を選んだことの「一部」になっていると思うので記しておくことにしました。
昨年のことだか、2年前のことだか、そのへんのことはわかりませんが、小学校低学年の女の子が続けて誘拐された後、無残な姿で発見されたという事件がありました。一人の子は、たしか犯人が外国人で、もう一人の子は、犯人が写真付きのメールを母親宛てに送りつけたという大変卑劣なものでした。
私は、何も知らない無垢なまゆが、その女の子たちに重なり、言葉巧みに誘った鬼が、どうしても犯人と重なって見えて、しかたがなかったのでした。物語の世界と現実の世界が違うことはもちろんよーくわかっているし、物語の展開は、思わず笑みがこぼれる素敵なものなのに、それでもひっかかった刺はなかなか取れず、一時、この絵本を棚から取り出すことができませんでした。
昨年の開き読みのパートナーのAさんが、この絵本を読もうと思うと持ってきた時も、自分の声がいつもより低くなっているのを感じました。でも、実際にAさんが、教室の子どもたちに向かって本を読み、くすくす笑う子どもたちを見た時に、自分の心が固くなり過ぎていただけなのを知りました。余計なことを考えず、Aさんの声に耳を傾け、絵を追っていると、ほんとうにおもしろい話なのです。
それから、時間がたち‥。今回本棚から、すっとこの絵本を手に取ることができました。よかったと思っています。