報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

臨時 「本日の夢日記」

2017-08-22 12:06:30 | 日記
 公休日で何も予定が無い日は、昼近くまで寝るのが最近のセオリー。
 それでも、平日は帰宅が23時というブラッキーな現場に派遣されているのだから仕方が無い。
 最近、“アンドロイドマスター”シリーズを手掛けていることもあってか、そこのキャラクター達が夢に出てきて何かやっていたので、夢日記にしたいと思う。
 “大魔道師の弟子”のイリーナ組も、見た夢は必ず夢日記にするようにという指導がなされている(予知夢が含まれているかもしれない為)。

 とある洋館内部を探索中の敷島孝夫、エミリー、南里志郎。
 懐かしいシリーズ初期の“ボーカロイドマスター”じゃね?と思った。
 洋館内部の美術室らしき部屋(学校の美術室みたいな感じではなく、ミニ美術館といった部屋)を探索中、何故か南里のケータイが鳴る。
 どうやら知り合いからの電話らしい。

 南里:「あー、どうやら私の知り合いがこの屋敷にやってくるらしい。それでだ。玄関のドアの鍵が掛かっておったな?彼が入って来れるよう、鍵を開けて来てくれんか?」
 敷島:「エミリー、メイドだろ?お前が開けて来い」
 エミリー:「イエス」
 雲羽:「お前が開けて来ないのか?」
 敷島:「俺は社長だから……」
 雲羽:「何じゃそりゃ!」

 場面はここで変わる。
 今度は何故かトーク番組に出ている敷島の収録に、私が立ち会っているというもの。

 女性MC:「婚活市場で多くの女性が“普通の人”を希望をしているにも関わらず、なかなかその“普通の人”と出会えないというジレンマが発生しているようですが、これについてどう思われますか?“普通の人”ではない敷島さんの御意見を是非と思います」
 敷島:「これはですね、女性の求める普通の定義が普通以上だからですよ」
 MC:「と、仰いますと?」
 敷島:「年々人間の質が下がっている、つまり“普通”の定義も下がっているんです。それなのに何故か女性の求める“普通”の定義は上がりっぱなし。だからですよ。私は秘書ロイドを2つ抱えていますが、はっきり言って今の“普通の人”は彼女達より劣っています。いや、何も右手からレーザービーム出せとか数万馬力の力を出せとか、そう言っているんじゃないですよ。思考がね、劣っているんですよ。勉強はできても、考え方が幼稚というか……。特に、前期型で暗躍していた方はもう1回暴走したりしたら、『下等で愚かな人間どもよ!』とか言い放ちますよ」
 MC:「ロボットにそんなこと言われるなんて、人間として心外ですね」
 敷島:「仕方が無いんです。それほどまでに我々人間の質が下がって来ているんです。いずれは彼女達の存在無くして我々の繁栄……いや、存在の維持ですら困難な時代がやってくるでしょう」

 というところで目が覚めた。
 まあ、いくら広い屋敷とはいえ、玄関の鍵をロボットに開けさせているようでは、確かに人間の質が落ちてくるわと思った。

 夢日記の戯れ言を書いた後は、すぐに本編を更新します。
 
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“Gynoid Multitype Sisters” 「夏のボカロライブ」 2

2017-08-20 19:47:23 | アンドロイドマスターシリーズ
[8月11日09:30.天候:晴 宮城県仙台市青葉区 四季エンタープライズ仙台支社・支社長室]

 敷島:「……というわけで、予定通りにセキスイハイムスーパーアリーナでライブを行いますので、よろしくお願い致します」
 内野支社長:「あ、ああ。さすがは『不死身の敷島』ですな……ハハ……」

 内野は今年度から支社長に就任した者である。
 元々は四季エンタープライズ本社の総務部長をしていたが、定期異動で支社長となった。
 四季エンタープライズでは、支社長ともなれば取締役の地位も与えられる。

 敷島:「この3連休の予定ですが、件のアリーナでライブを一発ブチかました後は、それぞれ仙台市内の色々なイベントに顔を出させるつもりです。詳細は先日送らせて頂いた資料に全て記載しております」
 内野:「え、ええ。拝見しましたよ。とても素晴らしい内容で、こちらの出る幕なんぞ無さそうな感じで……」

 内野は何故か冷や汗をかいていた。
 そして、敷島の傍らに控えるシンディをとても気にしている。
 シンディは内野の視線を感じると、ニコッと笑った。

 敷島:「お褒めに預かり、大変光栄です。何かご質問はありますか?」
 内野:「えー……あー……その……」

 グループ企業の社長と親会社の地方支社長とでは、やはり後者の方が地位が上である。
 そんな敷島が堂々としており、何故か支社長の方がいっぱいいっぱいの様子だった。

 内野:「こ、このライブなどとは関係無いのだがね……」
 敷島:「いいですよ。何でも聞いて下さい」
 内野:「こ、このロボット……もとい、キミの秘書は危険ではないのかね?」
 敷島:「と、仰いますと?」
 内野:「も、もういい!キミに今回のことは任せる!だから、私に近づけさせないでくれっ!」
 敷島:「全幅の信頼、ありがとうございます。必ずや、成果をご覧に入れます」

 シンディに恐怖している?何故だろう?

[200×年秋(東京決戦の日)15:30. 東京都中央区某所]

 内野:「ひいいっ!た、助けてくれーっ!」

 内野はバージョン2.0と3.0に取り囲まれていた。

 シンディ(前期型):「へえ……。敷島孝夫の関係者を捕まえたって?どこだ?」
 2.0:「キュルキュルキュルキュル。(こちらでございます)」

 バージョン2.0は喋ることができない。

 内野:「ち、違う!私は敷島孝夫なんて知らない!」
 3.0:「嘘ヲツクナ!サッキ電話デ、『敷島孝夫は社長の甥です』ト言ッテイタデハナイカ!」
 内野:「か、かか会社でのことだ!直接は知らない!」
 3.0:「シンディ様!コイツハ敷島孝夫ノ居場所ヲ知ッテイマス!」
 シンディ:「ほお?どこだい?」
 2.0:「キュキュキュキュ!」

 バチィッ!(内野に電気が流される)

 内野:「はぐわっ!」
 シンディ:「あー、こいつはバカロボットでねぇ!状況判断ができないのさ。アタシの知りたいことに素直に答えないと、今度は電流上げるかもねぇ!」
 2.0:「キュキュキュキュ!」

 2.0、両腕を交差させる。
 そこから電流が発生しているのが分かる。

 内野:「お、大手町だ!大手町にいる!これでいいだろう!」
 3.0:「シンディ様!」
 シンディ:「大手町か。財団もバカばっかじゃないのね。それとも、ドクター十条の頭がいいのかしら?」
 内野:「す、素直に喋ったんだ!助けてくれ!……助けてください!」

 内野、這いずって懇願するようにシンディのロングスカートの裾を掴む。
 シンディ、ギラッと両目を光らせた。

 シンディ:「下等で愚かな人間よ!この我に不遜な行為をするとはいい度胸だ!」

 そして、右手をマシンガンに変形させる。

 シンディ:「蜂の巣にしてくれるわ!!」

 と、どこからともなく歌が聞こえて来た。

 シンディ:「こ、この歌は?」
 3.0:「ウウ……ア、頭ガ……!」
 シンディ:「初音ミクの歌!?……しまった!この歌は電気信号を!おのれ!歌うだけの人形の分際で!!」

 シンディの引き連れているバージョン2.0と3.0の軍団が、次々と強制的に電源を落とされていった。

 内野:「お、お助けーっ!」

 内野、慌てて逃げ出す。

 シンディ:「これで許してやるよ!」
 内野:「あぎゃーっ!!!」

 シンディ、マシンガンからハンドガンに切り換えて内野の肩に一発打ち込んだ。

 シンディ:「くそっ!南里研究所の連中め!1度、日比谷公園で立て直しだ!」
 内野:「ううう……」

[2017年8月11日10:00. 天候:晴 JR仙台駅・在来線ホーム]

 シンディ(後期型):「内野支社長、東京決戦の時は、前期型の私が申し訳ありませんでした。深くお詫び申し上げます」

 シンディは深々と頭を下げた。

 敷島:「支社長、何度も申し上げましたが、あなたを傷つけた方のシンディは、後で財団が捕らえて『死刑執行』しました。ここにいるシンディは似て非なる者です。……贖罪の為に、前期型時代のデータをそのまま引き継がせていますが」

 東京多摩地区にあるスクラップ工場に連行された前期型シンディは、そのままスクラップされて死刑執行された。

 内野:「本当に、大丈夫なんだね?」
 敷島:「私の目の黒いうちは、私が保証しますよ。彼女の活躍ぶりは、あなたも知っているでしょう」
 内野:「むむ……」

 ということがあった後、敷島達は仙台駅に移動した。

〔本日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。1番線に停車中の列車は、10時5分発、普通、利府行きです。発車まで、しばらくお待ち願います〕

 かつては寝台特急“北斗星”や“カシオペア”が発車していたホーム。
 その長大編成に対応した長い有効長を抱えるホームだが、今ではたった2両編成の701系が停車しているだけだった。

 敷島:「内野支社長に直接謝れて良かったな」
 シンディ:「でも、あまり納得されている様子ではありませんでした。土下座した方が良かったでしょうか?」
 敷島:「却って見苦しいだけだし、それに前期型と後期型は違うという意味も示したかったしな」

 シンディはホームの自動販売機で買った缶コーヒーを敷島に渡した。

 敷島:「ああ、ありがとう。贖罪は、まだ終わらないということさ」
 シンディ:「はい」

 敷島はロングシートしか無い電車のドア横に座った。
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“Gynoid Multitype Sisters” 「夏のボカロライブ」

2017-08-20 12:40:39 | アンドロイドマスターシリーズ
[8月11日08:10.天候:晴 仙台市地下鉄泉中央駅]

 駅前のバスプールに地元の路線バスが到着する。
 東京でも当たり前のノンステップバスで、前扉の大きなグライドスライドドアが両側に開いた。

〔「泉中央駅です。ご乗車ありがとうございました」〕

 運賃距離制なので、前扉から運賃を払って降りるタイプ。

 敷島:「大人4人で」
 運転手:「はい、ありがとうございます」

 バスを降りた後でエミリーが言った。

 エミリー:「これは経費で落としますか?」
 敷島:「いや、いいよ。路線バスの運賃くらい。領収証が出るタクシーだけにしといてくれ」
 MEIKO:「領収証切れるヤツは経費にするのね」
 敷島:「……っ、悪かったな」
 ミク:「電車代もですか?」
 敷島:「通勤電車の運賃くらい俺が出すよ」
 MEIKO:「領収書切れないから?」
 敷島:「そう。……って、コラっ!」
 MEIKO:「ハハハ、自白した。いいから行きましょう。KAITO達、もう仙台駅に着いたみたいよ」
 敷島:「おっ、さすが新幹線の始発は早いな」

 エミリーはそう話している間に、4人分の乗車券を購入していた。

 エミリー:「どうぞ」
 敷島:「おっ、ありがとう」

 乗車券を手に、来た道を引き返す。
 ホームに降りると、次の電車が発車を待っていた。

〔お知らせします。この電車は、富沢行きです。発車まで、しばらくお待ち願います〕

 エミリー:「井辺プロデューサーに連絡しておきました。レンタカーの手配があるので、ゆっくり来てくださいとのことです」
 敷島:「まあ、そうだろうな」

 こう聞くと、今からレンタカーの手配をしているように聞こえるが、実際はちゃんと予約している。
 要は先ほど新幹線で着いて、これからレンタカー屋に向かっているということだ。

〔「ご案内致します。この電車は8時18分発、各駅停車の富沢行きです。お待たせ致しました。まもなく発車致します。ご乗車になりまして、お待ちください」〕
〔2番線から、富沢行きが発車します。ドアが閉まります。ご注意ください〕
〔「ドアが閉まります。ご注意ください」〕

 ホームドアのチャイムが札幌市地下鉄と同じというトリビア。
 恐らく、メーカーが同じなのだろう。

 敷島:「あ、俺、朝飯食ってねぇ」
 エミリー:「支社長と面会まで少し時間がありますから、先に朝食を取っては?」
 敷島:「うん、そうするか。どうせ向こうも、先に朝礼するだろうし」

〔この先、ポイント通過の為、電車が大きく揺れますのでご注意ください。次は八乙女、八乙女です。バスご利用の方は、バスプール方面出口をご利用願います〕
〔The next stop is Yaotome station.〕
〔日蓮正宗妙遍寺へは、次でお降りください。また、日浄寺へは北仙台、仏眼寺へは愛宕橋、冨士大石寺顕正会仙台会館へは、終点富沢駅でお降りください〕

 ↑宗門や顕正会も、せめてこれくらいのPRやろうよ。街頭折伏よりもさ。法道院もせっかく三門前に都営バスと西武バスの停留所があるってのに、広告の1つも出さねーで……。広告費なら、全額はムリだが御供養するよ。因みに創価学会では、会館の名前をバス停名にしているくらいである。創価学会でもやってるんだから、これくらいやんないと。広宣流布なんか無理だよ。

[同日08:45.天候:晴 宮城県仙台市青葉区 某レンタカーショップ]

 電車が到着して敷島達は急いでレンタカーショップに向かった。
 場所はエミリーが知っている。
 シンディがそこにいる為、互いの位置情報を把握している為だ。

 鏡音リン:「あっ、社長!遅いよ!」
 敷島:「悪い悪い!」
 井辺:「社長、おはようございます」

 井辺が挨拶すると、最初に文句を言っていたリンも含め、ピッと背筋を伸ばして、
「おはようございます!」
 と、挨拶した。

 敷島:「無事に仙台入りできたな。といっても、会場は市外なんだが。車は用意できた?」
 井辺:「はい。ハイエース1台で間に合いました」
 敷島:「ありがとう」

 一番定員の多いコミュータータイプだ。

 井辺:「衣装などは既に、業者委託で会場に送ってあります」
 敷島:「よし、分かった」
 井辺:「いつでも出発できますので、どうぞお乗りに……」
 敷島:「あ、いや。悪いが、先に出発しててくれ。俺は後で行く」
 井辺:「と、仰いますと?」
 敷島:「東北を拠点にしている四季エンタープライズの仙台支社長に挨拶してくるさ。同族企業とはいえ、下請けが仕事させてもらうんだからさ」
 井辺:「なるほど。そういうことですか。しかし、既に内野支社長とは話が付いているはずでは?」
 敷島:「だから、改めて挨拶に出向くんだよ。グループ内でも、ボーカロイドのライブに疑問を持つ人はいるからさ」
 井辺:「分かりました。どこかで待ち合わせしますか?」
 敷島:「いや、そのまま会場へ向かってくれ。俺も電車とタクシーで向かうからさ」
 井辺:「分かりました」
 敷島:「まあ、もうKR団もいなくなったことだから、後は事故にだけ気を付ければいいと思うけどな」
 シンディ:「私はこのまま一緒に乗って行けばいいですか?」
 敷島:「そうだな。……いや、ちょっと待て」

 敷島はニヤッと笑った。

 敷島:「ここでエミリーとチェンジだ。エミリー、お前は井辺君達に付いて行ってやってくれ」
 エミリー:「は?……はい、かしこまりました」
 敷島:「シンディ、お前は俺と来い。一緒に挨拶しに行くんだ」
 シンディ:「は?……はい、かしこまりました」
 敷島:「よし、これで準備OKだ!皆、俺も後から行くから気をつけて行けよ。くれぐれも関係者の人達に失礼なことするなよー?特に、リン!」
 リン:「ふぁい!?」
 鏡音レン:「だ、大丈夫です。リンのことは、ボクが見てますから!」
 井辺:「では、お先に失礼します」

 エミリーが助手席に乗り、運転手役の井辺が車を走らせた。

 シンディ:「社長?どういうことですか?」
 敷島:「リンに『イタズラはやめろ』と言っておきながら何なんだけど、ちょっとした悪さを思いついた」

 敷島は相変わらず笑みを浮かべたままだ。

 シンディ:「私に何かさせるつもりですか?……まあ、汚れ役ならいつでも引き受けますけど」
 敷島:「いや、そうじゃない。お前はあくまで、俺の秘書として振る舞ってくれればいい。いつも通りにな」
 シンディ:「はあ……」
 敷島:「よし。ちょっとまだ時間がある。俺はまだ朝飯食ってないから、先に食べてから行くぞ」
 シンディ:「はいはい。えー、この近くにモーニングの取れるお店は……」

 一体、敷島はシンディに何をさせるつもりなのだろうか。
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“Gynoid Multitype Sisters” 「南里研究所」 2

2017-08-19 21:41:50 | アンドロイドマスターシリーズ
[8月11日06:45.天候:晴 宮城県仙台市泉区のぞみケ丘(架空) 旧・南里ロボット研究所]

 建物の入口までやってくる。
 あまり手入れされていないせいか、白い壁がかなりくすんでいた。

 敷島:「ほとんど倉庫みたいなものだからな。それも、月に1回誰かが来るか来ないかってところか」

 敷島は口元を歪めながら鍵を取り出した。
 DCJ仙台支社の所有でありながら鍵を持っている理由は、敷島エージェンシーもこの倉庫を借りているからという表向きである。

 エミリー:「もし敷島エージェンシーがもっと大きくなって、仙台に支社を作ることになったら、ここなんかどうでしょうか?」
 敷島:「おっ、いいねぇ。DCJさんなら格安で貸してくれるだろう」

 玄関の扉を開けると、バージョン4.0が出迎えに来た。
 侵入だと分かれば攻撃してくるだろうが。

 敷島:「おはようさん、分かるか?」

 敷島はバージョン4.0の両目に顔を持って来た。
 あっという間に虹彩から何からスキャンしてしまう。

 4.0:「おはようございます」

 4.0は敷島に向かってペコリとお辞儀をした。

 敷島:「認識できたみたいだな」
 MEIKO:「できなかったら、エミリーにボコされるわよ」
 敷島:「それもそうだな」
 4.0:「エミリー様!?」

 4.0はバッと伏せ拝を行った。
 伏せ拝というよりは、江戸時代御三家の大名行列に遭遇した民衆のような感じ(尚、外様大名の参勤交代の場合、他国の民衆は道を開けるだけで良く、伏せ拝の義務は無かったという)。

 MEIKO:「エミリー、神降臨扱いになってる」
 エミリー:「ああ、別にいい。顔を上げて良い」
 敷島:「『苦しゅうない。面を上げい』だな」
 4.0:「ハハーッ!」
 MEIKO:「ところで、アタシ達に挨拶は?」
 4.0:(;一_一)

 どうやら必死にメモリーを検索しているらしい。

 MEIKO:「あれ?アタシら、有名なの東京だけ?」
 敷島:「そんなはずは無いんだが……」
 4.0:「ピーッ!」

 どうやら認識が完了したようである。

 4.0:「姉チャン、エエ乳シトルヤンケ

 ムニュムニュとMEIKOの乳を揉む4.0。

 MEIKO:「わあっ!?このヘンタイ!どヘンタイ!セクハラ!キモッ!ガラクタ野郎!!」

 ボーカロイドに武力は無いとはいうが、それは銃火器や刀剣類などが装備されていないという意味である。
 MEIKOのアイアンクローが炸裂。

 4.0:「ピー……!」
 敷島:「やるなぁ、MEIKO」
 エミリー:「私の護衛は要らないようだな」
 MEIKO:「冗談。こいつらが機銃掃射してきたら護衛頼むよ」
 エミリー:「他機にモノを頼む態度ではないな」
 初音ミク:「MEIKOさん、ちょっと乱暴ですよ。バージョンさんは認識阻害が起きただけですよ」
 MEIKO:「だからって、タダでオッパイもみもみされちゃーね……」
 敷島:「誰がいつ、『金払えばお触りOK』っつった!?」
 4.0:「ソウヤソウヤ!スカートめくりナラエエンちゃうんカ?」

 バッと4.0、今度はミクのスカートを捲り上げる。

 ミク:「きゃあっ!」

 初音ミクのパンツと言えば緑と白の縞パンと相場が決まっていると思ったそこのあなたは通ですが、もしあなたがフィギュアをお持ちなら、是非ともスカートの中を覗いてみてください。

 4.0:「白ヤ、白!清純ナ純白ヤ!」

 必ずしも縞パンとは限りません。

 エミリー:「社長、こいつ裏の崖に吊るしておきます」
 敷島:「ああ、そうしてくれ」

 研究所の裏手は10メートルの崖になっており、その下はバスの折り返し場がある。
 この折り返し場から研究所にアクセスすることも可能。
 但し、車道と違って全て階段である。
 敷島が初めてこの研究所を訪れた時はこっちのルートだった。

 MEIKO:「大丈夫?お尻とか触られなかった?」
 ミク:「はい……」
 MEIKO:「人間ならいくら触られてもしょうがないのに、あんなロボットに触られるなんて……」
 敷島:「いや、その考え方も辞めた方がいいぞ」
 MEIKO:「もちろん、社長ならお触りOKですからね」
 ミク:「わ、わたしもです」
 敷島:「あー、そりゃありがとう。それだけ信頼してくれてるものと受け止めておくよ」

 敷島は大きく左手を振った。

 敷島:「それよりここに来たのには理由がある」

 エントランスホールには、アップライトピアノがある。
 ただのピアノではなく、楽譜を置く場所にモニターが設置されている。
 要は電子ピアノなのである。

 敷島:「エミリーが戻ってきたら早速弾いてもらおう。そんで、お前達にはそれで歌ってもらうから」
 ミク:「何をです?」
 敷島:「ミクは“オホーツク旅情歌”、MEIKOは“モーニング・ブルース”だ」
 ミク:「わたしはもうその歌はインストールされてますよ?」
 MEIKO:「同じく」
 敷島:「お前達が、じゃない。エミリーがだよ」
 MEIKO:「エミリーが?」
 敷島:「エミリーには護衛以外にも仕事があるってことさ」

 エミリーが戻って来ると、敷島は早速エミリーにピアノを弾かせた。
 音源については既にピアノの中に入れてある。
 エミリーはその音源データを読み取って、その通りにピアノを弾けば良かった。

 MEIKO:「いやだよモーニン♪夜明けが来なきゃ〜♪」

 MEIKOが自分の持ち歌を歌い終わると、エミリーが息を吐いた。

 エミリー:「ピアノソロ曲版、インストールが完了しました」
 敷島:「よし。まあ、実際はシンディと一緒にやってもらうがな」
 MEIKO:「あ、そういうことなの」

 マルチタイプも楽器には秀でている。
 エミリーはピアノなどの鍵盤楽器、シンディはフルートなどの木管楽器、今はもうこの世にいないが、キールはバイオリンなどの弦楽器、アルエットはトランペットなどの金管楽器を得意とする。

 MEIKO:「マルチタイプに何かやらせるんだったら、アルエットも連れて来れば良かったのに」
 敷島:「いや、あいつは科学館の常設展示だから」

 それでもエミリーとシンディが科学館に行って、一緒に『マルチタイプの演奏会』をやったことがある。

 エミリー:「あっ……」

 ピアノが自動で次の曲目を表示した。

 エミリー:「“初音ミクの消失です”」
 敷島:「マジか!」

 エミリーの演奏は止まらない。
 ミクも釣られて昔の持ち歌を歌う。
 バージョン・シリーズに対して、強制シャットダウンを伝える電気信号を発する歌。
 それを聞いたセクハラ4.0も吊るされたまま強制的に電源を切られてしまったのである。

 この他、敷島達は保管されていたバッテリーパックと充電器、その他のアイテムを手にして元・研究所をあとにしたのだった。
 えっ?吊るされた4.0がどうなったのかって?【お察しください】。
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“Gynoid Multitype Sisters” 「南里ロボット研究所」

2017-08-18 19:34:00 | アンドロイドマスターシリーズ
[8月11日05:47.天候:晴 宮城県仙台市青葉区 地下鉄仙台駅南北線ホーム]

 エミリー:「社長、そろそろ電車の来る時間です」
 敷島:「ううーん……!そうか……」

 バスはダイヤ通りに到着した。
 こんな夜中から早朝に掛けては、高速道路もその先の一般道路も渋滞することは無い。
 ところが敷島にとって1つの誤算があった。
 後述するが、そもそも敷島達が早朝に仙台入りをしたのには理由がある。
 その目的地に行って目的を果たして、後から新幹線で入りするメンバー達と合流する為であった。
 誤算というのは、仙台市地下鉄のダイヤ。
 東京メトロより30分以上も始発が遅い。
 このことに気がつかなかった為、敷島達は地下鉄の乗り換えに30分以上要したのである。
 敷島達は駅が開くのを待って、そこから今度は電車が来るまでの間、ベンチで休んでいた。

 エミリー:「モーニングコーヒー、缶入りでよろしければ……」
 敷島:「ありがとう。昔はよく缶コーヒーを飲んでいたものだ」

〔2番線に、泉中央行きが参ります。……〕

 敷島:「南里研究所時代は特にな」
 MEIKO:「車の中によくあったもんね」
 敷島:「そうだな」

 始発電車が入線してくる。
 仙台市地下鉄も、今は全駅にホームドアが付いている。
 新しい東西線は開業時からであるが、南北線にあっては後付けである。
 それでもホーム監視の駅員無しでワンマン運転できたのは、短い4両編成だからだろう。

〔仙台、仙台。東西線、JR線、仙台空港アクセス線はお乗り換えです〕

 ツツジの花をイメージした色の座席に座る。
 ガラガラの車内であるが、エミリーは荷物を手に敷島の横に立つだけで座らない。

 敷島:「最終電車ならぬ、始発電車か。油断はできんな……」
 MEIKO:「夢の世界からもう脱出できたんだから、何も心配しなくても大丈夫でしょうよ」
 敷島:「いやいや……」

〔2番線から、泉中央行きが発車します。ドアが閉まります。ご注意ください〕

 どちらかというとチャイムに近い発車メロディが鳴る。

〔「ドアが閉まります。ご注意ください」〕

 敷島:「いいか?運転席に行く前にバージョン4.0の腹を掻っ捌いて、乗務員室の鍵を手に入れるんだ」
 エミリー:「お任せください」
 MEIKO:「やれやれ……┐(´д`)┌」

 電車が走り出す。

〔次は広瀬通、広瀬通です。一番町、中央通りはこちらです〕
〔The next stop is Hirosedori station.〕
〔日蓮正宗日浄寺へは北仙台で、妙遍寺へは八乙女でお降りください〕

 初音ミク:「社長、昔の研究所に行って何をするんですか?」
 MEIKO:「そうそう。私も気になってた」
 敷島:「まあまあ、焦るなよ。ちゃんと着いたら教えるからさ」

 敷島はそう言って缶コーヒーを口に運んだ。

[同日06:03.天候:晴 泉中央駅→南里研究所跡]

 電車が黒松駅を出ると地上を走り始める。
 その様子は地下鉄というより、どこかの私鉄のような雰囲気でもある。
 黒松駅を出て八乙女駅に向かう途中に、池のようなものが見えてくる。
 その横を電車が走り、真美沢堤と呼ばれている。
 当ブログでは公開していないが、前期型シンディが初めてエミリーと戦闘を行った場所とされる。
 但し、途中で不利になると見るや、部下のバージョン3.0を囮にして逃げるという卑怯な点が散見された。
 今でもこの池の底には、エミリーが破壊したロボットが沈められているとの噂だ。

(※設定があやふやだった“ボーカロイドマスター オリジナル”と“ボーカロイドマスター リメイク版”は設定がかなり変わっています。ここでは後者のリメイク版の設定を踏襲しています。オリジナル版ではシンディとの初戦は研究所界隈となっています)

〔泉中央、泉中央。終点です。お出口は、左側です。ドア付近の方は、開くドアにご注意ください〕

 MEIKO:「社長、そろそろ着きますよー」
 敷島:「……おっ!缶コーヒー飲んでも、すぐには目が覚めないものだなー」
 ミク:「人間もスリープ状態に入るんですか」
 敷島:「うん。スリープ状態入ったな」

 電車が到着してドアが開く。

〔泉中央、泉中央。終点です〕

 敷島:「どれ、降りるとするか」

 敷島達は電車を降りて、地上の改札口に向かった。
 この駅は半地下構造になっていて、改札口が地上、ホームが地下にある構造である。

 ミク:「ここからは何で行きますか?」
 敷島:「まだバスは無いだろう。タクシーでいいよ」
 エミリー:「分かりました」

 駅を出てタクシー乗り場に向かう。
 荷物があったのでトランクを開けてもらい、その中に荷物を置く。
 助手席に座ったエミリーが行き先を告げた。

 エミリー:「のぞみケ丘までお願いします」
 運転手:「はい、ありがとうございます」

 タクシーが走り出した。

 ミク:「社長、これ……」

 ミクが車内の広告を見つけた。
 髪の色と同じエメラルドグリーンの爪が目立つ指で、ある広告を指さした。
 今日これからライブを行うセキスイハイムスーパーアリーナのアクセスにこのタクシーを是非、というものだった。

 敷島:「なるほどな」
 MEIKO:「このままこれで行っちゃう?」
 敷島:「バカ言え。まずは仙台駅で皆と合流してからだよ。バラバラで行動したらダメだよ」
 MEIKO:「はーい」

[同日06:30.天候:晴 仙台市泉区のぞみケ丘 南里ロボット研究所跡]

 ニュータウンのぞみケ丘の外れに、その研究所だった建物は建っている。
 ニュータウン造成後は町の診療所としてオープンしたが、近くに総合病院がある為、あっという間に廃業した。
 売りに出されているところを南里が購入。
 研究所として再オープンした。
 財団発足後、南里死亡後は放置状態になっていたが、アリスが購入。
 また、半ば強制的に敷島も同居することになった。
 しばらくはこの状態が続いていたが、アリスがDCJにヘッドハンティングされ、敷島もまた、財団崩壊後に四季エンタープライズの敷島俊介社長からの後押しで敷島エージェンシーの社長に就任した為、再び無人の建物となった。
 今現在はDCJ仙台支社所属の営業所として登記されているのだが、実態は倉庫である。

 エミリー:「ここでお願いします」
 運転手:「はい」

 車道入口の門の前でタクシーを降りた。
 しかし門は固く閉ざされ、チェーンと南京錠で固定されている。
 この門は南里研究所自体には無かったものである。

 敷島:「鍵っと……」

 しかし、敷島は鍵を持っていた。
 それで門の鍵を開ける。

 敷島:「じゃ、行くか」

 それで門を開けると、敷島達は思い出の研究所に足を踏み入れた。
 まずは建物に向かうまでの車路。
 登り坂になっている。
 この坂は敷島の血を吸った坂だ。
 暴走した鏡音レンが敷島を刺殺せんと包丁で刺した坂である。
 敷島は一命を取り留め、レンは財団に捕らえられてスクラップ処分を待つだけとなっていたが、鏡音リンの嘆願と敷島がスクラップを望まなかったことでレンの処分は免れている。

 敷島:「ここが俺の刺されたところだ」
 MEIKO:「本人の前じゃ言えないわね」
 ミク:「わたしが気づいていながら、ごめんなさい……」
 敷島:「今さらいいよ」

 当時、ボーカロイドの無断外出は禁止されていたので、研究所から一歩でも外に出たらエミリーが駆け付けることになっていたが、この坂はまだ敷地内、つまり私道だったことが災いした。

 敷島:「今となっちゃ、いい思い出だ。ここをメモリアルパークにしたいくらいだよ」

 思えば、『不死身の敷島』伝説はこの時から始まっていたのかもしれない。
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