[7月8日21:30.天候:晴 埼玉県さいたま市中央区 稲生家→タクシー車内]
稲生:「よし。出発の準備はいいな」
稲生は荷物を持って、2階の自室から1階に下りた。
稲生:「失礼します。準備はいいですか?」
マリア:「私は大丈夫」
イリーナ:「私も」
稲生:「それじゃ行きましょう。タクシーが来たみたいですし」
イリーナ:「ういっす」
両親に見送られながら、稲生達は家の前に止まっていたタクシーに乗り込んだ。
稲生:「大宮駅までお願いします」
運転手:「はい、大宮駅ですね」
助手席に乗り込んだ稲生が、横にいる運転手に行き先を告げた。
タクシーが走り出す。
〔「……今日午後4時頃、埼玉県さいたま市のJR大宮駅東口交番で、拳銃を持った男2人が銃刀法違反の現行犯で逮捕されました。逮捕されたのは、埼玉極道会の構成員【中略。どうせ通名だろう】で、不審な男2人がいるという通報から、警察官が駆け付けて職務質問したところ、男のうちの1人から拳銃が発見され、現行犯逮捕されたものです。この事件を受けて、組本部では【中略】。尚、容疑者達は拳銃の所持については認めているものの、『ロシアン・マフィアを警戒していた』『不良外国人の監視に当たっていた』と供述しているということで、埼玉県警大宮警察署では、埼玉極道会が海外マフィアとの取り引きに何らかの関わりがあるのではないかと見て、慎重に調べを進めています」〕
タクシーのラジオではニュースが流れていて、たまたま稲生達が居合わせた逮捕劇が報道されていた。
マリア:「師匠。ロシアン・マフィアですって」
イリーナ:「ナスっちが、何か変な誤解でもされたかねぇ……」
稲生:「まあ、見た目は確かにマフィアっぽいですもんね」
マリア:「私よりも見た目ずっと年下の弟子がいるんですから、そういうのを見ればマフィアとは違うと分かりそうなものですが……」
イリーナ:「いやあ、あんな不良外国人がぞろぞろいたら、日本人は警戒してジロジロ見たりしないんじゃない?」
稲生:「確かに……」
と、その時、稲生のスマホにメール着信があった。
稲生:「ありゃ?アンナからのメールだ。なになに?……先生、今のアナスタシア先生が聞いてて、『誰が不良外国人だ!?ナスっち言うな!』と怒っているそうです」
イリーナ:「あらあら。スルーでいいからね」
マリア:「アンナから……? ちょっとユウタ、スマホ貸して」
稲生:「あ、いや、でも……」
マリア:「早く!」
稲生:「は、はい」
マリアは稲生からスマホを受け取ると、アンナの番号からメアドから全部消去した。
マリア:「はい。2度とあいつのは登録しないでよ?」
稲生:「は、はい……」
イリーナ:「ん〜!ユウタ君、モテ期来たねぇ……」
マリア:「それは困ります」
[同日21:40.天候:晴 JR大宮駅]
タクシーは大宮駅西口の車寄せに到着した。
稲生:「あ、先生。カードは結構です」
イリーナ:「いいの?」
稲生:「父からタクシーチケットもらいましたので。……これで払います」
運転手:「はい、どうぞ」
イリーナ:「じゃあ、お言葉に甘えようかねぇ……」
稲生は運転手から借りたボールペンで、チケットにメーターの額を記入した。
チケットに額を記入するのは、乗客と決まっている。
運転手:「ありがとうございました」
タクシーを降りて、2階に上がるエスカレーターに乗る。
稲生:「荷物を忘れずに取りませんとね」
イリーナ:「おー、そうだった」
マリア:「師匠、忘れてたんですか?」
イリーナ:「い、いや、そんなことは無いよ」
Suica式コインロッカーなので、稲生のSuicaを当てればすぐにロックが解除される。
イリーナ:「よーし。早速これを荷物に詰めよう」
稲生:「はい」
マリア:「といっても、殆ど私の服とか靴とかばっかりだな。悪い、手伝ってもらって」
稲生:「いえ、別にいいんですよ」
イオンの袋の中には、昼間に買ったマリアのビキニが入っている。
マリアの屋敷の地下にはプールがある。
元々は魔法の実験場だったものだが、稲生の弟子入りに当たって、急いで改築された。
その為、時々ダンテ一門の魔女達が避暑目的で泳ぎに来る。
で、その度に稲生はシャットアウトされる(泳ぎに来たのがアンナやリリアンヌ、エレーナの時は除く)。
稲生:「こんな所ですかね」
マリア:「ありがとう」
稲生がマリアのバッグに荷物を入れ終わった。
イリーナ:「それじゃ、行くとしようか」
稲生:「はい」
ゴロゴロとキャリーバッグを引くマリア。
その上には、ミク人形とハク人形が箱乗りしていた。
イリーナ:「ん?」
稲生:「はい?」
改札口を通ってコンコース内。
イリーナ:「埼京線で行かないの?」
稲生:「いやあ、また冥鉄電車に乗せられると思うと……」
イリーナ:「そんなこと無いって。だいたい、まだ最終電車の時間じゃないでしょ」
マリア:「最終電車の時間であっても、あんな電車が走っていること自体がおかしいことですが……」
イリーナ:「ユウタ君はどうするつもりなの?」
稲生:「湘南新宿ラインを使おうかと……。今日は土曜日ですし、大船止まりの電車ならそんなに混んでないかなぁと……」
イリーナ:「アタシもいるんだから、もうあんな勝手なことはさせないよ。もし乗せようものなら、電車ごと廃車決定の全損処分よ」
マリア:「師匠なら本当にやりかねませんね」
イリーナ:「それに、あの時はたまたま埼京線が狙われただけであって、他の路線が絶対安全とは限らないのよ?」
稲生:「まあ、それはそうですが……」
さあ、どうする?
目的地はバスタ新宿。
そこへ行く為にはどうしたらいい?
①イリーナに任せて埼京線に乗る
➁稲生の警戒を信じて湘南新宿ライン
(※この期に及んで、バッドエンドありの二者択一です)
稲生:「よし。出発の準備はいいな」
稲生は荷物を持って、2階の自室から1階に下りた。
稲生:「失礼します。準備はいいですか?」
マリア:「私は大丈夫」
イリーナ:「私も」
稲生:「それじゃ行きましょう。タクシーが来たみたいですし」
イリーナ:「ういっす」
両親に見送られながら、稲生達は家の前に止まっていたタクシーに乗り込んだ。
稲生:「大宮駅までお願いします」
運転手:「はい、大宮駅ですね」
助手席に乗り込んだ稲生が、横にいる運転手に行き先を告げた。
タクシーが走り出す。
〔「……今日午後4時頃、埼玉県さいたま市のJR大宮駅東口交番で、拳銃を持った男2人が銃刀法違反の現行犯で逮捕されました。逮捕されたのは、埼玉極道会の構成員【中略。どうせ通名だろう】で、不審な男2人がいるという通報から、警察官が駆け付けて職務質問したところ、男のうちの1人から拳銃が発見され、現行犯逮捕されたものです。この事件を受けて、組本部では【中略】。尚、容疑者達は拳銃の所持については認めているものの、『ロシアン・マフィアを警戒していた』『不良外国人の監視に当たっていた』と供述しているということで、埼玉県警大宮警察署では、埼玉極道会が海外マフィアとの取り引きに何らかの関わりがあるのではないかと見て、慎重に調べを進めています」〕
タクシーのラジオではニュースが流れていて、たまたま稲生達が居合わせた逮捕劇が報道されていた。
マリア:「師匠。ロシアン・マフィアですって」
イリーナ:「ナスっちが、何か変な誤解でもされたかねぇ……」
稲生:「まあ、見た目は確かにマフィアっぽいですもんね」
マリア:「私よりも見た目ずっと年下の弟子がいるんですから、そういうのを見ればマフィアとは違うと分かりそうなものですが……」
イリーナ:「いやあ、あんな不良外国人がぞろぞろいたら、日本人は警戒してジロジロ見たりしないんじゃない?」
稲生:「確かに……」
と、その時、稲生のスマホにメール着信があった。
稲生:「ありゃ?アンナからのメールだ。なになに?……先生、今のアナスタシア先生が聞いてて、『誰が不良外国人だ!?ナスっち言うな!』と怒っているそうです」
イリーナ:「あらあら。スルーでいいからね」
マリア:「アンナから……? ちょっとユウタ、スマホ貸して」
稲生:「あ、いや、でも……」
マリア:「早く!」
稲生:「は、はい」
マリアは稲生からスマホを受け取ると、アンナの番号からメアドから全部消去した。
マリア:「はい。2度とあいつのは登録しないでよ?」
稲生:「は、はい……」
イリーナ:「ん〜!ユウタ君、モテ期来たねぇ……」
マリア:「それは困ります」
[同日21:40.天候:晴 JR大宮駅]
タクシーは大宮駅西口の車寄せに到着した。
稲生:「あ、先生。カードは結構です」
イリーナ:「いいの?」
稲生:「父からタクシーチケットもらいましたので。……これで払います」
運転手:「はい、どうぞ」
イリーナ:「じゃあ、お言葉に甘えようかねぇ……」
稲生は運転手から借りたボールペンで、チケットにメーターの額を記入した。
チケットに額を記入するのは、乗客と決まっている。
運転手:「ありがとうございました」
タクシーを降りて、2階に上がるエスカレーターに乗る。
稲生:「荷物を忘れずに取りませんとね」
イリーナ:「おー、そうだった」
マリア:「師匠、忘れてたんですか?」
イリーナ:「い、いや、そんなことは無いよ」
Suica式コインロッカーなので、稲生のSuicaを当てればすぐにロックが解除される。
イリーナ:「よーし。早速これを荷物に詰めよう」
稲生:「はい」
マリア:「といっても、殆ど私の服とか靴とかばっかりだな。悪い、手伝ってもらって」
稲生:「いえ、別にいいんですよ」
イオンの袋の中には、昼間に買ったマリアのビキニが入っている。
マリアの屋敷の地下にはプールがある。
元々は魔法の実験場だったものだが、稲生の弟子入りに当たって、急いで改築された。
その為、時々ダンテ一門の魔女達が避暑目的で泳ぎに来る。
で、その度に稲生はシャットアウトされる(泳ぎに来たのがアンナやリリアンヌ、エレーナの時は除く)。
稲生:「こんな所ですかね」
マリア:「ありがとう」
稲生がマリアのバッグに荷物を入れ終わった。
イリーナ:「それじゃ、行くとしようか」
稲生:「はい」
ゴロゴロとキャリーバッグを引くマリア。
その上には、ミク人形とハク人形が箱乗りしていた。
イリーナ:「ん?」
稲生:「はい?」
改札口を通ってコンコース内。
イリーナ:「埼京線で行かないの?」
稲生:「いやあ、また冥鉄電車に乗せられると思うと……」
イリーナ:「そんなこと無いって。だいたい、まだ最終電車の時間じゃないでしょ」
マリア:「最終電車の時間であっても、あんな電車が走っていること自体がおかしいことですが……」
イリーナ:「ユウタ君はどうするつもりなの?」
稲生:「湘南新宿ラインを使おうかと……。今日は土曜日ですし、大船止まりの電車ならそんなに混んでないかなぁと……」
イリーナ:「アタシもいるんだから、もうあんな勝手なことはさせないよ。もし乗せようものなら、電車ごと廃車決定の全損処分よ」
マリア:「師匠なら本当にやりかねませんね」
イリーナ:「それに、あの時はたまたま埼京線が狙われただけであって、他の路線が絶対安全とは限らないのよ?」
稲生:「まあ、それはそうですが……」
さあ、どうする?
目的地はバスタ新宿。
そこへ行く為にはどうしたらいい?
①イリーナに任せて埼京線に乗る
➁稲生の警戒を信じて湘南新宿ライン
(※この期に及んで、バッドエンドありの二者択一です)