[8月11日09:30.天候:晴 宮城県仙台市青葉区 四季エンタープライズ仙台支社・支社長室]
敷島:「……というわけで、予定通りにセキスイハイムスーパーアリーナでライブを行いますので、よろしくお願い致します」
内野支社長:「あ、ああ。さすがは『不死身の敷島』ですな……ハハ……」
内野は今年度から支社長に就任した者である。
元々は四季エンタープライズ本社の総務部長をしていたが、定期異動で支社長となった。
四季エンタープライズでは、支社長ともなれば取締役の地位も与えられる。
敷島:「この3連休の予定ですが、件のアリーナでライブを一発ブチかました後は、それぞれ仙台市内の色々なイベントに顔を出させるつもりです。詳細は先日送らせて頂いた資料に全て記載しております」
内野:「え、ええ。拝見しましたよ。とても素晴らしい内容で、こちらの出る幕なんぞ無さそうな感じで……」
内野は何故か冷や汗をかいていた。
そして、敷島の傍らに控えるシンディをとても気にしている。
シンディは内野の視線を感じると、ニコッと笑った。
敷島:「お褒めに預かり、大変光栄です。何かご質問はありますか?」
内野:「えー……あー……その……」
グループ企業の社長と親会社の地方支社長とでは、やはり後者の方が地位が上である。
そんな敷島が堂々としており、何故か支社長の方がいっぱいいっぱいの様子だった。
内野:「こ、このライブなどとは関係無いのだがね……」
敷島:「いいですよ。何でも聞いて下さい」
内野:「こ、このロボット……もとい、キミの秘書は危険ではないのかね?」
敷島:「と、仰いますと?」
内野:「も、もういい!キミに今回のことは任せる!だから、私に近づけさせないでくれっ!」
敷島:「全幅の信頼、ありがとうございます。必ずや、成果をご覧に入れます」
シンディに恐怖している?何故だろう?
[200×年秋(東京決戦の日)15:30. 東京都中央区某所]
内野:「ひいいっ!た、助けてくれーっ!」
内野はバージョン2.0と3.0に取り囲まれていた。
シンディ(前期型):「へえ……。敷島孝夫の関係者を捕まえたって?どこだ?」
2.0:「キュルキュルキュルキュル。(こちらでございます)」
バージョン2.0は喋ることができない。
内野:「ち、違う!私は敷島孝夫なんて知らない!」
3.0:「嘘ヲツクナ!サッキ電話デ、『敷島孝夫は社長の甥です』ト言ッテイタデハナイカ!」
内野:「か、かか会社でのことだ!直接は知らない!」
3.0:「シンディ様!コイツハ敷島孝夫ノ居場所ヲ知ッテイマス!」
シンディ:「ほお?どこだい?」
2.0:「キュキュキュキュ!」
バチィッ!(内野に電気が流される)
内野:「はぐわっ!」
シンディ:「あー、こいつはバカロボットでねぇ!状況判断ができないのさ。アタシの知りたいことに素直に答えないと、今度は電流上げるかもねぇ!」
2.0:「キュキュキュキュ!」
2.0、両腕を交差させる。
そこから電流が発生しているのが分かる。
内野:「お、大手町だ!大手町にいる!これでいいだろう!」
3.0:「シンディ様!」
シンディ:「大手町か。財団もバカばっかじゃないのね。それとも、ドクター十条の頭がいいのかしら?」
内野:「す、素直に喋ったんだ!助けてくれ!……助けてください!」
内野、這いずって懇願するようにシンディのロングスカートの裾を掴む。
シンディ、ギラッと両目を光らせた。
シンディ:「下等で愚かな人間よ!この我に不遜な行為をするとはいい度胸だ!」
そして、右手をマシンガンに変形させる。
シンディ:「蜂の巣にしてくれるわ!!」
と、どこからともなく歌が聞こえて来た。
シンディ:「こ、この歌は?」
3.0:「ウウ……ア、頭ガ……!」
シンディ:「初音ミクの歌!?……しまった!この歌は電気信号を!おのれ!歌うだけの人形の分際で!!」
シンディの引き連れているバージョン2.0と3.0の軍団が、次々と強制的に電源を落とされていった。
内野:「お、お助けーっ!」
内野、慌てて逃げ出す。
シンディ:「これで許してやるよ!」
内野:「あぎゃーっ!!!」
シンディ、マシンガンからハンドガンに切り換えて内野の肩に一発打ち込んだ。
シンディ:「くそっ!南里研究所の連中め!1度、日比谷公園で立て直しだ!」
内野:「ううう……」
[2017年8月11日10:00. 天候:晴 JR仙台駅・在来線ホーム]
シンディ(後期型):「内野支社長、東京決戦の時は、前期型の私が申し訳ありませんでした。深くお詫び申し上げます」
シンディは深々と頭を下げた。
敷島:「支社長、何度も申し上げましたが、あなたを傷つけた方のシンディは、後で財団が捕らえて『死刑執行』しました。ここにいるシンディは似て非なる者です。……贖罪の為に、前期型時代のデータをそのまま引き継がせていますが」
東京多摩地区にあるスクラップ工場に連行された前期型シンディは、そのままスクラップされて死刑執行された。
内野:「本当に、大丈夫なんだね?」
敷島:「私の目の黒いうちは、私が保証しますよ。彼女の活躍ぶりは、あなたも知っているでしょう」
内野:「むむ……」
ということがあった後、敷島達は仙台駅に移動した。
〔本日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。1番線に停車中の列車は、10時5分発、普通、利府行きです。発車まで、しばらくお待ち願います〕
かつては寝台特急“北斗星”や“カシオペア”が発車していたホーム。
その長大編成に対応した長い有効長を抱えるホームだが、今ではたった2両編成の701系が停車しているだけだった。
敷島:「内野支社長に直接謝れて良かったな」
シンディ:「でも、あまり納得されている様子ではありませんでした。土下座した方が良かったでしょうか?」
敷島:「却って見苦しいだけだし、それに前期型と後期型は違うという意味も示したかったしな」
シンディはホームの自動販売機で買った缶コーヒーを敷島に渡した。
敷島:「ああ、ありがとう。贖罪は、まだ終わらないということさ」
シンディ:「はい」
敷島はロングシートしか無い電車のドア横に座った。
敷島:「……というわけで、予定通りにセキスイハイムスーパーアリーナでライブを行いますので、よろしくお願い致します」
内野支社長:「あ、ああ。さすがは『不死身の敷島』ですな……ハハ……」
内野は今年度から支社長に就任した者である。
元々は四季エンタープライズ本社の総務部長をしていたが、定期異動で支社長となった。
四季エンタープライズでは、支社長ともなれば取締役の地位も与えられる。
敷島:「この3連休の予定ですが、件のアリーナでライブを一発ブチかました後は、それぞれ仙台市内の色々なイベントに顔を出させるつもりです。詳細は先日送らせて頂いた資料に全て記載しております」
内野:「え、ええ。拝見しましたよ。とても素晴らしい内容で、こちらの出る幕なんぞ無さそうな感じで……」
内野は何故か冷や汗をかいていた。
そして、敷島の傍らに控えるシンディをとても気にしている。
シンディは内野の視線を感じると、ニコッと笑った。
敷島:「お褒めに預かり、大変光栄です。何かご質問はありますか?」
内野:「えー……あー……その……」
グループ企業の社長と親会社の地方支社長とでは、やはり後者の方が地位が上である。
そんな敷島が堂々としており、何故か支社長の方がいっぱいいっぱいの様子だった。
内野:「こ、このライブなどとは関係無いのだがね……」
敷島:「いいですよ。何でも聞いて下さい」
内野:「こ、このロボット……もとい、キミの秘書は危険ではないのかね?」
敷島:「と、仰いますと?」
内野:「も、もういい!キミに今回のことは任せる!だから、私に近づけさせないでくれっ!」
敷島:「全幅の信頼、ありがとうございます。必ずや、成果をご覧に入れます」
シンディに恐怖している?何故だろう?
[200×年秋(東京決戦の日)15:30. 東京都中央区某所]
内野:「ひいいっ!た、助けてくれーっ!」
内野はバージョン2.0と3.0に取り囲まれていた。
シンディ(前期型):「へえ……。敷島孝夫の関係者を捕まえたって?どこだ?」
2.0:「キュルキュルキュルキュル。(こちらでございます)」
バージョン2.0は喋ることができない。
内野:「ち、違う!私は敷島孝夫なんて知らない!」
3.0:「嘘ヲツクナ!サッキ電話デ、『敷島孝夫は社長の甥です』ト言ッテイタデハナイカ!」
内野:「か、かか会社でのことだ!直接は知らない!」
3.0:「シンディ様!コイツハ敷島孝夫ノ居場所ヲ知ッテイマス!」
シンディ:「ほお?どこだい?」
2.0:「キュキュキュキュ!」
バチィッ!(内野に電気が流される)
内野:「はぐわっ!」
シンディ:「あー、こいつはバカロボットでねぇ!状況判断ができないのさ。アタシの知りたいことに素直に答えないと、今度は電流上げるかもねぇ!」
2.0:「キュキュキュキュ!」
2.0、両腕を交差させる。
そこから電流が発生しているのが分かる。
内野:「お、大手町だ!大手町にいる!これでいいだろう!」
3.0:「シンディ様!」
シンディ:「大手町か。財団もバカばっかじゃないのね。それとも、ドクター十条の頭がいいのかしら?」
内野:「す、素直に喋ったんだ!助けてくれ!……助けてください!」
内野、這いずって懇願するようにシンディのロングスカートの裾を掴む。
シンディ、ギラッと両目を光らせた。
シンディ:「下等で愚かな人間よ!この我に不遜な行為をするとはいい度胸だ!」
そして、右手をマシンガンに変形させる。
シンディ:「蜂の巣にしてくれるわ!!」
と、どこからともなく歌が聞こえて来た。
シンディ:「こ、この歌は?」
3.0:「ウウ……ア、頭ガ……!」
シンディ:「初音ミクの歌!?……しまった!この歌は電気信号を!おのれ!歌うだけの人形の分際で!!」
シンディの引き連れているバージョン2.0と3.0の軍団が、次々と強制的に電源を落とされていった。
内野:「お、お助けーっ!」
内野、慌てて逃げ出す。
シンディ:「これで許してやるよ!」
内野:「あぎゃーっ!!!」
シンディ、マシンガンからハンドガンに切り換えて内野の肩に一発打ち込んだ。
シンディ:「くそっ!南里研究所の連中め!1度、日比谷公園で立て直しだ!」
内野:「ううう……」
[2017年8月11日10:00. 天候:晴 JR仙台駅・在来線ホーム]
シンディ(後期型):「内野支社長、東京決戦の時は、前期型の私が申し訳ありませんでした。深くお詫び申し上げます」
シンディは深々と頭を下げた。
敷島:「支社長、何度も申し上げましたが、あなたを傷つけた方のシンディは、後で財団が捕らえて『死刑執行』しました。ここにいるシンディは似て非なる者です。……贖罪の為に、前期型時代のデータをそのまま引き継がせていますが」
東京多摩地区にあるスクラップ工場に連行された前期型シンディは、そのままスクラップされて死刑執行された。
内野:「本当に、大丈夫なんだね?」
敷島:「私の目の黒いうちは、私が保証しますよ。彼女の活躍ぶりは、あなたも知っているでしょう」
内野:「むむ……」
ということがあった後、敷島達は仙台駅に移動した。
〔本日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。1番線に停車中の列車は、10時5分発、普通、利府行きです。発車まで、しばらくお待ち願います〕
かつては寝台特急“北斗星”や“カシオペア”が発車していたホーム。
その長大編成に対応した長い有効長を抱えるホームだが、今ではたった2両編成の701系が停車しているだけだった。
敷島:「内野支社長に直接謝れて良かったな」
シンディ:「でも、あまり納得されている様子ではありませんでした。土下座した方が良かったでしょうか?」
敷島:「却って見苦しいだけだし、それに前期型と後期型は違うという意味も示したかったしな」
シンディはホームの自動販売機で買った缶コーヒーを敷島に渡した。
敷島:「ああ、ありがとう。贖罪は、まだ終わらないということさ」
シンディ:「はい」
敷島はロングシートしか無い電車のドア横に座った。
その時、新町駐車場前の民宿“日ノ出山荘”が取り壊されているという話を聞いた。
私は最初リニューアルでもするのだろうと思ったが、どうも“フェイク”が喜びそうなネタの匂いもする。
これは私がまだ“となりの沖田くん”が全巻揃っていないので、来月揃えに行くかという話の中から出たものだ。
もっとも、本当は“大魔道師の弟子”の主人公達と同じビジネスホテルを予定しているのだが。
果たして真相や如何に?
バス会社の時刻から消えているようだが……。
もし本当に廃止になったんだとしたら、やっぱり“フェイク”の言う通りかもしれんね。