報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「帰りの旅」

2023-06-10 20:19:50 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[12月27日08時56分 天候:晴 東京都八王子市明神町 京王電鉄京王八王子駅→京王線7010電車1号車内]

 高橋とパールは予定通り、先にホテルをチェックアウトして行った。
 預けたバイクを取りに行く手間があるからだという。
 それでも2人のことだ。
 乗り換えが1回ある私達よりも先に到着するだろう。
 もし高橋が先に着くようなら、先に事務所を開けておくように伝えてある。

 リサ「何回かぶり」
 愛原「そうだな」

 朝ラッシュのピークが過ぎたばかりだからか、まだ駅構内はわさわさしている。
 そんな中、全席指定の“京王ライナー”は特別というわけだ。
 10両編成4ドアの電車だが、駅に停車中は各車両1つのドアしか開いていない。
 4/3閉とか言うんだっけ。
 私達は空いているドアから乗り込んだ。
 通勤電車として使用される場合、座席は横向きに設定されているが、“京王ライナー”の時は2人席が進行方向を向いている。
 また、停車中にオーケストラのBGMが車内に流れている。
 曲はオリジナルのものだ。
 で、私達の席は連結器横の3人席。
 ただの3人席ではなく、ちゃんと新幹線の3人席みたいな感じで1人ずつの席が並んでいる。
 もちろん、リクライニングはしないが。
 大きな荷物を持つ絵恋は、座席の横にそれを置いた。

〔ご案内致します。この電車は、全車指定席“京王ライナー”、新宿行きです。予め、座席指定券をお買い求めの上、指定された席をご利用ください。明大前以外の途中駅では、お降りになることができませんので、ご注意ください〕

 愛原「もう少しで発車だな」
 リサ「お兄ちゃん達より早く着けるかな?」
 愛原「いやあ、無理だろ。車ならともかく、バイクだからな。俺達は乗り換えもあるから、向こうの方が早いと思うよ」
 リサ「なるほど」

〔「お待たせ致しました。8時56分発、“京王ライナー”10号、新宿行き、まもなく発車致します」〕

 接近メロディーはオリジナルのものを使用していたが、発車ベルは普通の発車ベルである。
 それが鳴り終わると、すぐにドアが閉まった。
 最後尾に乗っているので、車掌が運転士に向けて合図するブザーの音が僅かに聞こえてくる。
 そして、エアーの抜ける音がして、電車はゆっくりと地下ホームを発車した。

〔♪♪(車内チャイム)♪♪。京王をご利用くださいまして、ありがとうございます。“京王ライナー”、新宿行きです。明大前以外の停車駅では、お降りになれませんので、ご注意ください。……〕

 停車駅の案内をしないのは、全車指定席で、乗客は全員自分の降りる駅を知っているからというテイだからだろう。
 もちろん、私達も終点まで乗る。
 ホテルでもそうだが、“京王ライナー”でもWi-Fiのサービスがあり、リサのようなパケット通信量を気にしないといけない場合は重宝するようである。

 愛原「それにしても、斉藤早苗がいなくなって、引っ越しの手伝いがなぁ……」
 リサ「『魔王軍』召喚しようか?」
 愛原「女の子達に力仕事をさせるのは……」
 絵恋「要は体力に自信があるコを呼べばいいんですよね」
 リサ「まず、ここに1人いる」
 絵恋「え!?」
 リサ「だってエレン、空手有段者じゃない」
 絵恋「ま、まあ、そうだけど……」
 リサ「腕力にも自信があるでしょ?」
 絵恋「ま、まあね」
 リサ「それなら、力仕事よろしく」
 愛原「ガチの力仕事は、高橋やその仲間達に任せるよ」
 リサ「そうだった。で、帰ったら早速やるの?」
 愛原「事務所は仕事納めしてから、引っ越しの準備をしようと思ってるよ。まずは事務所の引っ越しから先だから」
 リサ「なるほど」
 愛原「その後で家の引っ越しね。だから、今のうちに準備をしておくんだ。要らない物は捨てる。要らなくはないんだけど、今すぐ使うものではない物は、先に段ボールに詰めておくとか」
 リサ「なるほど。分かった」
 絵恋「リサさんの荷物を纏めるのなら、私も手伝うね」
 リサ「うん、ありがとう」

 高橋のヤツ、もしかして、自分の荷物纏めをパールに手伝わせる気じゃないだろうな?
 まあ、人手は大いに越したことはないが……。

[同日09時40分 天候:晴 東京都新宿区西新宿 京王電鉄新宿駅→都営地下鉄新宿駅]

〔♪♪(車内チャイム)♪♪。まもなく新宿、新宿、終点です。都営新宿線、大江戸線、JR線、小田急線、丸ノ内線はお乗り換えです。出口は、左側です。京王をご利用くださいまして、ありがとうございました〕

 私達を乗せた電車は、無事に京王新宿駅に到着した。
 始発駅が地下なら、終着駅も地下ホームである。
 笹塚駅に止まるようなら、そこで都営新宿線に乗り換えても良かったのだが、“京王ライナー”は止まらない。
 まあ、確実に座って都心に行けるのだから、それは大きい。
 電車は1番線に到着した。
 ぞろぞろと乗客が降りて行く。
 私達もそれに続いた。
 そして、エスカレーターに乗り、京王新線のホームに向かう。
 それは都営新宿線のホームとイコールである。
 今のところ、まだ高橋からのLINEは無い。
 車と違って、バイクだと走行中は一切スマホに触れられないからだろう。

 愛原「ん?」

 その時、高橋からLINEが来た。
 もう事務所に到着したのかと思いきや、今は首都高速4号線(新宿線)の代々木パーキングで休憩中だという。
 そこなら私達も休憩したことがある。
 急カーブの途中にあるパーキングで、入るのは楽だが、出るのは結構タイミングを見計らうのが難しい所とされる。
 元々は料金所か何かの跡地を活用したものだと聞いたことがある。
 どうやら高橋とパールは、ここで休憩しているようだ。
 案外、到着は同時くらいになるのかもしれないな。
 高橋達も、わざとそうやって時間を調整しているのかもしれない。

 リサ「そこのカツカレー、美味しかったんだよね」
 愛原「また車で行く機会があれば、立ち寄ってもらうさ」
 リサ「おー!」

 私達は京王新宿駅から、都営地下鉄新宿駅へと移動した。
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“愛原リサの日常” 「八王子の朝」

2023-06-10 14:58:40 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[12月27日07時00分 天候:晴 東京都八王子市明神町 R&Bホテル八王子]

 リサ「うう……」

 リサは悪夢に魘されて目が覚めた。
 と、同時にベッド脇に仕掛けられたタイマーがアラームを鳴らす。

 絵恋「うーん……」

 絵恋が目を覚まして、アラームを止めた。

 絵恋「リサさん、おはよう……」
 リサ「はぁっ!……はぁ……はぁ……」

 リサは第1形態に戻っており、汗をかいていた。

 絵恋「どうしたの、リサさん?大丈夫?」
 リサ「ああ……大丈夫……。変な夢見た……」
 絵恋「そうなの?どんな夢?」
 リサ「地獄に堕ちた白井やサナエに、『早くオマエもこっちに来い』って引きずり込まれる夢……」
 絵恋「まあ、怖い!やっぱり悪い人は地獄に堕ちるのね!」
 リサ「わたしもそっちに行くんだろうか……」
 絵恋「リサさんは人を食べたり殺したりしてないから大丈夫よ!」
 リサ「どうかな……」

 地獄の底から恨みの声を上げていたのは、白井と早苗だけではなかった。
 東京中央学園ブルマ復活運動の最中、最も反対派であった当時の生徒会長(女子)を自殺に追いやったことで、そこからも恨み節を受けた。

 リサ「ん?」

 その時、リサはふと思った。

 リサ(生徒会長は別に悪人ではないのに、どうして地獄に???)
 絵恋「リサさん、先にシャワー浴びたら?汗流さないと風邪轢いちゃうよ?」
 リサ「鬼は風邪など引かないんだけど……。まあ、ベタベタして気持ち悪いからそうする」
 絵恋「その方がいいよ。私は後ででいいから」
 リサ「うん、分かった。ありがとう」

 リサはこの場で、ホテル備え付けのナイトウェアを脱いだ。

 絵恋「も、萌えぇぇぇぇっ!」
 リサ「なに、悶絶してんだよ」

 ついでに換えの下着を用意する。

 絵恋「はぁぁぁっ!リサさんの汗の匂い……
 リサ「オ○ニーなら、わたしがシャワーから出る前に済ませておきなよ?」

 リサはそう言うと、バスルームに入った。

 リサ「それにしても……」

 リサは汗で濡れたスポプラとショーツを脱いだ。
 換えの下着は、普通の4/3カップの白ブラと黒いアウトゴムの付いた白いショーツである。
 シャワーで汗を流す間、考え事をする。

 リサ(もしも白井がサナエだったとして、もうサナエは死んだんだから、わたしが寝てる間にラスボス戦終了してない?それとも、『あれは偽者でしたw』とか、エキストラボスが発生するなんて展開でもある?)

[同日7時45分 天候:晴 同ホテル・朝食会場]

 リサ「パンのいい匂い……」

 朝食会場に行くと、焼き立てパンの香ばしい匂いがした。
 それはいいのだが……。

 リサ「……あれ?おかずは?」
 愛原「ああ。ここのホテルは、パンとゆで卵が食べ放題、ドリンクとスープが飲み放題だ」
 リサ「マジか……」

 リサはトレイに全種類のパンと、ゆで卵を数個、そしてスープを全種類コンプするモードに入った。

 愛原「他の客の分まで、食い尽くすなよ?」
 リサ「分かってる」

 焼き立てなのでまだ温かいのと、カリカリとした触感があったりする。
 リサはゆで卵については、殻ごと食べ……るわけでもなく、さすがにそれは殻を向いて食べる。

 愛原「相変わらず、凄ェ食いっぷりだなぁ……」
 高橋「マジっスねぇ……」
 愛原「今日の夜からは、食材を大量に用意しておいた方がいいな」
 高橋「うっス」
 パール「御嬢様には何をお持ち致しましょうか?」
 絵恋「い、いいのよ。もうあなたは、斉藤家のメイドじゃないんだから……」
 パール「御主人様との契約は、まだ切れておりません」
 絵恋「そ、そうだったわ」
 愛原「どういうことだ?」
 絵恋「私の父、うちのメイド達とは年俸制で契約してるんです」
 愛原「そうなのか。てことは、1年契約だな」
 絵恋「基本的には年単位の契約なんですが、パールの場合、10年契約なんです」
 愛原「そ、そうなのか?で、あと契約は何年残ってるんだ?」
 パール「あと5年になります」
 絵恋「ちょうど私が、大学を卒業する頃ですね。大学生になって、私が1人暮らしをしても、私の面倒が看れるようにって……」
 愛原「随分先を見据えている割には、斉藤社長も短絡的なことをしたな……」

 愛原は首を傾げた。
 本当に斉藤社長は悪人なのか?と。
 日本アンブレラに手を貸していたことがバレて、警察から追われる身となり、現在はロシアに逃亡しているが……。
 最終的には中東辺りに逃走すると見られている。

 愛原「その斉藤社長は、国外逃亡中だぞ?報酬は?」
 パール「既に前金で払って頂いております」
 愛原「そうなの!?」

 10年分の報酬を前金で!?

 パール「少年院を出た後で、私も色々とお金が必要だったので、御主人様には感謝しております」

 パールの場合は殺人罪。
 敵対組織の暴走族幹部を殺した罪。
 但し、当時未成年であった為、少年法が適用されて死刑を免れている。
 さすがに色々と金を使って、足りなくなったか、今は生活費稼ぎの為に昼間はS系メイドカフェ、夜はメイドSM風俗店で働いているというわけだ。
 住居については明らかにされていないが、風俗店の寮に住んでいるとされる。

 愛原「そ、そう……」
 高橋「先生は電車で帰られるんでしたね?」
 愛原「そうだ。まさかオマエ達が来るとは思わなかったから、ライナー券は用意してないよ?」
 パール「大丈夫です。私とマサは、バイクで行きますので」
 愛原「そ、そうか」
 リサ(メイドさんは、お兄ちゃんをバイクで送るだけだよね???)

 ベリーショートに切った髪を金髪に染めているのは相変わらず。
 そこは同じく金髪に染めている高橋と何ら変わりない。
 耳に数個ものピアスを着けている様は、とてもメイドとは思えない。
 だが、それが客に喜ばれる店があるのだから驚きだ。

 絵恋「リサさん、もっとパン持って来ましょうか?」
 リサ「うん。また、全種類持ってきて」
 絵恋「はーい!」
 パール「では私は、御嬢様のパンをお持ちします」
 リサ「先生はメイド服に興味ある?」
 愛原「いやあ、そんなに無いな……」
 リサ「やっぱり学校の制服と体操服、スク水が鉄板?」
 愛原「そうだな。……って、おい!」
 リサ「うははは!分かったよ。エレンにも着させるね」

 楽しい朝食会であったようだ。
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“愛原リサの日常” 「八王子に到着」

2023-06-10 11:20:23 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[12月26日21時10分 天候:晴 東京都八王子市明神町 R&Bホテル八王子]

 リサを乗せた車は、無事にホテルの前の通りに到着した。

 善場「着きましたよ」
 リサ「おー」

 リサと善場は車を降りた。
 善場の部下は、車の中で待っているようだ。
 駐車違反になってしまうからだろう。
 ハザードランプを点けて止まっている。
 リサは荷物を手に、善場と共にホテルの中に入った。
 フロントは2階にある為、エスカレーターで2階に上がる。

 愛原「おー、リサ!よく無事だったな!」

 ロビーでは、愛原と我那覇絵恋が待ち受けていた。

 リサ「先生!ごめんなさい!」

 リサは愛原に抱き着いた。

 絵恋「ちょ、ちょっと!リサさん!?私には!?ねぇ、私には!?」
 リサ「ん!エレン、心配かけた」

 リサは愛原から離れると、絵恋にも抱き着いた。

 絵恋「も、萌えぇぇぇっ!!」
 善場「感動の再会を果たしたところで、リサのチェックインをしましょうか」
 愛原「そうですね」
 リサ「先生と一緒の部屋!?」
 愛原「なワケないだろ。オマエは絵恋と一緒に」
 絵恋「リサさーん!一緒に熱い夜を過ごしましょーね
 リサ「ん……よろしく。お兄ちゃんは?メイドさんと一緒に来たはずだけど?」
 愛原「ああ、あいつな。ダブルの部屋に入って行ったよ」
 絵恋「パールも何だかんだ言って、幸せにやってるのね」
 善場「あの2人、バイクて来たはずですが、そのバイクはどちらに?駐車方法如何によっては、八王子警察署に……」
 愛原「高橋のヤツ、八王子にも知り合いがいるので、バイクはそちらに預けたそうです」
 善場「そうでしたか。そこは抜かりないようですね」
 愛原「そのようです。あれはパールのバイクなんですか?」
 善場「ん?高橋助手のではないと?」
 愛原「あいつ、車やバイクの免許は持っていても、肝心の乗り物が無いんですよ。あいつはいつも、借り物です」
 善場「そうですか。ということは、もしかすると、盗難車の可能性もあるわけですね。やはり、八王子警察署に……」
 エレン「善場さん、何か怖い……」
 絵恋「何か最近ね……」

 リサはカードキーを受け取り、愛原達とエレベーターに乗り込んだ。
 善場とは、ここでお別れとなる。

 愛原「このホテルも朝食サービスをやっているから、それを食べてから帰ろう」
 リサ「おー!何時から?」
 愛原「6時半から9時半までらしい。で、明日は京王八王子から京王線で帰るから」
 リサ「ふむふむ」
 愛原「8時56分発の京王ライナーで帰るから」
 リサ「すると、起きるのは7時ぐらい?」
 愛原「そんな所だろうな」

 エレベーターを降りて、客室に向かう。

 リサ「ねぇ、先生」
 愛原「何だ?」
 リサ「わたしが寝ている間に、何が起こったのか教えて」
 絵恋「私が教えてあげるわよぉ!私もその場にいたんだから」
 リサ「そ、そうか。……あ」
 愛原「どうした?」
 リサ「お菓子やらジュースやら、まだ何にも買ってない」
 愛原「オマエなぁ……。1階にコンビニがあるから行ってこい」
 リサ「はーい」
 絵恋「先に荷物を置いたら、一緒に行きましょう」
 リサ「うん」

 リサは客室の中に入った。

 リサ「……うん。まあ、普通のホテルだ」

 リサは窓側のベッドに荷物を置いた。

 リサ「それじゃ、買ってこよう」
 絵恋「私もお供しまーす!」

[同日22時00分 天候:晴 同ホテル]

 ここのコンビニでも、“鬼ころし”は売られていた。
 リサは性懲りも無く食指が動かされたが、さすがに自制した。
 それからホテルに戻って、リサは自分が眠っている間のことを聞いた。
 元々善場は、斉藤早苗を疑っていたらしく、鬼斬りの刀を持つ一族である栗原家の1人、蓮華を呼んでいたという。
 そして、B棟の体育館で対決した。
 最初は正体を現さず、逃げ回るだけの早苗だったが、逃げ回る度にかいた汗が人食いの臭いを放った為、蓮華には正体が露見する。
 ついに首を刎ねられてしまったが、他のリサ・トレヴァーと違うのは、それだけでは死なず、首が繋がってしまう。
 だが、これで完全に正体が露見したことで、変化。
 B棟の体育館を破壊するほど巨大化した。
 絵恋や愛原は避難を余儀無くされたが、外で待機していた栗原一族の鬼狩り隊が乱入。
 そこにBSAAも駆け付けるなどの乱闘状態になったという。

 絵恋「善場さんは、『首を刎ねられたくなかったら、白井の事について教えろ』って言ってたけど、早苗さんは何も答えなかったね」
 リサ「そうか。善場さんは、サナエと白井が同じ人だと思ったわけだ」
 絵恋「あんなかわいい子が!?」
 リサ「エレン。サナエは、“トイレの花子さん”だと思ってる。白井は早苗を生き返らせて、自分がその体を乗っ取んだと思う。それがどうして、エレンに付いて東京に来たのかは不明だけどね」
 絵恋「私も散々、善場さんから、沖縄にいた時の早苗さんの様子について聞かれたわ。あのコは突然、東京から転校してきたのよ。そして、すぐに私の所に来たの。私が『魔王軍』に勧誘したら、素直に入ってくれてね……」
 リサ「そこがむしろ怪しい。もしもサナエが白井だったとしたら、わたしの情報を知る為に、1番よく知ってるエレンに近づいたかもしれない」
 絵恋「それも善場さんに言われたわ。だけどね、『魔王軍』の掟として、ブルマを穿かないといけないでしょ?」
 リサ「……う、うん……そうだね」

 沖縄に関してはリサの関知するところではないのだが、絵恋が東京中央にいた時に、さんざんっぱら『愛原先生の為に』ブルマ着用を奨励してしまった手前、否定はできなかった。

 絵恋「それからなのよ。あのコが変わったのは」
 リサ「何がどう変わった?」
 絵恋「それまでは、物静かなコだったのに、それから今の性格になったの」
 リサ「それは一体、どういうことだ?」
 絵恋「ブルマを穿いて、吹っ切れたんじゃないの?」
 リサ「何故に???」
 絵恋「さあ……」

 リサは“トイレの花子さん”と話をしていた時のことを思い出した。
 “トイレの花子さん”こと、斉藤早苗が本当に生きていた頃は1970年代半ば。
 その頃のブルマは、まだちょうちんタイプが主流だった。
 教育資料館として活用されていた旧校舎では、教室の一部を学園史展示室として開放されており、そこでは歴代の制服や体操服などが展示されていた。

 リサ(“花子さん”、『こっちのピッタリしている方が動きやすくていいのに』とか言ってた……。それと関係あるんだろうか?)
 絵恋「リサさん、お風呂入らない?」
 リサ「そうだな。入ろう」
 絵恋「じゃあ、お湯入れてくるね!一緒に入りましょう」
 リサ「ちょっと待て」

 ビジネスホテルの狭い浴槽に2人は狭いだろうとリサは固辞したが、絵恋が泣き出してしまった。

 絵恋「リサさんと一緒じゃなきゃイヤーっ!!」
 リサ「さすがに明日は家に泊まるだろう?まだ家の風呂の方が洗い場がある分広いんだから、明日にしようよ」

 尚、リサが宥めすかしている間に、すぐにお湯は溜まったという。
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