[12月26日20時00分 天候:晴 神奈川県相模原市緑区小渕 中央自動車道上り線・藤野パーキングエリア]
車は相模湖インターではなく、上野原インターから中央道に乗った。
その理由は、藤野パーキングエリアに立ち寄る為である。
道中で善場はリサに、都内は都内でも菊川まで帰るわけではないということを告げた。
それは八王子。
今夜は八王子のホテルに一泊するという。
愛原と我那覇絵恋もそこにいるから、今からそこに向かうのだが……。
善場「お腹空いたでしょ?八王子インターまではサービスエリアもパーキングエリアも無いので、藤野に寄ります」
リサ「た、確かにお腹空いた。朝から何も食べてないから……。でも、藤野パーキングエリアって、コンビニしか無いんじゃ?」
善場「それは下り線の方です。上り線には、モスバーガーがあります」
リサ「モスバーガー……」
リサの腹が空腹で鳴る。
このままでは、人肉を欲してしまう。
リサ「ん?」
その時、追い越し車線を物凄い轟音を立てて、2人乗りの大型バイクが追い越して行った。
リサ「凄いバイク……」
善場「違法改造車ですね。私が警察なら、取り締まるところですが、あいにくと私は警察官ではありませんし、管轄外です。仕方ありませんね」
リサ「でも、どこかで見たことあるような……」
車は藤野パーキングエリアに入った。
あまり大きくないパーキングエリアは、混雑時には入場待ちの渋滞ができるほどである。
さすがに今日は平日で、まだ年末年始の帰省ラッシュやUターンラッシュではないからか、そんなに混んではいなかった。
すぐに歩道沿いの空いている駐車スペースに車を止める。
善場「じゃあ、行きましょう。モスバーガーはあちらです」
リサ「はーい」
車を降りて、歩道に出る。
12月の寒風が吹いてくるが、リサは特に気にしない。
善場もコートを着ているが、特に寒さを感じるほどではないようだ。
さすがに今のリサは、私服に着替えている。
リサ「あれ?さっきのバイク」
善場「ホントですね」
リサ「……って!」
リサは喫煙所の方を見た。
そこには見覚えのある顔があった。
リサ「お兄ちゃんとエレンのメイドさん!?」
高橋「げっ、リサ!」
高橋は咥えていたタバコをブッと吹き出した。
リサ「な、何でここに!?」
高橋「ば、ばかやろ!それはこっちのセリフだ!」
善場「愛原所長が、随分心配していましたよ。それにあのバイク……違法改造してますね?この場で私の知り合いの警察官に通報しましょうか?確かあなた……起訴猶予中でしたよね?愛原所長には残念ですが、やはりあなたにはもう1度刑務所に入って頂く必要があるのかもしれません」
高橋「か、カンベンしてくれ~」
リサ「先生に連絡したの?」
高橋「それが、スマホをパールに取られてて……」
パール「だから、今から帰るところじゃん」
パールはタバコを燻らせながら言った。
リサ「クリスマスが終わるまでには帰るって言ったのに!」
パール「先生方こそ、クリスマスの時期にいなかったでしょ?おあいこだよ。フッ」
パールはリサにタバコの煙を吹きかけた。
リサ「ゲホッゲホッ!」
高橋「てか、先生はどうした?」
リサ「先生なら八王子のホテルに泊まってるよ。わたしも今そこに行くとこ!」
高橋「なにっ、そうなのか!?俺達も行く!何てホテルだ!?」
リサ「まさか泊まる気?」
パール「マサ次第だね。カネを出すのはマサだから」
高橋「このクソ女。まさか、京王プラザじゃねーだろうな?そんな金無ェぞ?」
リサ「そんな高級ホテルじゃないよ。でも、先生お得意の東横インでもないけどね」
高橋「そりゃそうだろ」
リサ「わたしはお腹空いたから、モスバーガーでも食べる」
高橋「あー、そうかよ」
リサは善場と共に、店舗内に入った。
モスバーガーの店舗だが、売店も兼ねているようだ。
善場「何でも頼んでいいですから」
リサ「いいの!?」
そして、店内のカウンター席に座ると……。
リサ「いただきまーす!」
ガツガツと食べ始めた。
善場「そんなに急いで食べなくても大丈夫ですよ?」
リサ「だって、朝も昼も食べれなかったんだもん!」
善場「まあ、これで人食いの衝動が抑えられればいいわけですけどね……」
善場の部下は職務上、そんなに車を離れられないのか、ハンバーガーはテイクアウトで購入していた。
先に車に戻り、そこで食べるつもりなのだろう。
善場は普通のセットを頼んで、ホットコーヒーを注文していた。
リサ「早く先生に会いたい!」
善場「愛原所長には連絡済みですから、そんなに慌てなくても大丈夫です。あと、連絡事項も増えましたので」
善場は、店舗の外の自販機コーナーで飲み物を買っている元ヤン2人を指さした。
リサ「な、なるほど。エレンも、久しぶりにメイドさんに会えたら嬉しいんじゃないかな?」
善場「どうですかねぇ……。あれで、メイドカフェで働けているのですか?」
リサ「メイドカフェっていうか……メイドSMクラブというか……」
さすがのリサも言い難そうであった。
善場「ああ、分かりました。もうそれ以上はいいです。要は従者であるはずのメイドさんが、主従逆転して、何故か『ご主人様』役の客に鞭を振るうプレイの風俗店ですね?」
リサ「そんなとこ。昼間のメイドカフェも、ある程度、Sなメイドさんが売りの店で働いているらしい」
善場「分かりました。まあ、違法店でなければいいでしょう」
すると、店内に高橋が入って来た。
高橋「ホテルが取れたから、俺達は先に行くぜ」
リサ「取れたんだ」
高橋「一応な」
高橋はスマホを見せた。
どうやら、ようやく返してもらったらしい。
高橋「あのレズガキも少しは役に立つってもんよ」
リサ「どうしたの?」
高橋「レズガキから、パールに命令してもらったんだよ。そしたらパールのヤツ、『かしこまりました。御嬢様』と2つ返事で、俺にスマホを返しやがった」
リサ「あのメイドさん、まだエレンのメイドさんになりたいんじゃない?」
善場「しかし、絵恋さんの母親は、斉藤容疑者と離婚してしまいました。沖縄に帰って、今は一般市民としての生活でしょう?」
リサ「うん。那覇市内でSEやってるって聞いた」
高橋「沖縄でわざわざSEの仕事なんかしてんのかよ」
リサ「別にいいじゃん」
善場「那覇市内であれば、システムエンジニアリングの会社も存在しますでしょう」
高橋「じゃあな」
善場「バイクの駐輪場なんて、あるのかしら……」
善場はポツリと言った。
善場「まあ、警察の御厄介にならないように、気をつけて頂きたいですね」
善場はニヤリと笑った。
既に人間に戻っており、牙など無いはずだが、何故かリサには善場が牙があるように見えてしまった。
車は相模湖インターではなく、上野原インターから中央道に乗った。
その理由は、藤野パーキングエリアに立ち寄る為である。
道中で善場はリサに、都内は都内でも菊川まで帰るわけではないということを告げた。
それは八王子。
今夜は八王子のホテルに一泊するという。
愛原と我那覇絵恋もそこにいるから、今からそこに向かうのだが……。
善場「お腹空いたでしょ?八王子インターまではサービスエリアもパーキングエリアも無いので、藤野に寄ります」
リサ「た、確かにお腹空いた。朝から何も食べてないから……。でも、藤野パーキングエリアって、コンビニしか無いんじゃ?」
善場「それは下り線の方です。上り線には、モスバーガーがあります」
リサ「モスバーガー……」
リサの腹が空腹で鳴る。
このままでは、人肉を欲してしまう。
リサ「ん?」
その時、追い越し車線を物凄い轟音を立てて、2人乗りの大型バイクが追い越して行った。
リサ「凄いバイク……」
善場「違法改造車ですね。私が警察なら、取り締まるところですが、あいにくと私は警察官ではありませんし、管轄外です。仕方ありませんね」
リサ「でも、どこかで見たことあるような……」
車は藤野パーキングエリアに入った。
あまり大きくないパーキングエリアは、混雑時には入場待ちの渋滞ができるほどである。
さすがに今日は平日で、まだ年末年始の帰省ラッシュやUターンラッシュではないからか、そんなに混んではいなかった。
すぐに歩道沿いの空いている駐車スペースに車を止める。
善場「じゃあ、行きましょう。モスバーガーはあちらです」
リサ「はーい」
車を降りて、歩道に出る。
12月の寒風が吹いてくるが、リサは特に気にしない。
善場もコートを着ているが、特に寒さを感じるほどではないようだ。
さすがに今のリサは、私服に着替えている。
リサ「あれ?さっきのバイク」
善場「ホントですね」
リサ「……って!」
リサは喫煙所の方を見た。
そこには見覚えのある顔があった。
リサ「お兄ちゃんとエレンのメイドさん!?」
高橋「げっ、リサ!」
高橋は咥えていたタバコをブッと吹き出した。
リサ「な、何でここに!?」
高橋「ば、ばかやろ!それはこっちのセリフだ!」
善場「愛原所長が、随分心配していましたよ。それにあのバイク……違法改造してますね?この場で私の知り合いの警察官に通報しましょうか?確かあなた……起訴猶予中でしたよね?愛原所長には残念ですが、やはりあなたにはもう1度刑務所に入って頂く必要があるのかもしれません」
高橋「か、カンベンしてくれ~」
リサ「先生に連絡したの?」
高橋「それが、スマホをパールに取られてて……」
パール「だから、今から帰るところじゃん」
パールはタバコを燻らせながら言った。
リサ「クリスマスが終わるまでには帰るって言ったのに!」
パール「先生方こそ、クリスマスの時期にいなかったでしょ?おあいこだよ。フッ」
パールはリサにタバコの煙を吹きかけた。
リサ「ゲホッゲホッ!」
高橋「てか、先生はどうした?」
リサ「先生なら八王子のホテルに泊まってるよ。わたしも今そこに行くとこ!」
高橋「なにっ、そうなのか!?俺達も行く!何てホテルだ!?」
リサ「まさか泊まる気?」
パール「マサ次第だね。カネを出すのはマサだから」
高橋「このクソ女。まさか、京王プラザじゃねーだろうな?そんな金無ェぞ?」
リサ「そんな高級ホテルじゃないよ。でも、先生お得意の東横インでもないけどね」
高橋「そりゃそうだろ」
リサ「わたしはお腹空いたから、モスバーガーでも食べる」
高橋「あー、そうかよ」
リサは善場と共に、店舗内に入った。
モスバーガーの店舗だが、売店も兼ねているようだ。
善場「何でも頼んでいいですから」
リサ「いいの!?」
そして、店内のカウンター席に座ると……。
リサ「いただきまーす!」
ガツガツと食べ始めた。
善場「そんなに急いで食べなくても大丈夫ですよ?」
リサ「だって、朝も昼も食べれなかったんだもん!」
善場「まあ、これで人食いの衝動が抑えられればいいわけですけどね……」
善場の部下は職務上、そんなに車を離れられないのか、ハンバーガーはテイクアウトで購入していた。
先に車に戻り、そこで食べるつもりなのだろう。
善場は普通のセットを頼んで、ホットコーヒーを注文していた。
リサ「早く先生に会いたい!」
善場「愛原所長には連絡済みですから、そんなに慌てなくても大丈夫です。あと、連絡事項も増えましたので」
善場は、店舗の外の自販機コーナーで飲み物を買っている元ヤン2人を指さした。
リサ「な、なるほど。エレンも、久しぶりにメイドさんに会えたら嬉しいんじゃないかな?」
善場「どうですかねぇ……。あれで、メイドカフェで働けているのですか?」
リサ「メイドカフェっていうか……メイドSMクラブというか……」
さすがのリサも言い難そうであった。
善場「ああ、分かりました。もうそれ以上はいいです。要は従者であるはずのメイドさんが、主従逆転して、何故か『ご主人様』役の客に鞭を振るうプレイの風俗店ですね?」
リサ「そんなとこ。昼間のメイドカフェも、ある程度、Sなメイドさんが売りの店で働いているらしい」
善場「分かりました。まあ、違法店でなければいいでしょう」
すると、店内に高橋が入って来た。
高橋「ホテルが取れたから、俺達は先に行くぜ」
リサ「取れたんだ」
高橋「一応な」
高橋はスマホを見せた。
どうやら、ようやく返してもらったらしい。
高橋「あのレズガキも少しは役に立つってもんよ」
リサ「どうしたの?」
高橋「レズガキから、パールに命令してもらったんだよ。そしたらパールのヤツ、『かしこまりました。御嬢様』と2つ返事で、俺にスマホを返しやがった」
リサ「あのメイドさん、まだエレンのメイドさんになりたいんじゃない?」
善場「しかし、絵恋さんの母親は、斉藤容疑者と離婚してしまいました。沖縄に帰って、今は一般市民としての生活でしょう?」
リサ「うん。那覇市内でSEやってるって聞いた」
高橋「沖縄でわざわざSEの仕事なんかしてんのかよ」
リサ「別にいいじゃん」
善場「那覇市内であれば、システムエンジニアリングの会社も存在しますでしょう」
高橋「じゃあな」
善場「バイクの駐輪場なんて、あるのかしら……」
善場はポツリと言った。
善場「まあ、警察の御厄介にならないように、気をつけて頂きたいですね」
善場はニヤリと笑った。
既に人間に戻っており、牙など無いはずだが、何故かリサには善場が牙があるように見えてしまった。