報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“愛原リサの日常” 「高橋達との再会」

2023-06-09 20:18:48 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[12月26日20時00分 天候:晴 神奈川県相模原市緑区小渕 中央自動車道上り線・藤野パーキングエリア]

 車は相模湖インターではなく、上野原インターから中央道に乗った。
 その理由は、藤野パーキングエリアに立ち寄る為である。
 道中で善場はリサに、都内は都内でも菊川まで帰るわけではないということを告げた。
 それは八王子。
 今夜は八王子のホテルに一泊するという。
 愛原と我那覇絵恋もそこにいるから、今からそこに向かうのだが……。

 善場「お腹空いたでしょ?八王子インターまではサービスエリアもパーキングエリアも無いので、藤野に寄ります」
 リサ「た、確かにお腹空いた。朝から何も食べてないから……。でも、藤野パーキングエリアって、コンビニしか無いんじゃ?」
 善場「それは下り線の方です。上り線には、モスバーガーがあります」
 リサ「モスバーガー……」

 リサの腹が空腹で鳴る。
 このままでは、人肉を欲してしまう。

 リサ「ん?」

 その時、追い越し車線を物凄い轟音を立てて、2人乗りの大型バイクが追い越して行った。

 リサ「凄いバイク……」
 善場「違法改造車ですね。私が警察なら、取り締まるところですが、あいにくと私は警察官ではありませんし、管轄外です。仕方ありませんね」
 リサ「でも、どこかで見たことあるような……」

 車は藤野パーキングエリアに入った。
 あまり大きくないパーキングエリアは、混雑時には入場待ちの渋滞ができるほどである。
 さすがに今日は平日で、まだ年末年始の帰省ラッシュやUターンラッシュではないからか、そんなに混んではいなかった。
 すぐに歩道沿いの空いている駐車スペースに車を止める。

 善場「じゃあ、行きましょう。モスバーガーはあちらです」
 リサ「はーい」

 車を降りて、歩道に出る。
 12月の寒風が吹いてくるが、リサは特に気にしない。
 善場もコートを着ているが、特に寒さを感じるほどではないようだ。
 さすがに今のリサは、私服に着替えている。

 リサ「あれ?さっきのバイク」
 善場「ホントですね」
 リサ「……って!」

 リサは喫煙所の方を見た。
 そこには見覚えのある顔があった。

 リサ「お兄ちゃんとエレンのメイドさん!?」
 高橋「げっ、リサ!」

 高橋は咥えていたタバコをブッと吹き出した。

 リサ「な、何でここに!?」
 高橋「ば、ばかやろ!それはこっちのセリフだ!」
 善場「愛原所長が、随分心配していましたよ。それにあのバイク……違法改造してますね?この場で私の知り合いの警察官に通報しましょうか?確かあなた……起訴猶予中でしたよね?愛原所長には残念ですが、やはりあなたにはもう1度刑務所に入って頂く必要があるのかもしれません」
 高橋「か、カンベンしてくれ~」
 リサ「先生に連絡したの?」
 高橋「それが、スマホをパールに取られてて……」
 パール「だから、今から帰るところじゃん」

 パールはタバコを燻らせながら言った。

 リサ「クリスマスが終わるまでには帰るって言ったのに!」
 パール「先生方こそ、クリスマスの時期にいなかったでしょ?おあいこだよ。フッ」

 パールはリサにタバコの煙を吹きかけた。

 リサ「ゲホッゲホッ!」
 高橋「てか、先生はどうした?」
 リサ「先生なら八王子のホテルに泊まってるよ。わたしも今そこに行くとこ!」
 高橋「なにっ、そうなのか!?俺達も行く!何てホテルだ!?」
 リサ「まさか泊まる気?」
 パール「マサ次第だね。カネを出すのはマサだから」
 高橋「このクソ女。まさか、京王プラザじゃねーだろうな?そんな金無ェぞ?」
 リサ「そんな高級ホテルじゃないよ。でも、先生お得意の東横インでもないけどね」
 高橋「そりゃそうだろ」
 リサ「わたしはお腹空いたから、モスバーガーでも食べる」
 高橋「あー、そうかよ」

 リサは善場と共に、店舗内に入った。
 モスバーガーの店舗だが、売店も兼ねているようだ。

 善場「何でも頼んでいいですから」
 リサ「いいの!?」

 そして、店内のカウンター席に座ると……。

 リサ「いただきまーす!」

 ガツガツと食べ始めた。

 善場「そんなに急いで食べなくても大丈夫ですよ?」
 リサ「だって、朝も昼も食べれなかったんだもん!」
 善場「まあ、これで人食いの衝動が抑えられればいいわけですけどね……」

 善場の部下は職務上、そんなに車を離れられないのか、ハンバーガーはテイクアウトで購入していた。
 先に車に戻り、そこで食べるつもりなのだろう。
 善場は普通のセットを頼んで、ホットコーヒーを注文していた。

 リサ「早く先生に会いたい!」
 善場「愛原所長には連絡済みですから、そんなに慌てなくても大丈夫です。あと、連絡事項も増えましたので」

 善場は、店舗の外の自販機コーナーで飲み物を買っている元ヤン2人を指さした。

 リサ「な、なるほど。エレンも、久しぶりにメイドさんに会えたら嬉しいんじゃないかな?」
 善場「どうですかねぇ……。あれで、メイドカフェで働けているのですか?」
 リサ「メイドカフェっていうか……メイドSMクラブというか……」

 さすがのリサも言い難そうであった。

 善場「ああ、分かりました。もうそれ以上はいいです。要は従者であるはずのメイドさんが、主従逆転して、何故か『ご主人様』役の客に鞭を振るうプレイの風俗店ですね?」
 リサ「そんなとこ。昼間のメイドカフェも、ある程度、Sなメイドさんが売りの店で働いているらしい」
 善場「分かりました。まあ、違法店でなければいいでしょう」

 すると、店内に高橋が入って来た。

 高橋「ホテルが取れたから、俺達は先に行くぜ」
 リサ「取れたんだ」
 高橋「一応な」

 高橋はスマホを見せた。
 どうやら、ようやく返してもらったらしい。

 高橋「あのレズガキも少しは役に立つってもんよ」
 リサ「どうしたの?」
 高橋「レズガキから、パールに命令してもらったんだよ。そしたらパールのヤツ、『かしこまりました。御嬢様』と2つ返事で、俺にスマホを返しやがった」
 リサ「あのメイドさん、まだエレンのメイドさんになりたいんじゃない?」
 善場「しかし、絵恋さんの母親は、斉藤容疑者と離婚してしまいました。沖縄に帰って、今は一般市民としての生活でしょう?」
 リサ「うん。那覇市内でSEやってるって聞いた」
 高橋「沖縄でわざわざSEの仕事なんかしてんのかよ」
 リサ「別にいいじゃん」
 善場「那覇市内であれば、システムエンジニアリングの会社も存在しますでしょう」
 高橋「じゃあな」
 善場「バイクの駐輪場なんて、あるのかしら……」

 善場はポツリと言った。

 善場「まあ、警察の御厄介にならないように、気をつけて頂きたいですね」

 善場はニヤリと笑った。
 既に人間に戻っており、牙など無いはずだが、何故かリサには善場が牙があるように見えてしまった。
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“愛原リサの日常” 「鬼狩りが来た!!」

2023-06-09 11:34:19 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[12月26日18時30分 天候:晴 神奈川県相模原市緑区某所 国家公務員特別研修センター地下研究施設]

 鍵が開いて、ドアが勢い良く大きく開けられた。

 栗原蓮華「いたぞ!鬼がいた!!」
 鬼○隊「どこだ!?」
 蓮華「あっち!向こう!」
 鬼○隊「よっしゃ!」

 ドドドと薄暗い廊下を走って行く男達。
 蓮華はヘッドランプを持っていた。
 それで、リサを照らす。

 蓮華「ここにいたんだ」
 リサ「鬼斬りセンパイ、こんばんは。助けに来てくれたの?それとも、首を斬りに来た?」
 蓮華「……その前に、上で暴れた鬼のことは知ってる?」
 リサ「上?鬼が暴れた?誰が?」
 蓮華「……ホントに知らないの?」

 蓮華は手には刀を持ち、姿は剣道着であった。

 リサ「わたしは、ずっとここで寝てたから」
 蓮華「……なるほど。上の鬼と共闘させない為に、ここに閉じ込めたのか……」
 リサ「ねえ、何の話?何が起こってるの?」
 蓮華「上に来れば分かるよ」

 蓮華は手持ちのスマホで、どこかへ連絡した。

 蓮華「……栗原です。愛原リサと接触しました。……分かりました」

 そして、電話を切る。

 リサ「愛原先生は?エレンは?サナエは?」
 蓮華「1度に聞かないの。だいたい、斉藤早苗はあんたの仲間でしょ?」
 リサ「仲間?……ああ、やっぱり鬼だったの?」
 蓮華「……知らないで付き合ってたのかよ……」

 蓮華はイラッとした様子で言った。

 リサ「いや、何か人を食った臭いはしてたから、何か怪しいとは思ってたんだけどね」
 蓮華「ああ。人食い鬼の、あの臭いは独特だよね。……あんたからも臭えば、この場で斬り捨てるものを……!」
 リサ「すいませんね。まだ人を食べたことはなくて。すっごい興味はあるんだけど……って、何これ?」

 研究施設内を進む度に、壁が崩れていたり、天井が崩れたりしていた。

 蓮華「見ての通り、研究施設は鬼によって壊された。一応、仮の出入口は造ってあるから」
 リサ「ここ、秘密の研究所なのに……」
 蓮華「ここまで破壊されたら、秘密でも何でもないだろうね」
 リサ「うーむ……」

 停電していたのは、この為だったのである。
 途中で設けられた梯子を上ったり、瓦礫によじ登ったり……。

 リサ「どうしてセンパイがここにいるの?」
 蓮華「善場さんに呼ばれたんだ。『鬼と対決してほしい』ってね」
 リサ「それ、わたしのこと?」
 蓮華「私もそう思ったんだけど、違った」
 リサ「誰?……まさか!」
 蓮華「そのまさかだよ。斉藤早苗。あいつ、鬼だった。私が首を刎ねたんだけど、それだけでは死ななくてね。再び首が繋がったと思うと、巨大な鬼の姿に変化しやがってねぇ……。軍隊が来ても倒せない。私達の刀でないと斬れないってことで、それで栗原一族総出で倒しに来たってわけ」
 リサ「BSAAより強いなんて……」
 蓮華「西洋の鬼なら、軍隊で対応できるのかもしれないけどね。日本の鬼は、ナメちゃいけない。あんたも、この刀でないと首を刎ねられないのは知ってるよ」
 リサ「うむ。さすがにわたしも、それには逆らえない。……と思う」

[同日19時00分 天候:晴 同センター地上階]

 ようやく地上階に出ると、テントで囲まれた通路があった。
 そこを通ると、ようやく地上に出る。

 リサ「うわぁ……」

 外に出てから改めて建物を見ると、B棟である体育館は跡形も無く崩れていた。
 恐らく、蓮華と早苗の対決をその体育館でやったからだろう。
 それからとばっちりを受けたのか、本館A棟も半壊状態。
 ちょうど研究施設に繋がっている部分が崩壊していた。
 電源を地上から賄っていた研究施設は、そこがやられたので停電してしまったのだろう。
 見る限り、守衛所と別館のC棟は無事のようだった。

 善場「リサ、無事で何よりです」

 善場が合流してきた。

 リサ「善場さんも無事だったんですね」
 善場「私もね、ある程度のケガは負わされたのよ。でもまあ、こんな感じね」
 リサ「本当に人間に戻れたんですか?」
 善場「一応ね」

 善場は公式には人間に戻れたことになっているが、それでも人外的な身体能力や傷の再生能力は残ったままである。
 なので善場自身も、まだ監視対象かつ研究対象からは外れていないのである。
 NPO法人デイライトに出向しているのも、それが理由である。

 善場「ここは危険です。あなたの荷物は既に部屋から運び出しているから、早いとこ着替えて移動しましょう」
 リサ「愛原先生もそこにいる?」
 善場「いますよ」
 リサ「おー!」

 すると、蓮華のスマホに着信があった。

 鬼○隊「おい、蓮華!地下に鬼などいないぞ!?せっかくこの刀の錆にしてやろうと思ったのに!」
 蓮華「残念ね。もう政府関係者が先に確保しちゃったってよ」
 鬼○隊「なにいっ!?」
 善場「そういうわけなので、早いとこ地下から戻ってきてください。崩壊の危険がありますので。……と、伝えてください」
 蓮華「分かりました」
 善場「リサ。鬼狩り隊が戻ってきたら、厄介です。そうなる前に、ここを離れましょう。着替えなら、向こうのC棟でできますので」
 リサ「分かった」

 リサは善場から渡された荷物を持って、C棟に向かった。

[同日19時30分 天候:晴 同センターC棟]

 鬼○隊「鬼って結局、蓮華が斬った一匹しかいなかったのか?!」
 蓮華「いや、だからもう1人いたんだけど、先に政府関係者が確保しちゃったから、実質的に私らの仕事は終わり」
 鬼○隊「何だそれ!もっといねーのかよ!?」

 リサはC棟で着替えたり、トイレに行ったり、自販機で飲み物を買って飲んだりした。
 そして、黒塗りのミニバンに乗り混む。
 ミニバンにはスモークフィルムが貼られているので、外からは中を見ることができない。
 リサは後ろの席に座って、蓮華達から見えないように隠れた。

 善場「そういうことです。報酬は後ほど政府より、私共の組織を通しましてお支払いしますので……」
 鬼○隊「報酬は要らねーから、その鬼、ぶった切らせてくれよー!」
 善場「そういうわけには参りません。政府の意向です」
 蓮華「お兄さん、いいじゃないの。向こうで捜索してるお父さん達も、疲れたみたいだから、さっさと報酬もらって帰ろうって言ってるし」
 鬼○隊「でもよォ……」
 善場「それでは、私達も引き上げますので」
 蓮華「お疲れ様でした」

 運転席には、既に善場の部下が待機している。
 善場が助手席に乗り込もうとした時だった。

 鬼○隊「まさか、その車に乗ってるんじゃねーだろうなぁ!?」
 リサ「ギクッ!」
 善場「言い掛かりはやめてください」
 蓮華「そうだよ、兄さん。あんな凶悪な鬼を、こんな普通の車で運ぶわけないじゃん!」
 善場「鬼なら、あれで輸送しますよ」
 鬼○隊「なにっ!?」

 その時、BSAAのヘリコプターが離陸していった。

 善場「軍隊のヘリで輸送するものですよ」
 蓮華「そういうこと」
 鬼○隊「こ、こらーっ!下りて来い!俺の獲物ーっ!!」
 善場「それでは、私は急いで都内に戻らないといけませんので」
 蓮華「お疲れ様です」

 善場は急いで車に乗り込んだ。

 善場「それでは出してください」
 部下「はっ!」

 部下は車を発進させた。
 BSAAの車両の間を縫うように進み、正門から外に出た。

 善場「もう顔を上げていいですよ」
 リサ「おー!」

 センターの周辺の道路には、警察車両や自衛隊の車両までいた。

 リサ「凄い物々しいね」
 善場「そうです」
 リサ「これからどこへ行くの?」
 善場「もちろん、都内ですよ。この辺りには、宿泊施設がありませんのでね。愛原所長や我那覇絵恋さんは、そこに泊まってもらっています」
 リサ「なるほど」

 車は真っ暗な県道に出ると、今度は国道を目指した。
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