報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「酔っ払いブギ」

2023-06-06 20:22:07 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[12月26日06時30分 天候:晴 神奈川県相模原市緑区某所 国家公務員特別研修センターA棟]

 枕元のスマホがアラームを鳴らす。
 ベッドには枕灯の他、コンセントが1つあるので、スマホを充電しながら寝ることができる。
 まあ、私はしなかったが。
 絵恋などはモバイルバッテリーに接続して、それを充電していたようだ。

 愛原「うーん……」

 私のスマホのアラーム音で、向かい側のベッドに寝ている少女達も起き出したようである。

 愛原「やあ、おはよう」

 私はベッドの上段で寝ていたが、向かい側の上段ベッドのカーテンが開いたので、挨拶した。
 そこに斉藤早苗が寝ていた。
 彼女は白い丸首Tシャツの首周りと袖周りに青い縁の付いた体操服を着ており、下には青い無地のブルマを穿いていた。
 沖縄中央学園の旧・体操服であるが、『魔王軍沖縄支部』のメンバーの一部がリサ達にリスペクトしてリバイバルさせている。
 リスペクトの方向を変えて、東京中央みたいに緑色の体操服とブルマを穿いているメンバーもいるらしい。
 沖縄中央学園では、実は決まった体操服というものがない(一応、基準となるものは売っている。校則でこれを着ろと決められているわけではない)。
 なので、ブルマを穿いて授業を受けても、別に校則違反ではないのだ。

 早苗「おはようございます……」

 早苗は体操服を捲り上げ、ヘソを出して、その上辺りをポリポリとかいた。

 絵恋「うーん……」

 絵恋も起きたが、リサだけが起きて来ない。

 早苗「愛原先生。昨夜はだいぶ飲まれましたね?」
 愛原「え?そう?」
 早苗「はい。お酒の臭いがしますよ」
 愛原「そ、そうかなぁ?いつもあれくらいで、今も酒が残っている感じはしないんだが……」

 私は梯子を下りた。
 早苗はベッドの上から飛び降りて、見事に着地する。
 着地した際、右の裾から白いショーツがチラッと見えた。
 いわゆる、ハミパンである。

 愛原「リサ、早く起きろ」

 私がカーテン越しに声を掛けたが、リサが起きて来る様子は無い。
 むしろ、いびきをかいて眠り込んでいる。
 はて?こいつ、こんなにいびきをかく方だったか?
 早苗は眉を潜めた。
 そして、私に鼻を近づけ、フンフンと臭いを嗅ぐ。

 愛原「さ、早苗さん?」
 早苗「……いや、違う」

 早苗はそう言った後、今度はリサのベッドのカーテンの隙間に顔を近づけた。

 早苗「! 酒の臭い、この中からする!」
 絵恋「ええっ!?」
 愛原「なにいっ!?」

 私は急いでカーテンを開けた。
 するとそこには、大の字になって眠っているリサの姿があった。
 ベッドの中には、“鬼ころし”の紙パックが、何個も転がっている。

 愛原「リサーッ!!何やってたんだーっ!!」

[同日09時00分 天候:晴 同センター→地下研究施設]

 善場「全く、リサというコは……何を考えて……」
 愛原「も、申し訳ありません。私の監督不行き届きです」

 私はすぐに善場主任に報告した。
 都内にいる主任は、すぐに向かうので待っていて欲しいということだった。
 取りあえず私達は朝食を急いで済ませ、リサの監視に当たった。
 不思議なことに、前回と違って、リサは酔っ払って昏睡しているだけで、見た目の変化は無かった。
 もちろん、まだ油断はできない。
 これから変化するかもしれないのだ。
 9時頃になって、ようやく善場主任がやってくる。

 善場「すぐに検査を行います。2人は……ちょうどジャージを着ているのね。それでいいわ。2人も検査するので、来てください」
 絵恋「は、はい」

 リサはブルマ姿のまま、ストレッチャーに乗せられた。
 もちろん、途中で暴れたりしないよう、ベルトで拘束する。
 リサは相変わらずいびきをかいて眠りこけている。
 絵恋と早苗は、ブルマの上からジャージを着ていた。
 部屋を出て、研究室に繋がっているエレベーターに向かう。
 ストレッチャーを押したり引いているのは、BSAAの隊員。
 他にもショットガンやマシンガンを持って護衛に当たる隊員もいた。

 愛原「ちょっと狭いな……」

 ストレッチャーも載せられるエレベーターだが、さすがに全員乗ると窮屈だ。
 それでも定員オーバーではないらしく、アラームが鳴ることはなかった。
 善場主任が専用のカードキーで、エレベーターを地下階まで行けるように操作した。
 それで、地下階へと向かう。

 研究員「お待ちしておりました」

 メタリックな内装の研究施設に到着すると、リサは処置室のような所に連れて行かれた。
 絵恋と早苗は、健診センターのような所に連れて行かれる。

 善場「愛原所長はこちらへ」

 私はカンファレンスルームのような部屋へと連れて行かれた。
 もちろん、リサが飲酒した経緯について取り調べが行われるわけである。
 で、当然のことながら、私は知らぬ存ぜぬで通した。
 寝る時には、リサは飲酒はもちろん、酒を買っていさえいなかったはずだからだ。
 それは自販機コーナーに一緒にいた少女達も証言している。
 が、早苗だけは変なことを言った。
 『紙パックの自販機を、やたら気にしていました』と。
 善場主任が守衛所のモニタをチェックした所、真夜中にリサがこっそり自販機コーナーに行く所が映し出されていた。

 愛原「こんなの知りませんよ!」
 善場「ええ。リサのことですから、こっそり夜中に買いに行ったのでしょうね。そして、1個目は自販機コーナー内で飲んだものの、それだけでは満足できず、手持ちの小銭で買えるだけ買ったということでしょう」
 愛原「あいつ……実は、前から“鬼ころし”には関心を持っていたんです。もちろん、私はダメだと注意していたんですが……」
 善場「ええ。今回の場合、愛原所長には責任はありません。……まあ、引率者並びに監視者として、立場上の責任は問われるでしょうが、内容までは不祥事とは言えないと思います。リサも未成年とはいえ、もう高校生ですし、本来ならもう分別が付くはずですからね」
 愛原「今のところ、前回と比べて変化はしていないようですね?」
 善場「前回は愛原所長の血液と一緒に摂取したことが原因かもしれません。で、今回は酒そのものです。摂取量も違うでしょうから、そこで自ずと違いが出て来るのかもしれません。まあ、詳しい検査をしてからですね」
 愛原「分かりました」
 善場「リサは、お酒のことについて、何か言ってましたか?」
 愛原「えーと、ですねぇ……」
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“愛原リサの日常” 「未成年飲酒」

2023-06-06 15:04:54 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[12月26日02時00分 天候:雨 神奈川県相模原市緑区某所 国家公務員特別研修センターA棟]

 リサ「…………」

 12月下旬にしてはおかしな天気だ。
 これが他の季節なら、そういうことも多々あるだろう。
 外は大雨であった。
 大雪ではない。
 雨である。
 もちろん、いくら神奈川県と山梨県の県境に近い山奥と言っても、そこまで標高が高いわけではないから、あまり雪も降らないという。
 それにしても、この雨は降り過ぎなのではないか。
 そんな天候の中、リサはふと目が覚めた。
 それは、夢から覚めた後であった。
 どこかの山奥の洞穴のような場所で、酒盛りをしている鬼達。
 リサは客人として迎えられ、その中に入っている。
 その酒盛りを主催しているのは、酒呑童子を名乗る大柄の鬼。

 リサ(変な夢……)

 そこでふと思い出す。

 リサ(あ……“鬼ころし”……)

 再び眠ろうと布団を被ったが、どうしても気になった。

 リサ(買うだけ……買うだけなら……いいよね?)

 リサは枕元に置いてある小銭入れに手を伸ばした。
 普段は電子マネーしか使わないので、現金はあまり持ち歩いていない。
 しかし、この研修センターの自販機は殆どが現金専用である為、こういう所では重宝する。
 リサは体操服に紺色のブルマ姿だった。
 室内は暖房がガンガンに効いて、暑いくらいである。
 ベッドのカーテンをそっと開けると、向かい側の上段に寝ている斉藤早苗もカーテンを閉めていた。
 下段に寝ている我那覇絵恋は、カーテンを閉めていない。
 これはリサの寝姿を拝みたいという願望からだ。
 しかしリサは、こちら側のカーテンを閉めているので意味は無かったが。
 リサも下段に寝ているので、幸いベッドから出る時、梯子を下りたりする際の音が出ることはない。
 そっとベッドから出ると、小銭入れの中から小銭を取り出した。
 それをブルマの内ポケットに入れる。
 本来はナプキンとかを入れる為のポケットらしい。
 それと、カードキーを持った。
 部屋のドアはオートロックである為。
 あくまでも今は、トイレと水分補給の為の飲み物を買いに行くというテイである。
 トイレを挟むのは、何も小用だけではない。
 自分を見張る者がいないかの確認でもあるわけだ。
 もしいたとしても、小用でトイレに起きるのは何ら不自然なことではない。
 部屋にはトイレが無いからだ。
 廊下に出ると、窓からは雨音がした。
 しかも、驚くべきことに、遠雷の音まで聞こえる。
 明らかにおかしな天候だ。
 照明は消灯時間中なので、常夜灯の白いダウンライトがいくつか点灯しているだけ。
 あと目立つ光といったら、非常口誘導灯の白や緑のランプや火災報知器の赤ランプくらいである。
 そっとトイレに向かうと、トイレは真っ暗であった。
 しかし、中に入ると人感センサーが作動してパッと点灯した。
 その眩しさに、リサは顔をしかめた。
 照明だけでなく、換気扇も作動する。
 リサのような鬼型BOWは、夜目が大変に利くので、照明など点けなくても難無く用は足せる。
 今、校内で最新の七不思議の1つ、『校内の女子トイレに現れる鬼の目』とはリサのことである。
 天気が悪かったり、冬場の下校時刻間近だと外は暗く、トイレ内も大変薄暗い場所となる。
 リサは面倒臭がって照明を点けないのだが、知らない他の女子生徒に『鬼の目』をしていると、トイレ内に絶叫が木霊するのである。

 リサ「ん……」

 女子トイレ内の個室は5つある。
 霧生市のアンブレラ研究所では、“トイレの花子さん”役をやらされていたリサは、その言い伝え通り、奥から2番目の個室に入ってみた。
 当然、何の気配も無い。
 もしいたとしても、リサの立場なら、『ちょっと借りるね』で済むレベルである。
 で、何事も無くトイレは済んだ。
 人感センサーなので、何も操作しなくても、自動で照明は消える。

 リサ(……誰もいないな)

 再び薄暗い廊下に出て、辺りを窺ったが、人の気配がすることはなかった。
 それでも視線を感じるのは、天井の監視カメラのせいだろう。
 しっかり電源ランプが点灯していて、カメラがあからさまにリサの方を向いている。
 ここではこのA棟からの無断退出が禁止されているだけなので、少なくともこの建物の中にいる分には何のお咎めも無いはずである。
 階段をそっと下りて、自販機コーナーに向かう。
 階段室の出入口に設置されている防犯カメラは、しっかりリサを捉えていた。
 12月下旬で半袖の体操服にブルマは寒くないかと思うかもしれないが、元々体温の高いリサは気にしていないし、この時季にしては雨が降っており、湿気もそれなりにある為か、そこまで気温が下がっているというわけでもない。
 なので、気にする必要は無い。

 リサ「あった……」

 自販機コーナー内の照明は消灯していたが、自販機の明かりが点灯しているので、暗いわけではない。
 リサはコーナーの1番奥にある、紙パックの自販機に足を進めた。
 牛乳類や野菜ジュース類を売っている自販機なのに、何故かそこに“鬼ころし”が売られていた。
 隣はビールやワンカップの自販機があるから、それに関連しているだけなのだろうか?

 リサ「…………」

 リサは周りを見渡しながら、その自販機に小銭を入れた。
 そして、“鬼ころし”のボタンを押すと……。
 ガコンという音がして、商品口に紙パックが落ちてきた。

 リサ「買えた……買えちゃった……」

 コンビニで見た、赤鬼の絵が描かれている“鬼ころし”である。
 コンビニでは特に冷やして売られているわけではなかったが、ここでは自販機の中に入っていたこともあり、冷えていた。

 リサ「はあ……はあ……!」

 リサは興奮のあまり、第1形態に戻ってしまった。
 イラストの通り、角が2本生えた鬼の姿に戻ってしまったのである。
 自販機コーナー内にもカメラがあるので、そこに背を向けて、一口飲んでみた。

 リサ「んんーっ!」

 味わったことが無い味が、口中に広がる。
 以前、酔っ払った愛原の血液を啜った時のような、そんな味ではない。
 あれは本当に血の味しかしなかった。
 だから、酒が含まれていたことに気づけなかったのだ。
 しかし、これは酒そのもの。

 リサ「く、癖になりそう……」

 リサはチューチューとその“鬼ころし”をジュースのように啜った。
 人食い鬼(型BOW)が、初めて酒に手を出す瞬間であった。
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