[12月25日22時20分 天候:雨 神奈川県相模原市緑区某所 国家公務員特別研修センターA棟]
絵恋「ふう……。お風呂結構熱かったね」
リサ「わたしはちょうど良かった」
早苗「まあまあ、かな」
絵恋「そうなの?!」
風呂から上がった少女達はバスタオルで体を拭いたり、髪を拭いたり……。
その後で、さっきまで着ていた体操服とブルマを着用した。
絵恋「肌寒いんだけど、案外そこまで寒いってわけじゃないね」
リサ「外は雨が降ってる。冬の割には湿気があるからかもしれない」
絵恋「また雨なんだ。さすがに、ホワイトクリスマスってわけにはいかないね」
リサ「うん。世の中そんなに甘くない」
大浴場を出ると、同じフロアの自販機コーナーへと移動する。
リサ「エレン、わざわざ水買うの?」
絵恋「そうよ」
リサ「部屋にも水道あるよ?」
室内には洗面所が1つある。
ホテルの洗面所と同様、飲用可となっている。
絵恋「わたし、水道の水は飲めなくて……」
早苗「絵恋は御嬢様だからね」
リサ「わたしは飲める水なら飲んじゃうけど……。エレンの埼玉の家の水道の水は?」
絵恋「一応、水道には浄水器が付いてたけど、ウォータースタンドの水しか私は飲まなかったわ」
リサ「ああ!あのでっかいポリタンクの水!」
絵恋「そう!それ!」
リサ「確かに、あの水は美味しかった」
絵恋「でしょ!?」
早苗「私はもう飲み物を買ったよ。魔王様達はどうするの?」
リサ「サナエ、早っ!わたしは……」
リサはオレンジジュースを買った。
リサ「あとはお菓子、お菓子……」
この自販機コーナーには、他にもタバコやビールやカップ麺の自販機もある。
それ以外には、紙コップで売られるコーヒーの自販機やチューインガムの自販機まであった。
絵恋「ホント、色んな自販機があるわよねぇ……」
リサ「うん」
リサがお菓子の自販機でスナック菓子などを買っていると、早苗が隣の自販機でまた何かを買った。
それは紙パックの飲料自販機。
そこで牛乳を買っていた。
なるほど。
風呂上がりの牛乳か。
確かにここには、瓶入り牛乳の自販機は無い。
代わりに、紙パック式の飲み物の自販機があり、そこで牛乳類を売っているわけか。
それを見たリサは、一瞬食指を動かされた。
そして、一体他には何が売っているのだろうとラインナップを見た時だった。
リサ「え……?」
牛乳類しか売っていないと思ったが、他にも野菜ジュースなどを売っているようだ。
リサが目を丸くしたのは……。
リサ(何で“鬼ころし”が売られてるの?)
紙パックに入っている日本酒、“鬼ころし”が何故かあった。
赤鬼のイラストが入っている。
リサ(飲んでみたい……)
リサの脳裏に、食い散らかした人間達の肉塊の山で酒盛りをする人食い鬼達の光景が浮かび上がった。
自分もその中に入りたい。
私は元は人間だったけど、今は鬼だ。
もう、きっと元の人間には戻れない。
だったら、好きな物飲んで……。
絵恋「リサさん?」
リサ「……はっ!」
そこで我に返るリサ。
絵恋「どうしたの?もう買う物決まった?」
リサ「い、いや……」
リサは改めて自販機を見た。
やはり、“鬼ころし”が売られている。
しかもタバコの自販機のように、何かカードが必要というわけではないようだ。
だが、さすがにこの2人の見ている前で買うわけにはいかないだろう。
それに、飲んだ後で酔っ払ったりしたら、愛原からメチャクチャ怒られるだろう。
それだけならまだしも、家を追い出されるかもしれない。
それだけは絶対に嫌だ。
リサ「何でもない。早く戻ろう」
リサは後ろ髪を引かれる思いで、自販機コーナーをあとにした。
そして、一気に階段を駆け上る。
絵恋「リサさん、待ってー!」
もう既に消灯時間になっているのか、廊下の照明は薄暗くなっていた。
天井のダウンライトが、所々しか点灯していない。
あと目立つ明かりと言ったら、非常口誘導灯の緑や白の明かり、そして火災報知器の赤いランプだけであった。
早苗「あら?部屋には鍵が掛かってる」
絵恋「オートロックじゃないの?」
その時リサは、廊下の奥から僅かに水の流れる音を聞いた。
そちらの方に目をやると、この部屋以外に煌々とした明かりの点いている場所があった。
それはトイレ。
そこから浴衣姿の愛原が戻って来た。
愛原「おー、ゴメンゴメン。戻って来たか」
絵恋「どこに行かれてたんですか?」
愛原「トイレだよ、トイレ。ここの施設は、部屋にトイレが無いからね」
要は合宿所のようなものだから、部屋には洗面所しかない。
トイレは共同トイレとなっている。
もちろん、個室の殆どは洋式になっており、ウォシュレットになっているのだが。
愛原はすぐに手持ちのカードキーで、部屋のドアを開けた。
部屋の中に入ると、室内は暖房がよく効いて暑いくらいだ。
だから、トイレに行く時に着ていたどてらを愛原は脱いだし、絵恋も上に着ていたジャージを脱いだ。
リサ「ビール、お代わりしたの?」
愛原「やっぱり、350ml缶だけじゃ足りなかった。最初から500を買えば良かったよ」
絵恋「飲み過ぎはダメですよ」
愛原「分かってる分かってる」
座卓の上には缶ビールが2つと、自販機で売られていたおつまみが置かれていた。
リサ「まあ、いいや。わたしも」
リサ達も自販機コーナーで買って来たお菓子やジュースを座卓の上や、畳の上に置いた。
リサ「先生、明日の予定は?」
愛原「朝食は明日の朝7時からだそうだから、その前に起きよう。6時半でいいかな?」
リサ「いいよ」
リサが頷くと、他の2人も頷いた。
愛原「よし。それじゃ、アラームは6時半にセットしておこう」
リサ「朝ごはんの後は?」
愛原「午前中は地下の研究施設で、検査を受けてもらうそうだ」
リサ「また、あそこに行かないといけないのか……」
絵恋「まあ、その為に来たようなものだからね」
リサ「ずっと一日中?」
愛原「それが、よく分かんないんだ」
リサ「というと?」
愛原「午前中検査を受けて、まあ、お昼を食べるよな。それ以降の予定を、善場主任から聞いていないんだ」
リサ「何それ?」
早苗「午前中の検査の結果次第で、予定が変わるってことかしら?」
愛原「そうかもしれないな。そもそも、ここに何泊しなきゃいけないのかってことすら具体的に決まってないだろ?」
リサ「確かに」
絵恋「ということは、明日の午前中の検査の結果次第では、午後は帰っていいということもあり得るわけですね?」
愛原「そうかもしれないな。まあ、とにかくそう言う事だから」
リサ「分かった。じゃあ、さっさと検査終わらせて、お昼食べて帰ろう」
早苗「そうなるといいですね」
その日の夜は、和やかなうちに終わった。
絵恋「ふう……。お風呂結構熱かったね」
リサ「わたしはちょうど良かった」
早苗「まあまあ、かな」
絵恋「そうなの?!」
風呂から上がった少女達はバスタオルで体を拭いたり、髪を拭いたり……。
その後で、さっきまで着ていた体操服とブルマを着用した。
絵恋「肌寒いんだけど、案外そこまで寒いってわけじゃないね」
リサ「外は雨が降ってる。冬の割には湿気があるからかもしれない」
絵恋「また雨なんだ。さすがに、ホワイトクリスマスってわけにはいかないね」
リサ「うん。世の中そんなに甘くない」
大浴場を出ると、同じフロアの自販機コーナーへと移動する。
リサ「エレン、わざわざ水買うの?」
絵恋「そうよ」
リサ「部屋にも水道あるよ?」
室内には洗面所が1つある。
ホテルの洗面所と同様、飲用可となっている。
絵恋「わたし、水道の水は飲めなくて……」
早苗「絵恋は御嬢様だからね」
リサ「わたしは飲める水なら飲んじゃうけど……。エレンの埼玉の家の水道の水は?」
絵恋「一応、水道には浄水器が付いてたけど、ウォータースタンドの水しか私は飲まなかったわ」
リサ「ああ!あのでっかいポリタンクの水!」
絵恋「そう!それ!」
リサ「確かに、あの水は美味しかった」
絵恋「でしょ!?」
早苗「私はもう飲み物を買ったよ。魔王様達はどうするの?」
リサ「サナエ、早っ!わたしは……」
リサはオレンジジュースを買った。
リサ「あとはお菓子、お菓子……」
この自販機コーナーには、他にもタバコやビールやカップ麺の自販機もある。
それ以外には、紙コップで売られるコーヒーの自販機やチューインガムの自販機まであった。
絵恋「ホント、色んな自販機があるわよねぇ……」
リサ「うん」
リサがお菓子の自販機でスナック菓子などを買っていると、早苗が隣の自販機でまた何かを買った。
それは紙パックの飲料自販機。
そこで牛乳を買っていた。
なるほど。
風呂上がりの牛乳か。
確かにここには、瓶入り牛乳の自販機は無い。
代わりに、紙パック式の飲み物の自販機があり、そこで牛乳類を売っているわけか。
それを見たリサは、一瞬食指を動かされた。
そして、一体他には何が売っているのだろうとラインナップを見た時だった。
リサ「え……?」
牛乳類しか売っていないと思ったが、他にも野菜ジュースなどを売っているようだ。
リサが目を丸くしたのは……。
リサ(何で“鬼ころし”が売られてるの?)
紙パックに入っている日本酒、“鬼ころし”が何故かあった。
赤鬼のイラストが入っている。
リサ(飲んでみたい……)
リサの脳裏に、食い散らかした人間達の肉塊の山で酒盛りをする人食い鬼達の光景が浮かび上がった。
自分もその中に入りたい。
私は元は人間だったけど、今は鬼だ。
もう、きっと元の人間には戻れない。
だったら、好きな物飲んで……。
絵恋「リサさん?」
リサ「……はっ!」
そこで我に返るリサ。
絵恋「どうしたの?もう買う物決まった?」
リサ「い、いや……」
リサは改めて自販機を見た。
やはり、“鬼ころし”が売られている。
しかもタバコの自販機のように、何かカードが必要というわけではないようだ。
だが、さすがにこの2人の見ている前で買うわけにはいかないだろう。
それに、飲んだ後で酔っ払ったりしたら、愛原からメチャクチャ怒られるだろう。
それだけならまだしも、家を追い出されるかもしれない。
それだけは絶対に嫌だ。
リサ「何でもない。早く戻ろう」
リサは後ろ髪を引かれる思いで、自販機コーナーをあとにした。
そして、一気に階段を駆け上る。
絵恋「リサさん、待ってー!」
もう既に消灯時間になっているのか、廊下の照明は薄暗くなっていた。
天井のダウンライトが、所々しか点灯していない。
あと目立つ明かりと言ったら、非常口誘導灯の緑や白の明かり、そして火災報知器の赤いランプだけであった。
早苗「あら?部屋には鍵が掛かってる」
絵恋「オートロックじゃないの?」
その時リサは、廊下の奥から僅かに水の流れる音を聞いた。
そちらの方に目をやると、この部屋以外に煌々とした明かりの点いている場所があった。
それはトイレ。
そこから浴衣姿の愛原が戻って来た。
愛原「おー、ゴメンゴメン。戻って来たか」
絵恋「どこに行かれてたんですか?」
愛原「トイレだよ、トイレ。ここの施設は、部屋にトイレが無いからね」
要は合宿所のようなものだから、部屋には洗面所しかない。
トイレは共同トイレとなっている。
もちろん、個室の殆どは洋式になっており、ウォシュレットになっているのだが。
愛原はすぐに手持ちのカードキーで、部屋のドアを開けた。
部屋の中に入ると、室内は暖房がよく効いて暑いくらいだ。
だから、トイレに行く時に着ていたどてらを愛原は脱いだし、絵恋も上に着ていたジャージを脱いだ。
リサ「ビール、お代わりしたの?」
愛原「やっぱり、350ml缶だけじゃ足りなかった。最初から500を買えば良かったよ」
絵恋「飲み過ぎはダメですよ」
愛原「分かってる分かってる」
座卓の上には缶ビールが2つと、自販機で売られていたおつまみが置かれていた。
リサ「まあ、いいや。わたしも」
リサ達も自販機コーナーで買って来たお菓子やジュースを座卓の上や、畳の上に置いた。
リサ「先生、明日の予定は?」
愛原「朝食は明日の朝7時からだそうだから、その前に起きよう。6時半でいいかな?」
リサ「いいよ」
リサが頷くと、他の2人も頷いた。
愛原「よし。それじゃ、アラームは6時半にセットしておこう」
リサ「朝ごはんの後は?」
愛原「午前中は地下の研究施設で、検査を受けてもらうそうだ」
リサ「また、あそこに行かないといけないのか……」
絵恋「まあ、その為に来たようなものだからね」
リサ「ずっと一日中?」
愛原「それが、よく分かんないんだ」
リサ「というと?」
愛原「午前中検査を受けて、まあ、お昼を食べるよな。それ以降の予定を、善場主任から聞いていないんだ」
リサ「何それ?」
早苗「午前中の検査の結果次第で、予定が変わるってことかしら?」
愛原「そうかもしれないな。そもそも、ここに何泊しなきゃいけないのかってことすら具体的に決まってないだろ?」
リサ「確かに」
絵恋「ということは、明日の午前中の検査の結果次第では、午後は帰っていいということもあり得るわけですね?」
愛原「そうかもしれないな。まあ、とにかくそう言う事だから」
リサ「分かった。じゃあ、さっさと検査終わらせて、お昼食べて帰ろう」
早苗「そうなるといいですね」
その日の夜は、和やかなうちに終わった。