報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「菊川到着後の行動」

2023-06-11 20:59:25 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[12月27日10時9分 天候:晴 東京都墨田区菊川 都営地下鉄菊川駅→愛原のマンション]

〔2番線の電車は、各駅停車、本八幡行きです。きくかわ~、菊川~〕

 私達を乗せた都営地下鉄の電車は、無事に菊川駅に到着した。

 愛原「やっと帰って来たな」
 リサ「先生。家に帰るまでが仕事だよ」
 愛原「ははっ!そうだったな」

 私達は改札階へ上がるエスカレーターへと向かった。
 その間に、短い発車メロディがホームに流れる。

〔2番線、ドアが閉まります〕

 ホームドアと車両のドアが閉まった。
 外国の地下鉄ならそのまますぐに発車するところだが(そもそも外国の地下鉄って、案外ホームドアの普及率が低い)、都営地下鉄新宿線では車掌がその後で発車合図のブザーを運転席に鳴らしてからなので、発車まで数秒のブランクがある。
 ワンマン運転だとこのプロセスが無いので、早めに発車する。
 まだホームドアが無かった頃の都営大江戸線など、車両のドアが閉まったら、外国の地下鉄並みにすぐに発車したものだ。
 今はホームドアの閉扉確認をしてから発車するので、少しブランクがある。
 で、この菊川駅には、スカートを穿いている女性にはやや困ったことがある。

 リサ「フム」

 既に何度も利用しているリサは知っているのでスカートの裾を押さえているが、久しぶりに乗る絵恋は、スカートが強風でふわっと捲り上がった。
 幸いリサほど短いスカートではないので、中が見えるほどではなかったが。

 絵恋「きゃっ!……おんどりゃ!このスケベ電車、待たんかこらーっ!」
 リサ「え、エレン……?」
 愛原「だ、ダメだよ、絵恋さん。元とはいえ、御嬢様がそんな言葉遣いしたら……」
 絵恋「……あらぁ?愛原先生ったら、何の話ですかぁ?」

 絵恋は何事も無かったかのように、また御嬢様言葉に戻った。

 愛原「い、いや……何でもない」

 特に変な構造をしているわけではないのだが、他の地下鉄駅と比べても、菊川駅はどうも電車入線・発車時の風が強いような気がする。
 駅自体の構造よりは、トンネルの構造に問題があるのだろうか?
 とにかくエスカレーターを上がって、改札口を出る。

 愛原「先に荷物置いてからの方がいいな」
 リサ「そうする。私も着替えとか洗濯しないと……」
 愛原「高橋を一旦帰そうか。洗濯してもらって……」
 絵恋「わ、私がやります!」
 愛原「絵恋さんはお客さんなんだから、気を使わなくていいんだよ?」
 絵恋「いいえ!1週間ほどお世話になるんですから、それくらい当然です!」

 ここでリサは、ピンと来たという。

 リサ(自分の服とか下着とかを、男の兄ちゃんに洗われたくないんだな……)

 私は自分のスマホで、高橋のスマホに電話した。

 愛原「あー、もしもし。高橋か?いま事務所?あー、やっぱりお前達の方が早かったか。実はさ、俺達、いま菊川駅に着いたんだよ。でさ、ちょっと一旦、マンションに帰って荷物置いてくるから。……そう。で、何泊かしたもんだから、洗濯物が溜まっててさ。ちょっと、洗濯手伝ってくれないか?……ええっ!?」

 私は高橋が信じられない言葉を聞いた。

 リサ「何だって?」
 愛原「既にパールがマンションで留守番してるってよ」
 絵恋「ファッ!?」

 というわけで、マンションに帰ると……。

 パール「お帰りなさいませ、御嬢様方」

 メイド服に着替えているパールが、相変わらず氷のような瞳で微笑を浮かべながら出迎えた。
 メイド服は斉藤家で着ていたものよりも、もう少し扇情的なもの。
 恐らく昼間のメイドカフェか、或いは夜のメイドコス風俗店の制服だろう。
 斉藤家で着ていたメイド服と比べて、袖はノースリーブだし、スカートもロングスカートのように見えて、チャイナドレスのように深いスリットが入っている。

 パール「ただいま、お掃除を行っております」
 愛原「い、いいよ!別に、俺はキミをメイドとして雇ったわけじゃないし……!」
 パール「絵恋お嬢様がこちらのお宅で快適にお過ごし頂けるよう、メイドとしての勤めを行ってございます」
 愛原「えぇえ……」
 絵恋「で、でもちょうど良かったわ!パール、私の服を洗濯してくれない?リサさんのも」
 パール「かしこまりました。御嬢様」
 愛原「俺の洗濯物も溜まってるんだが……」
 パール「愛原先生とマサの洗濯物は、御嬢様方の洗濯が終わった後、させて頂きます」
 愛原「そ、そう」
 パール「まずは汚れ物をお出しください」
 愛原「わ、分かった」
 リサ「先生、わたしのくすねた使用済みパンツ返して?」
 絵恋「ええーっ!?」
 愛原「くすねてねーよ!!」
 リサ「あ、ゴメン。間違えた。エレン、お前が犯人だった」
 絵恋「ごめんなさーい!」
 パール「御嬢様のお荷物の中から、リサ様のショーツが出てきました」
 愛原「こんな、何の色気も無いナイキのパンツ盗んでも、しょうがないだろう?」
 絵恋「り、リサさんの使用済み下着が欲しくて……」
 リサ「これはスポブラとセットなんだから、パンツだけ取られても困るんだが?」
 絵恋「ごめんなさーい……」
 リサ「罰として愛原先生に、使用済みブルマを進呈すること!」
 絵恋「ヒイッ!それだけはーっ!」
 愛原「さりげなく俺を巻き込むんじゃねーよ!」
 パール「先生のお宅の留守番は、私にお任せください」
 愛原「そ、そうか?まあ、絵恋さんもここにいるわけだからな……」
 絵恋「そうです」
 愛原「じゃあリサ。俺は事務所に行くから、絵恋さんと仲良く遊べよ」
 リサ「遊ぶ前に……」
 愛原「ん?」
 リサ「冬休みの宿題、一気に片付ける」
 絵恋「さすがはリサさん!」
 愛原「そ、そうか。まあ、勉強熱心なのはいいことだ。とにかく、夕方には帰るから」
 パール「愛原先生」
 愛原「何だ?」
 パール「御夕食は何に致しましょう?」
 愛原「ええっ!?……えーと、確か……高橋のヤツ、今日はすき焼きにするとか言ってたぞ?食材の買い出し、昼過ぎに行くと言ってた」
 パール「かしこまりました。それでは、マサと心を込めてお作り致します」
 リサ「メイドさんメイドさん!」
 パール「何でございますか?」
 リサ「肉は特盛でね?!」

 リサはよだれを垂らしそうになりながら言った。

 パール「かしこまりました」

 これはきっと、夕食も賑やかになることだろう。
 ていうかパールのヤツ、居候する気か?
 いや……いっそのこと、引っ越しの手伝いをさせるのも手かな。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする