暗黙のルール

　プロ野球では、大差がついた試合で、勝っているチームは盗塁をしてはならない、という暗黙のルールがあるという。

　卓球では、１セットが１１点であるが、１１－０で勝ってはならないというルールがあるらしい。

　つまり１０－０で勝っている場面では、相手のプライドを考えて、１ポイント献上するのだ。

　卓球暦４０年の私としても知らなかったが、１０年以上前、「この娘、全日本の強化選手に選ばれるかも」という女子高生と対戦したことを思い出した。

　当時は１セット２１点だった。

　「試合お願いしま～す」というかわいい声に「ええよ」と答えた。

　１８点取られても私は１点も取れない。

　次の彼女のサーブで信じられないミスをした。

　結局２１－１で負けた。

　あれがそうだったのか。

　卓球には少しは自信があったが、あんなことになるなんて。

　その後、彼女はろくな人生を歩んでいないと思う。