チョーク

　世界的なチョークのメーカー、羽衣文具が廃業した。

　昨年１０月に、羽衣文具社長が会見で

　「弊社では平成２７年３月末日をもちまして廃業いたすこととなりました。少子化と教育環境の変化による需要の減少、後継者不在に加え私の体調不良により、やむなく廃業を決心いたしました」

　と述べていた。

　そして今、廃業した羽衣文具の高品質なチョークを、世界中の数学者や教授が買い求めているらしい。

　日本でも多くの学校などから指名買いされていた羽衣文具のチョークは、海外では「チョーク界のロールスロイス」とも称されているほどの品質で、スタンフォード大学のブライアン・コンラッド教授は羽衣文具の廃業にあたり、今後15年分の羽衣文具のチョークを買いだめしたという。

　なぜ多くの学者や教授がホワイトボードよりも黒板とチョークを好むのか。
　
　1つはホワイトボードは掃除に多くの手間がかかり、洗浄液なども用いる必要があるため、より維持費用がかかるという点。

　そしてもう一つは、ホワイトボードマーカーのインクはいつ切れるか分からない、という点。

　これは学者などにとって、通常考えられているより遥かに大きなストレスになるようだ。

　「羽衣文具の廃業は数学界の悲劇」と言われるほど、世界の数学者にとって衝撃的なことだったようだ。

　オンリーワン、ナンバーワンの日本製品は多いが、意外なナンバーワンもあるものだ。