桒田三秀税理士

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すべては経営理念~喜久屋

2009-11-10 08:25:38 | 経営
 喜久屋は昭和31年創業のクリーニング業。東京近郊を中心とした商圏で年商17億を売り上げる。現社長中畠信一氏は二代目になる。
クリーニング業は成熟産業から斜陽産業の時代だ。17年前8160億だった市場が現在は4300億と縮小し、客単価も30%減少しているという。業界は過当競争によるダンピング合戦の末、品質は低下し結果として需要が減少する悪循環に陥っている。
そこで喜久屋は、従来のクリーニング業界になかった以下のサービスを考えた。
 ①リフォームサービス(ボタンの付け替え、破れ、破損の修理)翌日渡し
 ②通気不織布サービス(従来のビニール袋に代えて)
 ③加齢臭防止サービス
 ④汗の臭い消しサービス
 ⑤ワイシャツ2デイズサービス(2日間着れるワイシャツ)
 ⑥夜間特化のデリバリーサービス
 ⑦ズボンの折り目長持ちサービス
 ⑧保証書の添付

 また、現在持っている経営資源(人、物、金、情報)の範囲内で新しい市場を創造することにしたという。クリーニング業は4月がピークで、8月は4月比55%、10月は同80%、2月は同50%と季節変動が激しい商売だ。そこで喜久屋は経営資源を効率よく回転させるため、ピークである4月の売り上げを伸ばすより、8月、2月の稼働率を上げる方法を考えた。それが「イークローゼット」だ。マンションなど限られたスペースでは、季節衣料がオフシーズンには置き場所に困ることに着目し、クリーニングのついでに衣料を預かり、保管するサービスだ。最初は赤字続きだったが現在では14000件の会員を確保しリピート率は80%だという。そして、当初衣料に限っていたものを今では「シーズン性があって、メンテナンスが必要で、邪魔なもの」というキーワードで、ふとん、スノーボード、ブーツなどにも範囲を広げている。

成熟市場にあって新たに需要を創造するプロセスとして、
 ①時流を知る、感じる、取り込むこと
    時流には、本流、支流、一過性の流れとあり、今の時流がどれなのかという判断能力が問われ、その上で必要なことは「ウチは違う」と思わず、自社に置き換えて考えることだという。
 ②コブの経営を心掛けること
    本業をベースに、あたかも頭にコブを造るが如く新しく事業を展開する こと。
 ③つながる力を原動力とすること
    たとえば「イークローゼット」の延長線上に、不要となった本やCDといった市場があり、一方で本やCDの中古市場の業者は業態展開として、不要な洋服を視野に入れている。そこでそうした業者と連携を図るというものだ。

 こうしたビジネスの展開には、常に同社の経営理念が根本にあるという。
  「喜久屋でよかった!」
    お客様より「喜久屋でよかった!」
    働くみんなが「喜久屋でよかった!」
    取引先から「喜久屋でよかった!」
    地域社会が「喜久屋でよかった!」
 という三方よしの精神に基づいた経営理念だという。 
 新規の商談もこの理念に沿わない商談はお断りする。そうした強い信念で、今年 末には中国に進出する。
    09/11/09 FMC11月例会より
コメント (2)
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