紀州新聞 THE KISYU SIMBUN ONLINE

和歌山県の御坊市と日高郡をカバーする地方紙「紀州新聞」のウェブサイトです。主要記事、バックナンバーなどを紹介。

市民教養講座で林真理子さん講話、作家生活飾らず語る 〈2018年9月4日〉

2018年09月04日 08時30分00秒 | 記事

自身の作家生活を飾らず語る林真理子さん


 平成30年度市民教養講座の第3回は1日、今年のNHK大河ドラマ「西郷(せご)どん」原作者の作家・林真理子さんを講師に、御坊市民文化会館で開催。人気作家の話を聞きたいと詰めかけた843人が会場を埋め尽くすなか、林さんは「私の仕事から」と題し、大河「西郷どん」の制作エピソードを交えながら自身の作家生活を飾らず語った。

 冒頭、林さんは「有吉佐和子さんが好きで、紀ノ川とか有田川とかに思い入れがあって」と、今回の和歌山への来訪を自身の愛する和歌山県出身の小説家を挙げて喜び、「『西郷どん』見てくれてますか?」と会場に質問。それに応えるように会場からは拍手がわいたが「西高東低で、5%違うんです。関西では『イッテQ』よりも高いが、関東じゃこの前はみやぞんのマラソンに負けて」と、伸び悩む視聴率の現況を吐露。しかし今年の年賀状に「今年は林さんの年ですね」とたくさんの人から書かれたことを「前年に日経新聞朝刊で連載してて、そこで盛り上がって『西郷どん』。『あの女、持ってるよな』とか『落ち目になると思うところにやるよな、オバサン』とか、そんな思いがこもっているのかな」と分析したり、「今、大河作家で生きている人は4人しかいない」とその名前を挙げたりして、「本当にありがたいこと」と大河作家になれたことに感謝した。
 大河ドラマの大役を引き受けることになった経緯を語る場面では、徳川慶喜の妻を描いた「正妻」を書いた後「今から4年で維新150年。絶対に大河は幕末。この前は長州をやったから、次は薩摩。西郷をやってみろ」と人から勧められたが「無理だなと思った。慶喜のような変わり者なら書いていて楽しかったが、こんな偉人中の偉人は」と尻込みしたこと、しかし「背伸び無くして進歩なし」と奮い立ったこと、鹿児島に取材に行ったら、20数年前に田辺聖子も自分と同様に、西郷を支えた3人の妻を書きたいと言ったと聞いて驚いたことなど、逸話をいくつも紹介した。
「歴史小説は、ものすごくお金と時間がかかる」と、書くまでの史実研究や、書く段階での方言や史実の確認、編集者とのときに言い争いにもなるやりとりなどに触れ「歴史哲学を日頃から鍛えておかないと、上っ面のものになる」と、歴史小説に臨む真摯な姿勢。自身が「西郷どん」を書いたことで今、若い作家らも福沢諭吉や勝海舟などを題材に小説を書き始めたことに「私に触発されて若い作家が『よし、やったる』と活気づいたのがうれしい。私も勝海舟を書いてみたいな」と続けた。
「歴史小説を書く上で、書き出しはできるだけ華やかに楽しく」との思いから、「西郷どん」の最初に、西郷の息子・菊次郎を登場させた思いも解説。取材するなか、西郷どんの弟・従道の玄孫にあたるという大学生に出会い、大河ドラマに少し出演してもらったエピソードにも触れた。
 北方謙三に「まるで男が書いているみたい。なぜ男の心情がそう分かるのか」、渡辺淳一に「一番おもしろくて難しいのは男女の情緒を書くことだよ。男と女の情緒を書きなさい」と言われたことなど、他の作家とのやりとりも紹介。副理事長を務める日本文藝家協会では、富士霊園に文学者の墓をつくっていて、自身も購入したら「なんと向田邦子さんの隣で。向田さんのお墓参りに来た人が、お線香の余ったのを一本くれるに違いない」と笑いを誘った。
「60代が一番書けると、田辺聖子さんが言った。その言葉を信じて書き続ける」と林さん。母親は101歳、父親は92歳と、長寿だった両親から「わたしもそのくらいまでいける。そして私たち作家には、寂聴先生という希望の星がいる。わたしは寂聴に似ていると言われるから、それまで書ける」と今後の執筆活動にも強い意欲をみせた。


その他の主なニュース

 美浜町煙樹ケ浜フェスティバルにぎわう

 御坊・日高子育て支援研修会、中丸元良さん(かえで幼稚園長)招き講演会

 紀の国トレイナート、JR切目駅周辺の町並み探索

 学童野球秋季大会、6年生最後の公式大会開幕


御坊市藤井グラウンド被害約4千万円(概算)災害復旧で対応 〈2018年9月2日〉

2018年09月03日 08時30分00秒 | 記事

管理道路がえぐられるなど被害を受けた藤井多目的グラウンド


 御坊市は、8月24日の台風20号による日高川増水で浸水被害を受けた日高川ふれあい水辺公園・藤井多目的グラウンドについて、今回も市の財政負担がほぼいらない国の災害復旧事業を活用して原形復旧する方針を決め、9月定例議会最終日に補正予算を追加計上する方向で調整している。今年最強レベルと言われる台風21号が来週前半に日本に接近・上陸する恐れがあり、詳細な被害調査は見合わせているが、被害額は概算で3500~4000万円程度と見られる。

 藤井多目的グラウンドが水没したのは平成27年7月の台風以来3年ぶり。今回の台風20号は平成23年9月に紀伊半島大水害をもたらした台風と似たコースを通ったこともあり、椿山ダム上流で豪雨となり、24日午前3時の毎秒2092トンを最高に3~4時間の間で2000トン前後の放流が続き、日高川が増水。その影響でグラウンドは全て水没し、対岸の日高川ゴルフ場も川側の5番(グリーン除く)6~9番ホールが浸水した。
 ゴルフ場は大きな被害はなく、水が引いたあと、ふれあいセンター職員らでごみを取り除くなど作業を行い、すでに再開しているがグラウンドは閉鎖したまま。グラウンドの真砂土は流されたり、下流側に堆積しているほか、転倒式フェンスやバックネットには流木などごみが大量に付着している。護岸とグラウンドの間にある管理道路がえぐられているところもある。
 今週からごみの撤去や詳細な被害調査を行う予定だったが、台風21号が接近しているため、見合わせている。今のところ被害額は3年前並みの3500万円~40000万円程度とみられ、9月定例議会最終日に補正予算を追加計上する方向で調整しているが、台風21号でさらに被害が拡大する恐れもあるため、今後の状況を見ながら対応を検討する。9月議会に補正予算を計上できれば台風シーズンの終わった秋以降に工事を行い、遅くとも来春に再開できる見通し。
 藤井グラウンドは平成9年の供用開始以降、目立った浸水被害はなかったが、7年前の紀伊半島大水害で壊滅的な被害を受けて以降、大きな被害を受けたのは4回目。少年野球やグラウンドゴルフなど年間1万5千人~1万8千人が利用し、市は「水辺公園は景観美化、市民の健康増進に加え、防災上も重要な施設」と位置づけている。27年の被害時は復旧費3500万円のうち、市の一般財源負担は約8万円で済んでいる。


ダム放流量の調整「検討する」
市自治連要望に仁坂知事回答

 県下8市の連合自治組織で構成する県自治会連合会(会長・柴本勝治御坊市自治連会長)代表と仁坂吉伸知事ら県当局との平成30年度県政懇談会は31日、和歌山市のホテルアバローム紀の国で開き、各自治連から出された要望に県当局が回答した。
 御坊市自治連合会は副会長の戸田省三、中岡一紀、柏木正之各氏が出席。市ふれあいセンター理事長を務める柏木氏が椿山ダム放流に関して藤井グラウンドの浸水被害を説明しながら「放流量の調整を検討してほしい」と求めたのに対し、仁坂知事は「検討したい」と答えた。
 過去の事例からダムの放流量が毎秒1000トンを超えるとグラウンドが冠水するため、市や議会は県に対して(1)椿山ダムの操作規定見直し(2)低水護岸前へのブロック設置(3)日高川の堆積土砂しゅんせつ-を要望し続けている。


その他の主なニュース

 印定寺(印南町)で角屋甚太郎が土佐から持ち帰り植えたアコウの木確認

 県自動車青年会議所が体験イベント「キザニック」に向け展示・体験車両製作中

 岩城花音さん(紀央館)高校生国際美術展で奨励賞受賞

 9日 第45回御坊市民総体、11地区の役員団出そろう


柏木御坊市長会見、9月定例議会の提案議案発表 〈2018年9月1日〉

2018年09月01日 08時30分00秒 | 記事

提案議案を発表する柏木市長


 柏木征夫御坊市長は31日、市役所で会見し、7日開会の9月定例議会に提案する議案9件、報告1件を発表。3億5897万4000円を追加した平成30年度一般会計補正予算は大阪北部地震に伴う学校など8施設のブロック塀撤去・改修費3700万円、来年3月23日に日高港へ初寄港する国内最大のクルーズ客船「飛鳥Ⅱ」のおもてなし費348万7000円などを計上した。

 学校や保育園、教育関係施設の敷地内にあるブロックを調査し、建築基準法で定められた高さ2・2メートル以下、控壁の設置間隔3・4メートル以内に違反、または違反の恐れがあるブロック、または老朽化したブロックをすべて撤去し、金属製のフェンスを設置する。対象は御坊中1800万円、藤田小570万円、湯川小110万円、わかば保530万円、しらゆり保470万円、薗会館110万円、市教委60万円、小松原西会館50万円。すべて年度内に工事を終える。
 飛鳥Ⅱは春の休日小豆島・紀州日高クルーズ(横浜~小豆島~和歌山日高~横浜)で3月23日午前8時に日高港に入港し、午後1時に出港予定。市にとって待ちに待った初寄港で、今後も定期的に入港してもらおうと「乗船客の心に残る温かいおもてなしをしたい」と官民一体で盛大なイベントを計画。市や市観光協会、御坊商工会議所など各種団体でつくる「GO!GOBOプロジェクト協議会」を母体に日高広域観光振興協議会、日高振興局なども交えた組織をつくり、具体化させる。
 このほか、国保日高総合病院負担金1億4952万円、野菜花き産地総合支援事業補助金839万円、基幹水利施設ストックマネジメント事業名田2期地区負担金1023万円、市道北野口3号線ほか道路維持費2300万円、在宅育児支援給付金810万円、紀の国緑育推進事業委託61万円などを計上。先日、野口の沼野一惠さんから寄付を受けた1000万円は庁舎建設基金に積み立てる。
 歳入不足を補うため財政調整基金から2億5595万6000円を繰り入れた。30年度末残高見込みは13億6700万円となる。


その他の主なニュース

 林野庁長官賞に川口源治、田端宏さん

 御坊市が日高高校に災害用簡易トイレ6基と発電機1台寄託

 御坊市身体障害者福祉協会が市議と初の交流会、体験

 救難システム開発進める秋山・和大教授が印南町で実証実験