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紀伊半島大水害 未曾有の大水害からきょう(3日)10年 日高川が道路をのみ、牛が漂流 〈2021年9月3日〉

2021年09月03日 08時30分00秒 | 記事


濁流が自動車を流し、全壊した牛舎から牛が漂流。付近では2人の男性が亡くなった(平成23年9月4日、日高川町小釜本地内)


 平成23年9月3日から4日かけて襲った台風12号が引き起こした紀伊半島大水害からちょうど10年を迎える。100年に1度と言われた大雨は、紀南地方を中心に未曾有の被害をもたらし、日高地方でも日高川の各所で堤防が決壊、道路や橋をのみ込み、日高川町では死者3人(行方不明者1人)を出した。同町小釜本の牧場が破壊され、500頭以上の牛が漂流。煙樹ケ浜にも死んだ牛や生きたままの牛が大量に流れ着くなど日高川上流から下流まで目を覆う惨状が広がった。

 当時、県内では台風上陸前から激しい雨が降り続き、9月2日午後には御坊市内などの日高平野部でも冠水被害が発生していた。3日午前6時ごろに高知県東部に上陸した台風12号は、紀伊半島を中心に断続的な雨を降らせ、同日夕方には日高川下流の日高川町和佐地内などで大規模な冠水が始まった。台風は、岡山県に再上陸し、日本海に通るコースをたどったが、動きが遅いうえ、台風東側にあたる紀伊半島は猛烈な雨が降り続いた。
 日が落ち、御坊市内などの平野部で雨脚は弱まったが、日高川上流部ではその後も豪雨が降り続き、3日午後8時に日高川町寒川で時間雨量が48ミリ、午後9時に55ミリを記録するなど直近7時間で約300ミリを記録。椿山ダムの放流量は前例のない約4000トンに達した。午後9時ごろには同町松瀬や平川地内でも県道に水があふれ出し、中津、美山両地区では各所で堤防が決壊し、濁流に道路がのみ込まれていった。
 川原河地内では4日未明、役場美山支所近くの町道で、避難所に向かっていた80歳男性が浸水した車に取り残され命を落とした。早朝には町を東西に走る幹線道路の県道御坊美山線は川のような状態となり、道路網は完全に寸断。最も被害が大きかった美山地域では日高川に架かる3つの橋が落ち、川沿いの道路がアスファルトごと濁流にのみ込まれ、皆瀬地内では大量の流木や土砂が集落を襲った。小釜本地内の牧場が全壊し、飼育されていた黒毛和牛572頭が漂流。流域には死んだ牛や生きたままの牛が大量に流れ着き、海岸部でも美浜町から和歌山市にかけての沿岸、遠くは徳島県まで死がいが流れ着いた。同牧場付近では会社の様子を確認しに出掛けた地元男性2人と連絡が取れなくなり、夕刻に同地内や坂野川地内の日高川で遺体で発見された。
 10年という節目を迎え、日高川町では4日正午に防災無線で黙とうを呼びかけ、午後1時30分から日高川交流センターで行う追悼式典で追悼の言葉や献花し、父を亡くした信濃大典さんが遺族代表で思いを語る。あの惨状を記録と記憶にとどめ、教訓を後世に受け継ぎながら早期避難などの防災対策に役立てなければならない。


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