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御坊市制70周年事業「ごぼう防災ゼミ」盛況 〈2024年7月17日〉

2024年07月17日 08時30分00秒 | 記事


パネルディスカッションに参加した野口、枝曾丸、
三浦、酒本各氏(左から)


 御坊市制70周年記念特別事業「ごぼう防災ゼミ」は14日、市民文化会館で開かれ、1千人(主催者発表)が来場。アルピニストの野口健氏を招いた基調講演、落語家の桂枝曾丸氏による防災落語、パネルディスカッションをはじめ、合唱や体操、VR火災体験、避難所設営デモ、起震車体験など各種イベントが行われ、防災についての正しい知識をゼミ形式で学んだ。

 パネルディスカッションは、本塚智貴・明石高専建築学科准教授をコーディネーターに、パネリストの野口氏、枝曾丸氏、三浦源吾市長、酒本和彦・市自主防災組織連絡協議会長が「近年の災害と地域防災」をテーマに意見を出し合った。
 野口氏は、全国各地での被災地支援の経験から「行政だけでは限界がある」とし、災害対策に特化した民間団体と協定を結ぶことを提案。災害をリアルに体験できる被災地ボランティアへの参加を促し、各家庭で日ごろから整理整頓を心がけるようアドバイス。災害発生時は「リーダーのメッセージがすごく大事」とも述べ、首長の素早い行動が迅速な支援につながった事例も紹介した。
 枝曾丸氏は地域コミュニティの力が重要とし「地域の活動、行事、祭りなどに参加してほしい。古き良き隣近所の付き合いを下の世代に伝えてほしい」と求めたほか、防災意識を向上させる手段としてAEDを設置している場所をめぐるスタンプラリー、地域の行事等に防災要素を取り入れるなどひとひねり、工夫をすることも大事と述べた。
 酒本会長は、訓練と呼ばずに楽しく防災を学べる防災まつりが大きな反響を呼んだこと、高齢者の体力づくりをめざす「ステキ体操GO!GO!GOBO」の普及、学校での防災教育導入など活動を紹介。災害時に発令される避難指示等が肩透かしにあっても、芝田求・西富安地区自主防災会長が語った「空振りではなく、素振り」と思ってほしいと意識改革を促した。
 三浦市長は市内3カ所の避難タワー整備、新庁舎開庁等でハード対策はほぼ終わり、今後は各家庭での家具固定や個別避難計画の策定、自主防災組織の連携強化と未設置地域での組織設立などソフト対策に力を入れると述べた。大規模地震発生当初は公助が期待できない場合が多く「家庭で最低3日分、できれば1週間分を備蓄するようお願いしたい」と協力を求めた。
 大ホールでは御坊少年少女合唱団がコーラスを披露。「ステキ体操GO!GO!GOBO」を実演し、枝曾丸氏が防災落語、小ホール等ではVR消火体験、避難所設営デモ、健康チェックコーナーなど。屋外で地震体験車、日本栄養士会キッチンカー、特殊車両展示などが行われた。

寝袋備蓄、テント村場所確保を
自然体験も推奨 野口氏が講演
 野口氏は「災害を生き抜くために~テント村という選択肢」をテーマに基調講演。全国から寄せられたテントや寝袋、寄付金をもとに自治体やボランティアの協力でテント村を開設した経験をもとに災害時の避難所のあり方を提言した。
 テント村は避難所と違って周囲に気兼ねすることなく、心身ともにほっとできる空間だとし、平成28年熊本地震では最大時で156世帯、571人がテント村に入居。専門家から「今後の被災地のモデルケースにすべき」との評価を受けており、野口氏は「準備は1日半でできるので、事前に開設場所を決めておいてほしい」と促した。
 また、避難所で寒さをしのげる寝袋について「自治体で備蓄してほしい。市民全員分を用意しなくても、それぞれの自治体が一定数持っていれば相互応援できる」と提言。地域住民には「生き抜く力を培うために家族でキャンプ体験、自然体験の機会を増やしてほしい」と求めた。


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