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日高港 全国初「開港と同等の運用」へ 〈2024年7月14日〉

2024年07月14日 08時30分00秒 | 記事


4者協議の結果を報告する花田局長(左)


 県や御坊市、市議会が関税法上の「開港」早期指定を目指している日高港について財務省関税局、大阪税関、和歌山税関支署、県の4者協議で、県が港の設備を改善して取り締まりを強化することを条件に外国貿易船が直接入港できる運用を始めることで合意した。「開港」とほぼ同等の扱いとなるため、地元にとって朗報。全国の公共港でこの運用が適用されるのは初めてで、地元の熱意、県の努力、二階俊博代議士のバックアップが功を奏した。

 日高港は平成16年4月から暫定供用しているが、関税法上は「不開港」のため、税関施設等は設置されておらず、和歌山下津港など近くの港で入港手続き等を行う必要がある。開港指定の具体的な条件はないが、少なくとも閉港基準(1年を通して貨物の価額合計が5千万円を超え、かつ外国貿易船の入港合計隻数が11隻を超えることが引き続き2年間なかった時など)以上を満たす必要がある。
 日高港に建設している和歌山御坊バイオマス発電所が令和7年9月に運転開始すれば、開港指定の環境が整うことから岸本周平知事と三浦源吾市長が国に令和6年中の指定を要望。財務省幹部から「取扱貨物量や貨物船を増やす取り組みが大切」と実績づくりが重要との見解が示されていたが、二階代議士のバックアップ、県の粘り強い交渉の結果、6月に行った4者協議で全国的に類を見ない「開港とほぼ同じ運用」が適用されることになった。
 12日に開いた市議会日高港振興対策特別委員会(向井孝行委員長)で、花田祥一・県港湾空港局長が4者協議について「地元の期待する『輸送の効率性や経済性』の向上による『日高港自体の活性化』に応えるべく前向きに議論し、県が日高港の設備を改善することで税関が取締上支障がないと認める場合には、外国貿易船が直接入港できるよう取り組む」ことで合意に達したと報告した。
 バイオマス発電所で使用する燃料を運ぶ外国貿易船が入港する場合、その都度、和歌山下津港から税関職員が出張し、入港手続き等を行うことになり「開港」とほぼ同じ運用となる。この運用を行うには外国貿易船が入港するソーラスフェンス内に人が行き来できないよう取り締まりを強化する必要があり、発電所が稼働する来年9月までに県が必要な改善対策を行う。
 改善対策は(1)保安フェンスの強化(二重フェンス、センサー設置など)(2)監視・警備機能の強化(監視カメラの設置、入港時は24時間警備にあたるなど)や情報共有、通報体制の整備(3)船舶取り締まり、税関検査場所の確保・提供等(4)埠頭への侵入等防止の周知徹底(5)港湾関係者への保安・安全ルールの明確化、指導・徹底を挙げており、予算が必要なものは来年度当初で確保するとした。
 花田局長は「来年秋のバイオマス発電所稼働に向け、県としてしっかり取り組んでいく」とし、市には「フェンス内に釣り客等が入らないよう啓発、周知をお願いしたい」と求めた。バイオマス発電所は木質ペレットとパームやし殻の混合燃焼で発電容量は5万キロワット。燃料は海外から年間約20万トン輸入する予定で、今後は貨物量の実績を積み上げながら関税法上の「開港」指定をめざす。


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