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御坊市が南海トラフ想定の事前復興計画案をまとめ説明会で公表 〈2024年2月2日〉

2024年02月02日 08時30分00秒 | 記事

 御坊市は、南海トラフ巨大地震を想定した事前復興計画案をまとめ、31日に市役所で開いた住民説明会で概要を公表。復興期のまちづくりイメージは、壊滅的な被害が予想される旧御坊町の多くは移転し、跡地は公園や土地利用調整エリアとし、新市街地は河北と河南に分散、復興住宅等は標高が高い市内各所に散在させるなどの内容。この案が完成形ではなく、今後、議論を深めていくための「たたき台、ベース」だと強調した。

 南海トラフ巨大地震が発生した際、復興にいち早く取り組めるようにする計画で、昨年度から専門家を中心に策定作業を進め、復興まちづくりの基本目標や基本方針、応急復旧期と復興期の整備方針、まちづくりのイメージ図を提示。
 被災後の応急復旧期は応急仮設住宅約5300戸(約50ヘクタール)と災害廃棄物用地約52ヘクタールが必要。応急仮設住宅は浸水想定区域外に既存コミュニティごとのまとまりで収容できる用地を確保するとし、候補地に藤田町や野口、名田町等を想定。災害廃棄物用地は旧御坊町を中心に各地域(藤田町除く)に最低1カ所確保し、高速御坊インター近くに災害拠点基地を置く想定。
 復興期は復興住宅約1320戸(約29ヘクタール)と災害公営住宅約2000戸(約11ヘクタール)必要とし、湯川町富安や藤田町、野口、塩屋町北塩屋、名田町等に分散して用地(土地の嵩上げ含む)を確保。復興住宅は復興整備に伴う切土・盛土宅地を中心に検討、災害公営住宅は事前に景観への配慮を検討するとしている。
 まちづくりのイメージとして旧御坊町の多くは移転し、大浜通り周辺から南の地域は防災歴史公園(仮称)、北の市民文化会館周辺までは土地利用調整エリアと想定。住宅地や商業地として再建しない理由に面積が広範囲のため、土地のかさ上げで多額の費用が必要なことなどを挙げた。
 新市街地は河北、河南地域に分散させ、河北は市民文化会館周辺から日高振興局周辺をかさ上げして整備するほか、JR御坊駅前も候補地に挙げた。河南は北塩屋地域で丘陵を切土して国道や平地をかさ上げして新市街地として整備、産業用地や住宅用地も確保。
 これらの想定、イメージは「今後、議論を深めていくためのたたき台、ベース。住民感情などは考慮せず、専門的、技術的な観点から提案したもので、これからがスタート」と強調。旧御坊町をかさ上げして住宅地、商業地として再建すべきなど異なる意見も当然あるため、今後、地域を巻き込んだ議論を深めていく中で「より良い計画に仕上げてほしい」と求めた。
 基本目標は「みんなで助けあい・守りきるふるさと御坊」。基本方針は(1)命を守るまちづくり(2)暮らしやすさを高めるまちづくり(3)産業を守るまちづくり。市の主な事前準備として(1)地籍調査の迅速化(2)農業振興地域解除などを被災前に検討し、新市街地の計画を立案(3)仮設用地や災害廃棄物用途など地元との事前調整(4)学校授業での防災教育導入などを挙げている。
 説明会には自治連や自主防災組織関係者、一般ら57人が出席し、さまざまな意見が出された。7日から21日まで、より詳細な計画案を縦覧し、市民から意見を募集する。それら意見を参考に必要に応じて修正した上で3月に開く策定委員会で計画をとりまとめる。


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