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津波防災研究会有志らが東北被災地視察 〈2023年12月22日〉

2023年12月22日 08時30分00秒 | 記事


気仙川水門を視察した研究会メンバー

高台から旧北上川の河川整備状況を視察


 御坊商工会議所の津波防災研究会(会長・谷口邦弘(株)谷口組会長)有志ら11人が、20日と21日に東日本大震災被災地の宮城県、岩手県を訪れ、津波に対する水門や防波堤など整備状況を視察。ハード整備による事前防災の重要性を再確認するとともに同研究会が国や県に要望を続け、御坊市選出の中村裕一県議が選挙公約に掲げている西川河口への水門建設、日高川の粘り強い堤防づくりの実現をめざして思いを一つにした。

 同研究会は平成25年2月に設立。御坊市や美浜町、日高町、日高川町、県など行政機関と連携し、水門や堤防などハード整備事業の調査研究、地域住民の意識改革、国、県、市町への政策提言など活動を続けており、今回は「津波に対する水門、防潮堤、防波堤及び河川堤防の整備状況」をテーマに谷口会長ら有志メンバー、中村県議、二階俊樹秘書が宮城県、岩手県の復興状況を視察した。
 宮城県石巻市では、国交省東北地方整備局北上川下流事務所の案内で旧北上川の河川整備状況を視察。震災前の市街地川沿いにはほとんど堤防がなかったため、市街地を守る重要な防御線として堤防整備(河口部高さ7・2メートル)を進めるなど、かわまちづくり計画と連携した復旧・復興状況を学んだ。市役所も訪れ、斎藤正美市長を表敬。斎藤市長は、南海トラフ巨大地震や直下型地震が想定される地域の自治体と連携して「震災の教訓、思いを共有することが私たちの努めだと思っている」と話した。
 岩手県陸前高田市では2020年に完成した気仙川水門を見学し、水門と堤防を一体的に整備する必要性を再認識し、東日本大震災津波伝承館では被災時の映像、被災した実際の車など展示物を見学して災害の恐ろしさを改めて学んだ。釜石市では釜石湾口防波堤や鵜住居地区など復興状況、宮古市では施工中の閉伊川災害復旧水門工事現場、田老堤防などを視察した。
 谷口会長は「視察の目的は水門建設だが、堤防や道路の嵩上げなど、さまざまな取り組みを視察でき、有意義だった。今回の視察を参考に、地域住民の生命と財産を守るための方策を引き続き調査研究し、行政に働きかけたい」、中村県議は「視察を通して水門を建設すべきとの考えに間違いがなかったことを再確認できた。ぜひ実現させたい。市民の皆様のご支援をお願いします」と話した。
 今年6月県議会で中村県議が津波研究の専門家が東海・東南海・南海3連動地震津波対策で日高川河口への水門建設は「効果的」とのシミュレーション結果を示したことを取り上げたのに対し、知事は「政治家の一人として思いは共感できる」とし「例えば高潮対策で検討できないかなど考えたい」と約束しており、今後、研究会に県幹部を招いて県の取り組みを聞く場を設けることも検討する。


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