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子孫の吉田家が私財を投じ、八幡山城跡に公園や遊歩道整備 〈2023年10月18日〉

2023年10月18日 08時30分00秒 | 記事


日高平野を一望できる城跡で吉田擴氏ら4きょうだい

完成した石碑を囲んで関係者の皆さん


 御坊市藤田町吉田、ヨシダエルシス(株)代表取締役会長の吉田擴氏(80)が委員長を務める八幡山城(別名・吉田城)城跡整備事業委員会が、吉田八幡神社がある八幡山に残存する城跡に公園や遊歩道を整備中。南北朝時代初期の1346年に城を築いた吉田蔵人源頼秀の子孫にあたる吉田擴氏ら4人のきょうだいが私財を投じ「長年の夢がようやく実現できる」と感慨深げ。日高平野を一望できる城跡からの見晴らしは「最高」で、新たな観光名所として注目されそうだ。

 市史や和歌山城郭調査研究会によると、八幡山城は八幡山東方「城ケ峰」(神社裏山)の丘(標高73~60メートル)にあり、残存する城郭は南北約20メートル、東西約30メートルの長円形を上段とし、それに付随する下段から成っており、城跡の西方に大きな堀切がある。矢田荘吉田村領主だった吉田蔵人が築城、南朝の正朔を奉じたと伝えられる。
 吉田家資料によると、吉田氏は政所として吉田に住し、土生城主逸見氏や日高川筋で50カ村を領していた山崎城主川上氏と婚姻関係を結んで、この地を治めた。その後、1379年に北朝軍の進攻により共に敗退するが、その間、頼秀、その三男吉田金毘羅丸源頼貞は逸見氏らと道成寺に梵鐘を寄進、屋根修理世話人など大檀那となった。
 城跡整備は吉田擴氏の亡父・八五郎氏の夢だったといい、長男の擴氏、次男の敏展氏(76)三男の豊氏(74)長女の上道君子さん(84)が受け継ぎ、4人で整備費用約900万円を出した。昨年10月に4人と神社総代長の京保信一氏、総代で市観光協会副会長の向井孝行氏、当時吉田区長の阪本康敬氏、施工の林弘一・松樹園代表で委員会をつくり、整備を始めた。
 神社周辺から頂上の城跡に通じる2ルートの遊歩道を整備中で、うち車が通行できる遊歩道は約350メートル。城跡には城の歴史を伝える石碑を設置し、17日に委員会、後援の市観光協会と市教育委員会関係者で完成神事を執り行った。城跡は約200坪あり、芝生公園として整備し、桜などを植える。文化財調査を並行して行っており、完成は来年3月を予定。
 擴氏は「長年の夢だった城跡の整備が、多くの皆さんのご協力のお陰でようやく完成する見通しがつきました。城主の吉田蔵人も喜んでいると思います。今後は多くの皆さんに愛され、親しまれる公園として存続できるようご協力をお願いします」と話した。
 近くには道成寺や国史跡に追加指定された愛徳山王子跡北東参詣道などもあり、市観光協会は「道成寺や熊野古道、宮子姫などを組み合わせたウオーキングイベントを計画している。熊野古道の立ち寄りポイントにも入れてもらい、新たな観光名所として売り出していきたい」としている。


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