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御坊市 本人視点の養成講座(認知症サポーター)高評価、国検討会で提言 〈2022年7月24日〉

2022年07月25日 08時30分00秒 | 記事


市内中学校で開いた「ごぼう総活躍のまち講座」


 全国で初めて認知症本人の視点に立った「認知症の人とともに築く総活躍のまち条例」を制定、施行している御坊市が、国の認知症サポーター養成講座標準教材検討会に招かれ、御坊版オリジナル講座の取り組みを紹介し「各地域で、ある程度の自由性を持てるカリキュラムに見直す」など6項目を提言した。委員から御坊版オリジナル講座を国として「認めるべき」と高い評価を受け、市当局は見直しに大きな手応えと期待感を示した。

 国は、認知症を正しく理解し、認知症の人の応援者となる認知症サポーター養成講座を平成17年から始め、全国自治体で標準教材をもとにした講座を開催。御坊市でも同年から市内の学校、事業所などで講座を開き、190団体、5049人が受講しているが、令和元年からは、市が独自に開発した「ごぼう総活躍のまち講座」に切り替えた。
 全国標準教材の養成講座は認知症の症状や診断・治療、予防、認知症の人と接する際の心構えなどを説明する内容で、御坊市は「認知症本人の視点、声が反映されていない。症状の説明を重視する内容も負のイメージを与えてしまいかねない」と指摘。独自の「ごぼう総活躍のまち講座」では「あがらの総活躍希望大使」をはじめ認知症になっても自らの特技や趣味を生かし、いきいきと暮らしている本人の姿、前向きなメッセージを発信している。
 御坊独自の講座は、標準教材ではないため、受講者にサポーターの証として渡されるオレンジリングの対象講座として国から認められておらず、以前から見直しを訴え続けてきた。今年度、国が標準教材を見直すことになり、専門家や認知症当事者代表らでつくる検討会から自治体代表として御坊市など3市区が招かれ、このほどウェブ会議でヒアリングを行った。
 御坊市は谷口泰之・介護福祉課係長が参加。総活躍のまちづくり、御坊版養成講座の取り組みを紹介しながら(1)症状など医学的な説明は必要最小限に(2)本人の声を盛り込む(3)介護者の受容ではなく、本人の受容を(4)自分ごととしてポジティブな内容に(5)それぞれの地域で本人が希望を持って暮らしている事例を盛り込む(6)各地域で、ある程度の自由性を持てるカリキュラムにするーを求めた。
 委員から御坊市の取り組み、オリジナル講座を国として「認めるべき」と高い評価を受け、医学的な説明も必要な情報を激選し、圧縮する方向で検討することが示された。本人の声を吸い上げることに「人口の少ない御坊市だからできるのでは」と心配視する意見も出されたが、谷口係長は「それは行政が、やらない言い訳をつくっているのではないか」と返した。
 谷口係長は「伝えたいことは伝えられた。これまでやってきたことが否定されず、評価していただいた。私たちのやり方が間違いではなかったと再確認できた」と見直しに大きな手応えを感じ、田中孝典・市民福祉部長は「検討会で評価をいただけたことは大変うれしい。職員の頑張り、事業所や関係者のご努力に感謝します。認知症本人の方たちが希望を持てる講座が全国に広がっていくことを期待します」と話した。


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