紀州新聞 THE KISYU SIMBUN ONLINE

和歌山県の御坊市と日高郡をカバーする地方紙「紀州新聞」のウェブサイトです。主要記事、バックナンバーなどを紹介。

御坊市 1トン千円の最終処分場負担金徴収  全国で稀 条例制定で搬入抑制へ 〈2020年7月28日〉

2020年07月28日 08時30分00秒 | 記事


市議会全員協議会で条例案を説明


 御坊市は、県下初で全国でも珍しい「最終処分場埋立物負担金条例」案をまとめ、9月定例議会に提案する。市内には県下最大規模の民間事業者最終処分場があるが、すでに半分が埋まり、次の造成計画がある中、少しでも埋立物の搬入スピードを抑制するとともに、将来的に民間処分場が増えることも視野に入れ、事業者から1トン当たり1000円の環境保全負担金を徴収するもの。条例制定で自然環境保全や環境負荷低減を図るのが目的。議会承認を経て10月から施行予定。

 市は第4次総合計画の基本指針のひとつに「豊かな自然環境を守り育て、次代に引き継ぐ環境づくり」の推進を掲げ、廃棄物の適正処理や再生利用による減量化など環境低負荷型社会の実現をめざしている中、民間事業者の大栄環境(株)が平成29年3月から森岡地内で御坊リサイクルセンター(管理型最終処分場・中間処理施設)を稼動。最終処分場の埋立容量は137万5441立方メートルあり、15年程度で満杯になる計画だったが、京奈和道路関連工事に伴う産廃土、全国からの災害廃棄物の搬入等が続いたこともあり、すでに半分が埋まり、第2期処分場造成計画が進んでいる。
 最終処分場の許認可権は県のため、市に権限はなく、市環境衛生課は「次々と市内に最終処分場が建設されれば市民が不安になり、環境負荷も高まる。現在、搬入されている埋立物は市外がほとんどで、その量も年々増加している。全国から運ばれてくる災害廃棄物も増えると予想され、今のままでは御坊市はごみの捨て場になってしまう」と危機感を持ち、昨年12月から独自の条例制定を検討した結果、県の許認可を得て市内に所在する最終処分場で埋め立て処理を行った民間事業者から負担金を徴収する条例をつくった。
 27日に開いた市議会全員協議会で条例の目的や骨子、経緯などを説明。条例に定める負担金は一般廃棄物(主に災害廃棄物)や産業廃棄物を問わず、最終処分場に埋め立てられる埋立物1トン当たり1000円(災害廃棄物は2分の1の500円)に設定。年間負担金は平成30年度実績を当てはめると1億4191万円、令和元年度は1億9089万円となる。負担金は市の新たな収入源となり、環境保全推進に関する事業に充てる。9月定例議会に提案し、10月施行をめざす。
 三浦源吾市長は「条例制定により、本市における良好な環境保全を図り、循環型社会の構築をめざしたい」とコメント。市環境衛生課は「条例は自然環境保全と環境負荷低減を図り、持続可能な循環型社会の構築をめざすとした第4次総合計画の集大成と位置づけている。人口減少が続き、厳しい財政状況の市にとっても新たな自主財源確保につながる」と説明した。
 全国では都道府県が産業廃棄物排出業者に産廃税を課したり、一般廃棄物を搬出する自治体が受け入れる自治体に負担金を支払う事例はあるが、自治体が所在する民間の最終処分場運営事業者から負担金を徴収するのは全国でも珍しいという。負担金は全国の事例を参考に設定した。


 その他の主なニュース

PROJECT24 「ひまわり大作戦」で23日から無人ボックスで切り花配布

24日 御坊市コロナ対策本部再設置

中学硬式野球・関西大会和歌山予選 紀州由良シニア準優勝

ワールドプラスジム 徹底した感染対策で客足回復