瀬戸際の暇人

今年も偶に更新します(汗)

どんどん妄想バトン4

2008年10月11日 20時32分35秒 | ワンピース
暦上で今夜は十三夜。
しかし満月は今月15日になるんだそうな。
そんな訳で今日~10/15まで、テンプレを月見バージョンに変更。


さて、いっそ開き直って企画を表明すれば良かったか…なぞと悩みつつ、前回の続きです。





辺りに人影が無い事を確認した私は、胸ポケットから顔を覗かせてるチビナミさんの前に左手を差出した。
言う前に意味を理解した彼女が、手の平の上にちょこんと座る。
小鳥並の重さの彼女を零さない様、私はゆっくりと身を屈め、注意深く手を地面に下ろした。
手の平が着いたと同時に彼女は飛降り、前方広がる芝生目指して駆け出す。
小さな彼女を見失わない様、私も慌てて後を追った。

緑の絨毯が敷き詰められた広場の中心には、大きな羽根が唸りを上げて廻る風車が建っていた。
草に埋もれてしまう小さな彼女にとっては化物並のサイズだ。
心中興味津々そうに…しかし恐々と遠くから眺めている姿は、観察していて微笑ましかった。

見上げた空はすっかり秋らしく高くなっていた。
青空の下で風車がフオン♪フオン♪と長閑に歌う。
穏やかな風が海から潮の匂いを運んでくれた。

気持ち好さそうに彼女が息を吸込む。
どうやら気に入ってくれたらしい。
目いっぱい伸びをした後、ナミさんは私の方を振り返り、笑顔で言った。


「別にあんたの家のベランダでも構わなかったのに…」


彼女らしい強がりを聞き、思わず口元が綻ぶ。


「そんな事をしてナミさんを独占したら、全国に居るファンからボコられちゃいますよ!」


苦笑しながら言う私に、彼女は意味が解らないといった風情で首を傾げた。


本音を言えば別れたくない。
けどそれでは自分の持つファンの美学を裏切ってしまう。
中指サイズではあるけれど、やはり親指姫には花畑こそ似つかわしい。


柄にも無く気障な考えが浮かんで頬が赤くなる。
そんな様子を彼女は益々怪訝そうに見詰た。


「…あんたの事情はよく解らないけど…わざわざ好い所に連れて来てくれた事には感謝してるわ。
 でもどうせなら、あっちの花畑に埋めて欲しいんだけど。
 そりゃ此処だって風が気持ち好くて嫌いじゃないわよ?
 けど此処には花が1本も咲いてなくて、見た目ちょっと寂しいんだもの。」


対岸に臨む花畑を指して、ナミさんがリクエストを飛ばす。
彼女が示した場所は小島になっていて、一面美しい花に覆われていた。
風車も3基連なって建ち、遠くからでも楽しそうに思える。
比べると此処は芝生ばかりで、風車1基が孤独に回る、成る程寂しい場所だった。


「此処だって4月になれば、花咲く大地に変身するんですよ、ナミさん!」

「此処が?……本当に??」


私のいいわけを聞き、彼女が周囲を見回す。
そうして「やはり信じられない」といった風に、疑いの眼を向けた。


「本当ですって!!
 それに此処なら春まで観光客はあまり訪れないから、静かに暮らせるだろうと…
 …結構考えて決めたんですから!!」


顔を赤くして懸命に説く私の様子が、あまりに滑稽に思えたのだろう。
ナミさんはクスクス笑いながら、自分の要求を引っ込めてくれた。


「ま、いいわ!
 折角私の為にセレクトしてくれた場所だもの。
 我侭言わずに、大人しく埋まるわ。」

「…その前に『仲間』に会わせたいんで、少し待って貰えますか?」

「仲間???」


首を傾げる彼女をそのままに、私は持って来た用具をデイバックから取出した。
その前に再度周囲を隈無く見回し、他に人が居ないか確認をする。
見付かったら注意を受けるのは確実、ナミさんの為とはいえ、胸の奥にやましさが募るのは抑えられない。
なるべく人が踏み荒しそうも無い場所に、ナミさんを連れて移動した。


さて、こっからが重要な仕事だ。


見定めた場所をスコップでもって掘る。
適度な深さの穴が開いた所で、『ナンダラコラの根っ子』を1粒取出した。


「これは…ロビン!」


声に出して頭にイメージを浮かべる。
そうして穴の中に根っ子を埋めて土をかける。
更に用意しておいたペットボトルの水をかけ、ナミさんと共に生れて来るのをじっと待った。

ナミさんが生れて来た時同様、10分も経たない内に黒い芽が現れた。
土の上でゆらゆら揺れていたかと思うと、糸くずの様に極細の腕を使い、外へと這いずって出た。
直ぐに立ち上がり、ナミさんにも負けない、美しい肢体を露にする。

肩より長い真直ぐの黒髪、黒水晶の様に謎めいた瞳、鼻筋の通った理知的な美女。


「…ロビン!!!」

「ナミ…!?」


ナミさんが目を見張って叫ぶ。
声に振り返りナミさんを視認した彼女も、生れたばかりでありながら、駆け寄って来るナミさんの名前を呼んだ。

暫し抱合って「再会」を喜ぶ美女2人の横で、私は手際良く紙椀にポットの湯を注ぎ風呂の支度をする。
支度が整うとナミさんにも手伝って貰い、ロビンちゃんに湯浴みをさせた。
泥を落とした肌に目映さが戻り、ナミさんがタオル(ハンカチ)で体を拭いてあげた所で、チビロビちゃんにもチビナミさんとお揃いの服を着せてあげた。


「まぁ…不恰好ね」


チビロビちゃんの感想は、チビナミさん以上に、極めて辛辣なものだった。


だが落ち込んでる暇は無い。
無事第1段階を終えたら、次は第2段階に入らねば。
引き続き私は男共の召喚に着手した。





その5に続】


済みません、結局終りませんでした。(汗)
既に狼少年ですが、今度こそ次で……終れば良いなぁ。(汗)
しかしこれ、最早設問に答えてすらいませんね…。


写真は某ベーカリー。
手前のアップルパンが美味しそうだった。
奥に目を凝らすと、パンプキンなアンパンマンが居るのが判る筈。

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2 コメント

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やっぱバレバレだったみたいで (びょり)
2008-10-12 20:13:21
他の方からも言われてしまいました。(笑)
私も来週行きますから、既に頭が向こうに飛んでるんですよ。(笑)

お互い楽しい旅になると良いですね。
返信する
なるほどねぇ。。。 (urouro)
2008-10-11 21:16:40
南に飛んだあたりでそうかなと思いましたが・・・

ああ、早く行きたい。
返信する

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