瀬戸際の暇人

今年も偶に更新します(汗)

どんどん妄想バトン5

2008年10月13日 20時11分13秒 | ワンピース
ネーヴァエンディングスト~~~ォリィ~~~~~~♪
口ずさみつつ、前回の続きです。





引き続き同じ要領で、計7箇所穴を掘った。
さながらミステリーサークル状にアリジゴクがいっぱい。
場所の準備が整った所で、『ナンダラコラの根っ子』を7粒取出す。

此処で心配事が1つ頭に浮かんだ。

ナミさんロビンちゃんと違い、他野郎共に対しては愛が薄い私である。
結果イメージが薄くなって、落書きみたいな奴等が生れたらどうしよう?
そんな破目になったら、きっとナミさんは悲しむに違いない。(ロビンちゃんはそれでも面白がりそうだが)
だから彼女達を生出した時以上に、頭の中でイメージを強く描くよう、精神統一をして儀式に臨んだ。


「これはルフィ!…これはゾロ!…これはウソップ!…これはサンジ!…これはチョッパー!…これはフランキー兄貴!…これはブルックさん!」


イメージを浮かべながら、掘った穴に次々と根っ子を埋める。
土を盛った後、上から水を順繰りにかけてやった。


それから待つ事約10分。


雨後の筍が如く、黒緑黒金茶水色黒と、7つの芽が顔を出した。

――と思う間も無く――スポスポスポポポポポン!!!と、埋めた場所から勢い良く、6人の小さな裸の男達&豆狸が飛出す。


「肉~~~~!!!」
「…酒!!」
「勇敢なる海の戦士ウソップ、此処に現臨!!!」
「煙草!!…おい誰か煙草持ってねェか!?」
「ウワァァ~~!!!――ここ何処だァーー!??」(←唯一まとも)
「寝覚めすっきりスゥ~~~パァ~~~~~~!!!!」
「ヨホホホホホホ~~~~~!!」


「ルフィ!!ゾロ!!ウソップ!!サンジ君!!チョッパー!!フランキー!!ブルック…!!」


出現した「生れたばかりの仲間」の名を、ナミさんは澱み無く呼んでみせる。

人口が増えた広場は、一気に喧しくなった。




※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※




何時までも裸の男達を放置させとくのは、公衆衛生上極めて宜しくない。
何より2人の美女に全裸男の群れを絡ませるのは非常に危険だ。
そういう理由から私は至急風呂の仕度を整え、目敏く美女2人に気付き、傍へ駆け寄ろうとした馬鹿野郎から、捕まえて湯に浸けた。
頭を指で抓み、湯の中でシャブシャブ肉の様に洗う。
洗い終わったら全員お揃いに作った服を被せ、目を回してるのを幸いに、そこらへ転がしておいた。

風呂が空いたんで次の標的に移ろうとしたが、一部始終を目にして恐れを抱いた男共が、蜘蛛の子散らした様に逃げ惑う。
だがこちらも逃して堪るかとばかりに、草の根分けて見付け出しては、片っ端から湯の中に突っ込んで洗った。
洗いながら、全員漫画に登場する通りであるのを確認する。
案じてた様な落書きタッチになっておらず、心から安堵した。

6人分の泥を落とした為、真っ黒に染まった湯を、地面に撒いて捨てる。
入浴を終えた男達に服を被せながら、未だ1人足りない事に気付いた。
目を凝らすまでもなく、草葉の陰からこちらの様子を窺う、角の生えた豆狸を見付ける。
隠れている積りだったのだろうが、その体は殆ど草から食み出ていた。
容赦無く紙椀に突っ込み、上からドボドボと新しい湯を注ぐ。
どうやら少し熱かったらしい、風呂の中の豆狸が「アヂィ~ッ!!!」と、甲高い悲鳴を上げた。

全員服を着せ終り、漸く人心地がつく。

目を回していた為暫くは大人しかった男達だが、元気を取り戻すと己の受けた扱いに対して、一斉に不平を爆発させた。


「おい!!おまえ!!よくも俺達をぞんざいに扱ってくれたな!!しかも俺男だぞ!!男がスカートはけるかっ!!」
「そうだそうだァ!!ルフィ、言ってやれェ!!」
「まったくクソなセンスで恐れ入るよ。これじゃ世界中のレディに哂われちまうぜっ」
「そうだそうだァ!!サンジの言う通りィっ!!」
「服は一先ず置くとして…俺達を丁重にもてなした礼は、たっぷりさせて貰うぜっ!」
「そうだそうだァ!!殺っちまえ~!!ゾロ!!」
「オレ熱いの苦手なんだぞっ!!しかも泳げないんだぞっ!!死ぬかと思って恐かったんだからなっ!!!」
「そうだそうだァ!!チョッパーの負った精神的苦痛も償って貰うぞォ~!!」


なぞとギャンギャンギャンギャン…黙ってれば言いたい放題である。
特に人の背後からブーイングを飛ばす鼻の奴が気に喰わず、頭を弾いてやろうと指を近付ける。
するとウソップはギャーギャー喚きながら、ゴキにも勝る逃げ足で、フランキーの背後に隠れてしまった。
頼られると弱い兄貴が、すぐさま攻撃態勢を見せる。


「よし退がってろ、お前!!俺が一撃で蜂の巣にしてやるぜ!!」
「アア兄貴ィ~~!!流石泣く子も惚れる好い漢っ!!!」


構えた左腕から手の平だけがガチャンと扉の様に開き、内部に仕組まれた砲口が明らかになった。
おおっ、中指サイズでも、ちゃんとサイボーグしているっ!!
我ながら大したイメージ力だと感心――してる場合じゃないっっ!!
私を取り囲む奴らの視線には、はっきりと敵意が見て取れた。


「…なんかこいつ、俺達にとって危険な存在に思わねェか?」
「危ねェ芽なら、早いトコ摘んどいた方が無難だな」
「とりあえずムカつくから、たたんじまおーか?」

「「「「オーーー!!!!」」」」


ルフィの意見に4人の男が賛同する――って、待て待てちょっと待ってっ!!(焦)


「止めなさいよ皆!!!仮にも名付け親に対して、乱暴奮おうとしないでっ!!
 あんまり気は利かないけど、私達をこの世に生出した恩人なんだから!!」
「私達『ナンダラコラの根っ子』は、恩を忘れない誇り高き種族。
 名付け親が気に喰わないからといって、攻撃してしまえば種族の誇りは灰燼に帰すわよ。」


あわやオーズと同じ轍を踏みそうだった私を、ナミさんとロビンちゃんの言葉が救ってくれた。


「そうだぜクソ共。天を衝くよな化物だろうが、レディには違いねェだろ?
 レディを殺っちまおうなんて礼儀知らずは、先ず俺の足で蹴り殺してやるぜ」
  

重ねてサンジもフォローを挟んでくれたが……すいません神様、こいつ踏み潰しても良いですか?


「まぁまぁ皆さん、埋葬地から蘇…もとい生れたばかりで喧嘩は止そうじゃないですか。
 今日は私達のハッピーバースデー、目出度い日に殺人はいけませんよ」


土から這出る姿が最も似合ってたブルックさんの説得で、漸く殺伐とした空気が薄れて行く。
場が落ち着いた所で、ルフィはキョロキョロと一同を見回し、さも不思議そうに首を傾げた。


「ところでお前ら、初対面だよなァ~?どーも俺、生れる前から知ってた気がして仕方ないんだけど…」


その言葉を皮切りに、他の人間も異口同音に不思議がる。


「俺も俺も!ルフィが言ったのと同じ事、さっきから訊きたくてウズウズしてたんだよ!!」
「あれ?お前、俺の名前何で知ってんだよウソップ?」
「お前こそ何で俺の名前知ってんだよ!?」
「そのいけ好かない頭…確かに見覚え有るぜ、マリモ剣士!」
「こっちこそ人を馬鹿にしたその眉毛、確かに見覚え有るぜクソコック!」
「皆やっぱり覚えが有るんだ…私の頭がおかしくなった訳じゃないのね、良かった!」
「おめェは……確かタヌキだったよな?チョッパー!」
「バカヤロウ!!俺はヒトヒトの実を食ったトナカイだぞフランキー!!!」
「いやはや不思議な出会いというものは有るものです。ひょっとしたら私達、赤い糸で結ばれた運命の恋人同士かも…」
「そういう笑えない冗談止めてくれるかしら?ブルック」


一塊になって和気藹々と談笑する皆は微笑ましく、何時まで観察してても見飽きなかった。
だが生憎のんびりしてる暇は無い、他人に見咎められでもすれば、計画は水泡に帰してしまう。
無粋だとは思ったが、私は和やかに続く会話に、果敢に割って入る事にした。


「あのぉ~~……盛上ってる所申し訳無いのですが、そろそろ私の話を聞いて貰いたいと…」
「ん?――そうだな!!せっかく仲間に会えたんだし、宴にしよーぜ♪♪」

「「「「「異議無ーーし!!!」」」」」

「いや異議大いに有りますって!お願いだから私の話を聞いて…」
「馬鹿言わないでルフィ!!…生れ立てのあんた達は未だ大丈夫だけど、私は地上に出て既に4日が過ぎてんのよ!?そろそろ埋って養分摂らなきゃ萎び始めちゃうわ!!!」
「本当かいナミさん!!?――大変だルフィ!!宴なんかしてる場合じゃねェ!!早く戻らねェとナミさんの豊かなバストが萎びちまうっ!!!」
「なんでそこから萎びるかっっ!!?」
「つまりエロ眉毛にとっては、お前の胸こそ一大事ってこったろ」
「何より、未だ名付け親から願いを訊かない内に、勝手な行動を取るのはルール違反よ、ルフィ」
「えーー!?何だよロビン、ノリ悪ィなァ~~~!黙ってりゃ解んねーだろ?」
「…一体誰に黙っていると言うの?」
「あ~~のぉ~~~…お願いだから話を訊いてくれませんかぁ~~~~…?」
「その前に私、名付け親の方に、お願いしたい事が有りまして」
「…は???」


ブルックさんが突拍子無く漏らした言葉のお陰で、結果完全無視されていた自分に注目が集まる。
そうした所で骸骨の彼は、私に向い丁寧なお辞儀をした後、おもむろに願いを口にした。


「着せて戴いた服についての不満は申しません。
 見た所、手作りの様子…生まれて来た私達への心尽くし、誠に胸が温まります。
 
 …骸骨だから、胸スカスカなんですけど。

 しかし私は紳士、身嗜みには常に気を配るのがモットー。
 それなのにパンツを履かないで居るというのは、甚だ我慢なりません。
 生前手にしてた記憶の有るヴァイオリンや剣は諦めますが、せめてパンツだけでも用意して戴けないでしょうか?」

「骸骨の身にパンツで隠さにゃならん何を持ってるって言うんだあんたはーー!!?」


――ボォォ~~~~ン!!!!(←骨だけに)


思い掛けない願いを聞いて思わず返した私のツッコミに、ブルックさんは少なからずの衝撃を負った様だった。
年を取っても男にとって、玉は大事なシンボル、実は結構気にしていたらしい。
配慮に欠けた事を言ってしまったと、重苦しい悔恨の情にかられた。

ブルックさんの要求が切っ掛けとなり、他連中からもリクエストコールが一斉にかかる。


「俺もさァ~~、頭に麦藁帽子被ってた気がするんだよなァ~~!なァお前、何とかしてくれねー?」
「オレもオレも!!バッテン付いた帽子被ってた!!そんで大事な人から貰った帽子だった気がするんだ!!」
「煙草くんねェかな!?さっきからヤニ切れしてて窒息しそうでよォ!」
「剣士が剣持ってないんじゃ話になんねェよ。刀3本何とか調達出来ねェもんか?」
「俺の必殺武器のパチンコに、ゴーグルに、ガマグチ鞄に、卵に、それからえ~~と…!!」
「俺のスーパーで一張羅な海水パンツはどうしたァ~~~~!!?」

「いいかげんにしてくれあんたら!!!!どうして私が願いを叶える側に立たされなきゃいけないんだっっ!!?
 『ナンダラコラの根っ子』は名付け親の願いを1つ叶えてくれる決りになってたんじゃないのかぁ~~!!!?」


止む事の無いリクエストに、遂に切れて怒鳴ってしまう。
小さな彼らにとって私の叫びは、さながら雷鳴の如く轟いて聞えたのだろう。
賑々しかった雰囲気はいっぺんに治まり、変って水を打った様な静けさに包まれた。

肩で息する私の様子を、呆気に取られた顔で見上げていたルフィが、少し間を置いた後、鼻を穿りながら口を開く。
遅れてゾロとサンジが、さも気だるそうに続いた。


「…ま~そうだな!面倒くせーし、とっとと叶えてやっから、何か願い言えよ!」
「そろそろ眠くなって来たしな。何なら強さでも分けてやろうか?…もっとも最強の座に着かせる訳にはいかねェが」
「失礼ながら美しさが欠けてる様だから、そっち方面の願いにしますか?ナミさんロビンちゃん程とまではいかないっすけど」


…やっぱりこいつら纏めて踏み潰してやろうか。

ピキリとこめかみに青筋が走るのを覚えつつ、何とか堪えて芝生に両手を着く。
そうして頭を下げた私は、風に靡く草の中立つ皆に向い、1つの願いを聞かせた。




その6に続】



次こそ、絶対、必ず、終りますんで。(汗)
いや本当に、ラストが漸く見えて来たから、大丈夫です。(汗)

やっぱ全員で会話させると、つい筆が乗ってしまうんすよ。(苦笑)


写真は那須ガーデンアウトレットの野外広場。
雨が降ってた為、閑散としてました。

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