
晴
大寒だというのに
ここ数年
寒くない
雪も降らず
地面に氷は張らず
氷点下にならず
水道も凍らない
温暖化はこうして
冬を次第に暖かくしてゆく
ナマステ先生から
煎餅とみかんをいただく
木に鳥が二羽
来る
「ウグイスかな」
ナマステ先生が適当に言うので
たしなめる
知らぬ名前の鳥
もともと
彼らには名はない
植物も名はない
これは人間が区分けするために
使用する記号だ
どんな木も名前はなく
木という名前もない
空という名前もない
風も
なにもかも
「解剖とは何か。名前をつけることだ」
養老孟司先生は言った
テッココさんという
アウンさんの同僚が来る
良い笑顔だ
インドネシアからみんな来ている
今日でこの労働場を離れ
他に行くので
帰り
彼らと握手した
そして携帯用消毒液で
みんなの手を消毒した
もちろん
わたしも
鉄コラーゲンなるものが
地面に落ちていた
今さっきなかったのに
誰かが落とした食べ物
それをひらって
封を開けて
ビスケットみたいなものを
ナマステ先生と食べた
戦中派か我々は!
落ちてるものを食らうということは
なかなかできない
けれど
ナマステ先生とわたしにはできる
男二人が歩いている
「たっちゃん、あの聡怩スいへんだったんだよ」
と男は言い
もう一人の男はうなずいて
東へ向かった
ヒラトツツジ
来る
アウンさん発す
二人部屋の寮のこと
「一人は寂しい」
と言う
「今は二人だから寂しくない」
と言う
「一人は寂しい」
と笑って言う
「アウンさん、涙、流れたでしょ、出たでしょう」
「はい」
と笑顔で言う
「リモートでインドネシアの奥さんと話してました(泣いて)」
と笑顔で言う
じゃあまたね
テッテコさんもアウンさんも
それを見ていた
美濃加茂の黒めがねの人
「一期一会ですね」
とわたしが言うと
「良いこと言うね」
と言いながら
それどころじゃないと
忙しく
どこかに行った
アウンさんたちに
仏教?
と聞くと
はい
と言う
大日如来への真言を唱えてみると
まったく判らないという
ふむ
いろいろな言葉がある
インドネシアの言葉って
何だっけな
皇后陛下の雅子様
「ワクチンは国民のみなさんが先に」
と慈母という大見出しで
週刊誌に書いてあった
青い服の大きな人
青い服の笑顔の人に
「わたしら、今日で最後なんで」
とご挨拶
寂しいという感じはない
何故だろう
労働場というのは
必ずおわりがあって
また次の出会いがある
その繰り返し
今日でほぼ半年通った
労働場が終わる
楽しかったなあ
忙しいことを忘れるほど
楽しいことばかり
ナマステ先生が
あまりに
ユニークなので
それが大きいです
とりあえず
いろんな方と
職員に
挨拶
最後は
ナマステ先生に
ありがとうございました
二人ともペダルを漕ぐ
またそのうちに
帰宅
三重県の山奥に住む友達と
三時間電話で話す
久しぶりに色々たくさん
彼は優れた件p家なので
相反するところもあるし
そうでないところもある
いずれにしても
元気だったらいい
それでいい