ポーツマス港見学の続き…
HMSヴィクトリー号を出ると、すぐ近くに円盤のような新しい博物館が目に入った。
2012年のオリンピックに合わせて開館した、メアリ・ローズ号のためのものである。
メアリー・ローズ号は16世紀に活躍した軍艦。34年の間に三度の戦いを生き延びてきた英国海軍の旗艦であった。ポーツマス港で修復の後、大砲と五百人以上の乗組員を満載にして出航したが、1545年7月19日、なんと、イギリス王ヘンリー八世の目の前で、港を出る前に沈没してしまった!
博物館の再現フィルムより
歴史的にその存在は知られていたが、沈没した正確な場所は特定できず、時折その遺物と思われるものが引き上げられてはいた。1836年に見つかった大砲にはチューダーローズが刻まれている
1975年からダイバーチームが正確な場所を特定するために動き始め、1970年にあらたにこの細い砲身の大砲が見つかる
同じ場所から見つかった大砲の台座を検査すると1443年から1540年に伐採された木材によって造られたと確認され、これが本格的なサルベージ作業の契機となる。
船体の一部ではじめて確認されたのは、砂から突き出していた竜骨の一部。この写真の中で赤い四角の切り口が三つ見えている
慎重な調査の結果、1982年ついに残存していた本体が引き上げられた。その時の記録フィルムより。
船体は海底でこのような状態だった
四百年以上も海中に眠っていた船は、引き上げて乾かせばばらばらに壊れてしまう。なんと二十年以上をかけて海の代わりに船体を維持してくれることになる樹脂を浸透させ、引き上げ後三十年を経た現在でも暖かい空気を周辺に循環させながらゆっくりゆっくり乾燥させ続けている。
写真で黒いパイプの様に見えるのが、その空気を循環させている装置。
巨大な船体をとりまくように、博物館は三階建てになっている
●ここで小松は、同じように沈没船を引き上げて展示しているストックホルムのヴァーサ号博物館を思い出さずにはいられなかった。こちらのストックホルムでの日記に写真を載せています。
このメアリー・ローズ号も、ストックホルムのヴァーサ号のように船体を復元するのだろうか?博物館スタッフに「この船もストックホルムのようにするのですか?」と訊ねると、すぐに「ヴァーサ号の事だね」とすぐ理解してくれて、「最終的にはNOだね。あんな風には展示できない」と、答えた。
写真左側がその人。右は16世紀当時の上級船員に扮して館内を案内してくれる人
ポーツマスのメアリー・ローズ号と、ストックホルムのヴァーサ号には、その条件に大きな違いがある。
①ストックホルムの面しているバルト海は塩分濃度が一般の海の10分の一ほどしかなく、侵蝕する要素になるフナクイムシなどが少ない。
②ヴァーサ号は新造船だったが、メアリー・ローズ号は建造されてから長く、戦闘の傷もあった。
③ヴァーサ号はまっすぐに沈んでいたが、メアリー・ローズ号は横倒しになっていた。
ふうむ、やはりストックホルムのヴァーサ号というのはたいへん珍しいケースなのである。
★沈没した時、五百人もの乗組員が運命を共にしたのだが、その中に一匹の犬がいた。
船のネズミをとるためのシップ・ドッグ。現代でもこんなマスコットがいたりする
メアリー・ローズ号のキッチン近くから見つかった犬の骨は99%そのまま残っており、18か月の若い雄犬と判明。見つかった場所にちなんで「ハッチ=HATCH(引き戸)」と命名された。
お披露目は2010年3月。イギリスのケンネル・クラブが主催したドッグ・ショーにゲストとして骨のハッチが招待された。現在そのままメアリー・ローズ号博物館に展示してある↓
※写真で手前に映っているのはバック・ギャモンのボード。
ハッチはぬいぐるみになってお土産屋さんにも登場
となりに映っているのはネズミのぬいぐるみ。船からはネズミの骨も見つかったが、ハッチは良い仕事をしていたらしく、こちらはほとんどかけらになってしまっている※写真左下のネズミの影の中に骨のほんの一部が見える
小松はハッチのニット帽を買いました(^^)
HMSヴィクトリー号を出ると、すぐ近くに円盤のような新しい博物館が目に入った。
2012年のオリンピックに合わせて開館した、メアリ・ローズ号のためのものである。
メアリー・ローズ号は16世紀に活躍した軍艦。34年の間に三度の戦いを生き延びてきた英国海軍の旗艦であった。ポーツマス港で修復の後、大砲と五百人以上の乗組員を満載にして出航したが、1545年7月19日、なんと、イギリス王ヘンリー八世の目の前で、港を出る前に沈没してしまった!
博物館の再現フィルムより
歴史的にその存在は知られていたが、沈没した正確な場所は特定できず、時折その遺物と思われるものが引き上げられてはいた。1836年に見つかった大砲にはチューダーローズが刻まれている
1975年からダイバーチームが正確な場所を特定するために動き始め、1970年にあらたにこの細い砲身の大砲が見つかる
同じ場所から見つかった大砲の台座を検査すると1443年から1540年に伐採された木材によって造られたと確認され、これが本格的なサルベージ作業の契機となる。
船体の一部ではじめて確認されたのは、砂から突き出していた竜骨の一部。この写真の中で赤い四角の切り口が三つ見えている
慎重な調査の結果、1982年ついに残存していた本体が引き上げられた。その時の記録フィルムより。
船体は海底でこのような状態だった
四百年以上も海中に眠っていた船は、引き上げて乾かせばばらばらに壊れてしまう。なんと二十年以上をかけて海の代わりに船体を維持してくれることになる樹脂を浸透させ、引き上げ後三十年を経た現在でも暖かい空気を周辺に循環させながらゆっくりゆっくり乾燥させ続けている。
写真で黒いパイプの様に見えるのが、その空気を循環させている装置。
巨大な船体をとりまくように、博物館は三階建てになっている
●ここで小松は、同じように沈没船を引き上げて展示しているストックホルムのヴァーサ号博物館を思い出さずにはいられなかった。こちらのストックホルムでの日記に写真を載せています。
このメアリー・ローズ号も、ストックホルムのヴァーサ号のように船体を復元するのだろうか?博物館スタッフに「この船もストックホルムのようにするのですか?」と訊ねると、すぐに「ヴァーサ号の事だね」とすぐ理解してくれて、「最終的にはNOだね。あんな風には展示できない」と、答えた。
写真左側がその人。右は16世紀当時の上級船員に扮して館内を案内してくれる人
ポーツマスのメアリー・ローズ号と、ストックホルムのヴァーサ号には、その条件に大きな違いがある。
①ストックホルムの面しているバルト海は塩分濃度が一般の海の10分の一ほどしかなく、侵蝕する要素になるフナクイムシなどが少ない。
②ヴァーサ号は新造船だったが、メアリー・ローズ号は建造されてから長く、戦闘の傷もあった。
③ヴァーサ号はまっすぐに沈んでいたが、メアリー・ローズ号は横倒しになっていた。
ふうむ、やはりストックホルムのヴァーサ号というのはたいへん珍しいケースなのである。
★沈没した時、五百人もの乗組員が運命を共にしたのだが、その中に一匹の犬がいた。
船のネズミをとるためのシップ・ドッグ。現代でもこんなマスコットがいたりする
メアリー・ローズ号のキッチン近くから見つかった犬の骨は99%そのまま残っており、18か月の若い雄犬と判明。見つかった場所にちなんで「ハッチ=HATCH(引き戸)」と命名された。
お披露目は2010年3月。イギリスのケンネル・クラブが主催したドッグ・ショーにゲストとして骨のハッチが招待された。現在そのままメアリー・ローズ号博物館に展示してある↓
※写真で手前に映っているのはバック・ギャモンのボード。
ハッチはぬいぐるみになってお土産屋さんにも登場
となりに映っているのはネズミのぬいぐるみ。船からはネズミの骨も見つかったが、ハッチは良い仕事をしていたらしく、こちらはほとんどかけらになってしまっている※写真左下のネズミの影の中に骨のほんの一部が見える
小松はハッチのニット帽を買いました(^^)