旅倶楽部「こま通信」日記

これまで3500日以上世界を旅してきた小松が、より実り多い旅の実現と豊かな日常の為に主催する旅行クラブです。

驚異のカールスバット洞窟

2015-10-09 21:32:16 | アメリカ西部
《手造の旅》ニューメキシコ 三日目。
ニューメキシコの荒野の地下に、こんな世界がひろがっていようとは!

いままでたくさんの鍾乳洞を見てきたが、ここまで巨大なスケールで見学可能で、これだけ美しい洞窟ははじめてだった

**先ずは、午前中の行動**


 きのう見学したホワイトサンズ国定公園近くのアラモゴードを朝八時前に出発。標高二千五百メートルを超えるリンカーン森林公園の峠では雪でも降りそうな雲

そこを超えて、さらに東へ、なにもない平原を延々と走る

アルテシアの街で休憩。アメリカらしい巨大なスーパー

日本ではあまり見かけないブリトーの皮を購入。
これをフライパンでちょっとこがして、野菜とハムとチーズを巻く簡単な朝食を日本でよくつくるので(^^) 
アルテシアの街周辺にはたくさんの小規模な油田がみられる

※このあたりは明日も通ります。


**午前十一時半過ぎ、カールスバット国立公園ビジターセンターに到着

13時半の「キングスパレス・ツアー」に申し込んでいる。
簡単にランチを食べてから地下に向かう。
★5ドルの日本語イヤフォンシステムを借りたが、これはとても有効だった。

エレベーターで簡単にも行けるのだが、どうせならば最初にここが発見された「ナチュラルケーブ」の入口を下って行こう。そのために余裕をもって到着したのだ。

ビジターセンターを一度出て三分ほど。
※上の写真で向こうに見える建物は1930年代不況時代に雇用対策として造られたリサーチセンター。

 この道を延々と下ってゆく。良く整備されてはいるがけっこう急坂。
見上げると
地上からの光が届かなくなってもどんどん道は続く。
四十五分以上下り続けて、地下の案内所ランチルームへ到着。
※名前通り軽食が食べられる場所だけれど、たいしたものはない。
ビジターセンターで食べておく方が良い。
ここから別予約のコースの多くがスタートする

ヘルメットにライトをつけて這って進むようなコースもあるが、
我々の予約した「キングスパレス・ツアー」は楽に歩けるコース

レンジャーと一緒でないと入れないエリアを一時間半程度歩く。


制限区域に入ってすぐに、これまでの場所より格段美しい部屋があらわれた。


「1898年、16歳のジム・ホワイト君は、荒野に立ちのぼる黒い煙を見つけて、その発生元を探ろうと歩いていった。それが煙ではなく何万というコウモリで、彼らが飛び出してくる穴を見つけ、さらに探検しようと思ったのでした。」

「手造りの松明を持って、真っ暗な洞窟の奥へ奥へと進んだ少年が見たのは、予想もしない、こんな世界でした」


というような話をしてくれるレンジャー。次の写真のつばの広い帽子の人物。


突然すべての照明が消されると真の闇・・・二度と出られない恐怖。 ジム君はこんな場所に何十回も入って探検した。百年前ならいつ消えてもおかしくないランタンぐらいしかなかっただろう。


照明が半分透き通って赤くなった岩が美しい

いろいろな映画やテレビドラマも撮影された場所である

約一時間半、レンジャーとの「キングスパレス・ツアー」
英語ツアーではあっても、ここを訪れたら是非参加したい内容だった。


**先ほどの地下案内所「ランチルーム」に戻り、一般エリアの「ビッグ・ルーム」をめぐる。
こちら予約なしで自分で歩ける。
ところどころに番号札があって、借りておいた日本語イヤフォンで案内を聴ける。


見上げるような石筍やとてつもなく大きな鍾乳石、みとれて歩いているうち、あっという間の一時間。


★水の流れ地上にアスファルトの駐車場が出来、ビジターセンターが出来たことによって、沁み込んでゆく水の量が確実に減った。※イヤフォンガイドの話より★ビジターセンターの冷房には、当初地下洞窟からのエレベーターの穴を開けはなして、登ってくる冷気を利用していたのだが、地下の水位が蒸発によって下がり始めたのが観測され、あわててガラスの回転扉をつけて、密閉したそうな。これがそのエレベーター回転扉


それにしても、巨大な洞窟。総延長は現在発見されているだけで160㎞ということだが、そういう学術的な数字は我々にはあまり意味がない。観光で訪れて見学できる場所がこれだけ巨大ですべてが整備されているということに驚かされる。


最初のナチュラル・エントランスから地下のインフォメーションまでが一時間弱。そこから「キングスパレス・ツアー」が一時間半、ビックルームをさらに一時間。合計で三時間半は地下を歩いたことになる。これを飽きさせない展開だというがスゴイ。


エレベーターを上がってすぐのところで、イヤフォンを返却


ふつうの洞窟ツアーならこれで終了だが、カールスバットでなければ見られないアトラクションは、実はこれからだ。日暮の十五分前にはじまるコウモリの飛翔は、ここを訪れたら絶対見ておきたいと思っていた。


今日の日暮は18時半ごろ、レンジャーの話は17時45分からはじまるという。一時間ほど休憩・・・でもビジターセンターは17時にはクローズ。


コウモリは、先ほど我々が下りていった「ナチュラルケーブ」から飛び出してくる。入口に向かって、ギリシャの半円形劇場の様な客席が用意されている。だんだんと夕方の気配になってくる。コウモリがこの穴に住んでいるのは五月下旬から十月下旬。冬にはメキシコの方へ移動してしまう。


★今回の旅を企画するにあたり、どうしてもこのコウモリ飛翔の見学が可能な時期にしたかった。しかし、夏は暑すぎるニューメキシコ、きのう訪れたホワイトサンズなどは夏場に歩く気にはなれないだろう。また六月では日暮が遅くなりすぎて、コウモリの飛翔やサンセット・ストロールまで待つのが辛い・・・ということで十月のはじめに設定したのであります。



五時半になって、レンジャーのお話しがはじまる。コウモリは電子機器がキライだということで、携帯電話は必ずOFF。写真撮影もキビシク禁止申し渡される。


三十分ほど質疑をしながら、レンジャーの方は時々穴の方を伺ってる。と、突然マイクを閉まったと思ったら、穴から黒い塊が旋回しながら浮上してきた。客席はレンジャーの注意通りにしーんと見守る。


コウモリが上がってくると、それまで周囲を飛んでいたイワツバメは道をゆずる。客席の上はだんだんとコウモリの旋回でいっぱいになってくる。パシパシという小さな音がたくさん重なって聴こえてくる。コウモリの翼がこすれている音なのだ。


飛び出してくる数は、日によって違う。大雨で飛び出せない日が続くと、次に晴れた日にはお腹を減らしたコウモリがどっとくり出すのだとか。 今日は夏場の最盛期よりは少ないのだろうが、それにしてもすごい数。


二十分ほど続くと、ほとんど突然に、コウモリの塊はなくなった。彼らは夜中虫など食べ物をハンティングして、また夜明け前にいっせいに巣穴にもどってゆくのだそうだ。


**我々も見学を終えて暮れた山道を降りてゆく。今晩は三十分ほど離れたカールスバットの街に泊まる。

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