ジジババのたわごと

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1票の格差解消はいつになったら

2011年02月28日 | Weblog

昨年7月の参議院選挙における1票の格差については、各地の高裁で「大きな不平等が存在する」として「違憲判決」や「違憲状態」の判決が出された。

 

しかし判決では、選挙結果までは無効としていない。

選挙の規則自体が違法だというのだから、その結果も無効となるのはごく当たり前のことである。

国会議員以外のほかの選挙と比較してみるとよくわかる。

もし「選挙のやり直し」を認めたら大混乱になるだろうから、裁判所の立場としてはそこまで踏み込みたくないと回避するのは理解できないことではないが・・・。

 

現在の選挙制度には大きな格差がある。

昨年の参議院選挙は1票の価値が都市部と地方で5倍の格差があった。

09年の衆議院選挙は2.3倍の格差がある。

 

これを変えるには国会の議決による。だがその前段で各党の合意形成が求められるのだが利害がなかなか一致しない。

“間違っても選挙のやり直しにはならない”と国会議員は高をくくっている。これが議員が選挙制度改訂に真面目に取り組もうとしない背景だ。

 

議員のこのような下地は、地方議会でもまったく変らない。

議員の待遇は議員自らが決定することになっている。

だから、「歳費」「政務調査費」「議員定数」などは、いわゆる議員の「お手盛り」であった。

名古屋の河村たかし市長が、「政党は市民の意見を吸い上げるのではなくて、議員たちの身分保障ばかりを考える。議員の集団的自衛権あるいは議員生活協同組合だ」と批判したことは誇張ではない。

与党も野党もなく共同戦線を張って自らの既得権を守ろうとする。

 

河村市長が、市議会議員の待遇に切り込んだのは異例中の異例である。

「議員定数」「歳費」「政務調査費」などの条例を作るときに、提案する権限は議員と自治体の長にあるとされている。

ところが「議員の身分・待遇」について、どこの首長もこれまで口を挟むことをしてこなかった。

暗黙の合意が形成されていて、議員待遇のことに知事や市町村長が口出ししないことを慣例にしてきたからだ。

 

東京大教授の井上達夫氏が指摘している。

「そもそも選挙制度を国会の裁量権にゆだねるのはおかしい。プレーヤーがアンパイアになるようなものです。定数配分も選挙区の区割りも、時々の与党勢力から独立した独立行政委員会のような中立の機関にゆだねるべきです。」

「ゲームのルールをゲームの勝者にいじらせるのは基本的にフェアネス(公正)に反します」

 

2010年の国勢調査による試算では「1票の格差」が拡大する傾向にある。  

参議院選挙の格差を抑えるために幾つかの制度改革試案が提案されている。参院議長の西岡武夫氏が提案した「西岡案」が代表的なものだ。

そんな中で、「みんなの党」はまずは国会議員が身を切るべきと「参議院は少数精鋭100議員」を訴えているのは異色だ。党利だけでないところは評価していい。

混乱する政治状況下で、実質的な選挙制度の検討に入れるものか心もとないところである。

 



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