ジジババのたわごと

孫たちさらにその孫たち世代の将来が、明るく希望が持てる時代になってほしい。

雇用不安の影

2008年01月14日 | Weblog
国内では雇用不安定がじわじわと拡大してきている。これが今後の日本を左右するもうひとつのポイントになりそうな予感がする。
雇用に不安がある社会というのは、病巣を抱えているようなものだ。病巣から次々に膿んだものが広がっていくような気分になってしまう。

グローバル化の波は好むと好まざるとに係わらず、変質を迫ってきている。
定年までのんびり安泰というのは許されない状況だ。年功を重ねれば賃金が上がるという仕組みも時代遅れになってきている。日本的な終身雇用や年功序列賃金は変質しなければならない運命にある。
あまりに硬直な制度も困る。たとえば公務員制度のように、解雇ということをそもそも想定していなくて、余程とんでもないことがない限り解雇できないというのでは支障がでる。

ところが問題は「非正規社員」だ。中でも先の見通しを立てられない雇用形態。
「登録型派遣」に代表されるごく短期の雇用契約は、早急な対策が必要だ。
派遣労働者、アルバイト、パート、契約社員などが3人に1人、さらに拡大して2人に1人になったときの社会を想像すると暗澹となる。
経営側の一方的な都合だけで、なんの制約もなく労働者の首を切ってかまわないという雇用形態は、殺伐としたものを予感させ、社会をゆがめてしまうように感じる。
何らかの手段で制限をかける必要があるのではないか。

数年先の自分の生活をイメージできない人が多くを占める社会はどこへ向かうか。
長期的な視点で物事を考えるとか、先のことを計画するということは薄らいでくるに違いない。
“今さえよければ”、という考えが蔓延するのは当然の結末に思える。
カネに絶対的な価値をおく風潮が浸透していくだろう。
思いやりとか、人情とかは薄れていく。しきたりとか、規範が損なわれていく。どこかの首相が唱えた、愛国心とか、美しい国とは対極の方向へ押し流されるのではないか。
おそらく会社と従業員の関係も希薄になる。
よくも悪くも、既成の価値観は壊れていくことだろう。

実力あるものや運がよかったものと、力がないものや運が悪かったものの格差が広がるのは当然なのだが、それが世代を超えて引き継がれる傾向が濃厚だ。
親の経済力や雇用形態の違いが子や孫に影響を及ぼすので、格差がますます開き、たぶんそれが固定化されていく。

長期的な見通しが立たない状況では、経済的不安定と心理的不安で、結婚を差し控えるムードが助長されていく。
結婚しないことが特殊なことに思われなくなってきたこととあいまって、少子化をさらに加速するのは間違いない。

そうはいうものの、労働者が使い捨てになる社会は、一方で経営側に競争力をつけることになり、全体としてみたときに、その国の力を高めるという面も見逃せない。
経済至上主義とか、競争原理といわれる社会構造は、勝者と敗者が明確になる。それが刺激になって有能な人材が輩出することも一面の真理だ。
実力ある者が破格の待遇で迎えられる時代でもある。
グローバル化している中で、生き残りをかけてしのぎを削っているジレンマ。


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