ジジババのたわごと

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靖国参拝と戦争責任の密約

2013年12月27日 | Weblog
安倍首相が靖国神社を参拝したことで、賛否沸騰している。
首相の参拝を擁護する代表的なものが、「自分の国の神社に参拝することなのに何が悪い。中国や韓国がとやかく言うのは内政干渉だ」という意見だ。

もっともな意見である。欧米の首相や大統領が、教会へ行ってお祈りしても騒がれることはない。
普通なら…まったくその通りで、よそから文句を言われる筋合いはない、ということになる。

だが残念ながら日本の場合、過去に近隣国と条約を交わした際の立ち位置がある。それを逸脱していると言わても仕方ない。
日本が先の大戦で被害を与えたことへの賠償や戦後処理を決着させる過程で、戦争を推進した国の指導部、とりわけA級戦犯に戦争責任を負わせることで合意した経緯がある。

中国と日中平和条約を結んで国交を再開したとき(1972年)、中国側が賠償権を放棄した。
肝心な点は、その時に組み立てられた論拠だ。
「戦争を指導したA級戦犯らによって、中国の国民も日本の国民も犠牲になった」ということが基本になっている。
つまり両国民にとってA級戦犯は共通の加害者ということで決着したわけだ。
だから、A級戦犯が祀られている靖国に首相が参拝することは、合意の大前提を崩すことになる。

たとえていえば、ドイツの首相や大統領がナチスを称賛するような言動をしたら、近隣諸国がどのように反応するか、というのと共通するところがある。

中国が賠償を放棄したのは、すでに日本側が台湾の蒋介石政権が中国を代表するものとして賠償を終えていたことが最大の理由だが、その代りとしてODAで中国を支援していくことになったわけだ。
このあたりの内情が国民にはっきりと知らされてこなかった。密約に近い状態で推移してきた。

尖閣諸島の交渉経過にしても、「尖閣の領土問題は棚上げする」と合意した。その実情が密約のまま伏せられてきた。
棚上げすることで合意したのに、尖閣は固有の領土であると国内向けに流してきた。
政府が御し易いように、都合よい解釈だけが国民に伝えられてきた。

従軍慰安婦の問題もしかり。韓国との間で日韓基本条約(1965年)を結んだ。
その際、賠償や技術支援をする見返りに、日本の統治時代の問題は清算する、と暗黙に了解したとされる。
しかし、国民には知らされてこなかった。
慰安婦は強制でなかったとか、誤魔化して無かったことにしようと画策する。
韓国でも実情は伏せられたままになってきた。

正確に情報を国民に知らせないことが、のちのち国民に偏見と誤解を助長させていく。


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