ジジババのたわごと

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北朝鮮は核を放棄しない

2018年05月06日 | Weblog
首脳会談を終えた南北朝鮮は、事前の予想を超えて和平へ向け急旋回している。
文在寅大統領に熱意が感じられる。
金正恩委員長もこれまでとは違う印象だ。ポーズだけではない本気度を感じる。



南北とも融和ムードに包まれている。
卓球団体世界選手権では、韓国と北朝鮮が急遽、女子合同チームをつくって準決勝で日本と戦った。
韓国軍が、軍事境界線近くに設置していた宣伝用スピーカの撤去作業を始めたというニュースも流れる。
韓国と北朝鮮はこれから先も、融和協調を進めていくことは間違いない。
どこまで溶け合うか楽観できないが、少し前のような衝突の危機に戻ることはないだろう

韓国と北朝鮮は同一民族なのだから、最終的に統一できるのであれば、それが一番望ましいこと に思う。
第二次大戦後の冷戦のあおりで南北に引き裂かれ、民族同士が武器を持って殺し合う歴史があった。
翻弄されてきた民族の悲哀が、それぞれの国民の胸の底に漂っていると感じる。

「我が民族の運命は我々が決定するという民族自主の原則を」と宣言した今回の首脳会談を好意的に受けとめた国民が多かったのは当然と思う。

「南北は完全な非核化を通じて、核のない朝鮮半島を実現するという共通の目標を確認した」と首脳会談で宣言した。
「朝鮮戦争の終戦を宣言して平和協定を結ぶため、南北とアメリカの3者、または中国も加えた4者による協議を積極的に推進する」ことも合意した。
一カ月内に開催されるトランプと金正恩の首脳会談に世界の期待がいやがうえにも高まっている。



北がすぐにでも完全に核を放棄するか否か、のような観測も目につく。
せっかちな米与党議員がノーベル平和賞の選考委員会に、トランプ大統領を推薦する書簡を送ったというからあきれる。

少し前まで、トランプが金正恩を「ロケットマン」と罵倒し、金正恩はトランプを「アメリカの老いぼれ狂人」と罵り合っていた。
信頼関係などまったくない、自分のことしか考えていない同士のことである。

北朝鮮は金一族体制の維持・存続が最大の使命である。
先の大戦で日本が敗戦濃厚になったとき、天皇制維持を最重要としたのと対比すると理解がいく。
核を保持するのがそのための最大の手段となっている。しかもその目的はほぼ達成したと言える。

アメリカは「北の非核化」が最大で、唯一の目標と言ってもよい。
核廃棄が実現するのであれば、金一族が政権を維持することに目をつむる。いまや金体制を壊滅する目的は封印するスタンスだ。

金委員長は「軍事的脅威が解消され、北の体制が保障されれば、核を保有する理由はない」と語ったというが、合意点が近づいてきたようにも見える。

さて、北が核廃棄へ歩み始めるか。それとも単なる口先だけで終わってしまうか。
米朝首脳会談がなんの前進もなく決裂することは考えられない。
トランプは、当面の中間選挙のために目に見える成果が欲しい。
金正恩は、貿易制裁が続けばエネルギー関連物資の輸入が減りいずれ外貨が底をつく事態を打開したい。
米朝双方が希望しているのだから、かなりの進展は見込める

米朝首脳は「朝鮮半島の非核化」を前面に打ち出しアピールすることだろう。ただしそれは「努力目標」のようなものになるのではないか。
米は過去の裏切られた轍を踏まないために、核廃棄を確認してからでないと制裁解除しないと牽制している。非核化を短時間に一括解決を目指そうとしている。
北は、「確実な体制保証」、「制裁の解除」、「大規模な経済支援」を主張し、同時並行で段階的な措置を主張する。

北は米に「核」をできるだけ高く売りつけて、見返りをどれだけ獲得するか、という立場だ
一気に全面非核化はあり得ない。双方が段階的に譲歩しながら、制裁緩和・経済支援、という交渉にならざるを得ない

米朝首脳会談で間違いなく確約されることは、今だ戦争状態のある朝鮮戦争の終戦を宣言して、平和協定を結ぶことについては合意される。
北朝鮮が核実験とミサイル発射を中断することも合意し実行されるだろう。
将来にわたって核実験やミサイル発射を恒久的に行わないと確約するどうか、は交渉の過程で駆け引きされる可能性が高い。
米が見返りを与え、最終的に北が核施設破壊に同意するというあたりで手を打つか。


ここで、「現に保有している核兵器を北が手放すか」という問題を考えてみよう。
保有している核をみすみす手放すことは考えにくい
核保有国という立場は強力だ。核があるからアメリカとも対等に渡り合える。
アメリカを信用していない北にとって、核を放棄するのは自殺行為と言える。
“北の核廃棄は実現しない”と予想する。

「南北朝鮮の統一」と理想を聞かされても、現時点ではだれもが実現出来っこないと考える。
「核廃棄」もそれと同程度に遠いことに見える。

ちなみに、日本から要請された「拉致問題」は、トランプ大統領の眼中にはないだろう。
改めて、日本と北朝鮮の間での単独の交渉とならざるを得ない。



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