ザ・コミュニスト

連載論文&時評ブログ 

共産論・部分改訂表

2019-07-25 | 〆共産論[増訂版]

当記事では、共産論・増訂版公開後の主要な部分的改訂箇所を随時お示しします。〇

 

第1章(2)

1.「資本自由主義」を「資本至上主義」に変更。
〈趣旨〉意味的にはほとんど変わらないが、資本の活動の自由を至上価値として最優先する思潮の特徴を強調するため。なお、通称では「新自由主義」と総称されてきた思潮に相当する。

第1章(4)

1.新興諸国や途上諸国からの近年の大量移民現象に関する言及を追加。
〈趣旨〉近年資本主義的成長を見せる新興/途上諸国からの大量移民という矛盾現象を資本主義の限界事象の一つとして把握するため。

第2章(1)

1.充足を追求する新たな物質文明のありように関する記述を追加。
〈趣旨〉原文では留保していた物質文明をめぐる問いへの回答を簡潔に示すため。

第2章(3)

1.「具体的環境規準を踏まえた厳正な需要設定」を「具体的環境規準を踏まえた厳正な供給設定」に訂正。
〈趣旨〉用語の誤記を訂正。

2.陸上輸送の計画策定に関して、「電気自動車または水素自動車によるトラック輸送と可能限り電化された鉄道輸送」を追加(下線部分)。
〈趣旨〉近年の電気自動車の普及や将来の水素自動車の普及を視野に入れ、記述を補足するため。

第4章(1)

1.「経済協力」を「経済協調」に変更。
〈趣旨〉意味的にはほとんど変わらないが、より緊密かつ対等な関係性を表現するため。

第4章(3)・続

1.「多数決‐少数決制」及び「大衆迎合政治の禁止」の節及びページを追加。
〈趣旨〉同章で提起した「真の民主主義」の具体像をより詳細に明らかにするため。

第4章(5)

1.「犯罪捜査庁」を「捜査委員会」に変更。
〈趣旨〉捜査機関をより公正な合議体をもって運営するため。

2.「交通安全庁」を「交通安全本部」へ、「海上保安庁」を「海上保安本部」に変更。
〈趣旨〉それぞれ交通警邏隊・沿岸警備隊という取締組織の統括責任機関としての性格を強化するため。

第4章(6)

1.小見出しを「裁かない司法制度が現れる」に変更したことに伴う若干の記述の補足。
〈趣旨〉権威主義的な裁判所制度によらない共産主義的紛争処理制度の特質を明瞭にするため。

2.「犯罪」の用語を一部削除(作業中)。

〈趣旨〉共産主義社会における刑罰制度の廃止の趣旨を徹底し、「犯罪」という刑罰的ニュアンスを包含する用語の使用をより限定するため。「犯罪」に代わる新たな用語としては、「犯則(行為)」を使用する。

3.「法令委員会」を「法理委員会」に変更。
〈趣旨〉法令の解釈という理論的な任務に専従する民衆会議常任委員会の役割をより鮮明にするため。

4.「護民官」を「護民監」に変更し、オンブズマンを削除。
〈趣旨〉「護民監」の監督司法としての性質を浮き彫りにするべく語変換するとともに、監察権力としての性質の強い北欧的な制度であるオンブズマンの語を司法分野では使用しないようにするため。

第5章(1)

1.「二つの福祉社会」の記述から、福祉社会の日米対比を削除。
〈趣旨〉アメリカ型の福祉資本主義による福祉社会と共産主義的福祉社会という二つの福祉社会を端的に対照させるため。

第5章(4)及びその他関連する箇所

1.「バリアフリー」の用語を原則的に「ユニバーサルデザイン」に変更。
〈趣旨〉障碍者包容政策の基本理念が、現時点では単なる障壁除去から普遍的設計へと進展していることを反映させるため。

第7章(3)

1.「新聞法人」「放送法人」を「メディア協同組合」に変更。
〈趣旨〉非営利的で非集中的なメディア運営組織形態としての特徴を明確にするため。

第8章(2)及びその他関連する箇所

1.「集団的棄権」の用語を「集団的不投票」に変更。
〈趣旨〉「棄権」の用語が醸し出す投票権の放棄という怠慢的なイメージを払拭し、積極的な革命の手法として、集団的に投票しないことをもってブルジョワ選挙政治体制の転換を図る趣旨を明らかにするため。

第9章(1)及びその他関連する箇所

1.「非暴力革命」の用語を「非武装革命」に変更。
〈趣旨〉「非暴力革命」の対語「暴力革命」がしばしば革命的勢力全般に対する弾圧を正当化する常套用語として乱用されがちな点を考慮し、武装して立たないという革命の手段をより強調するため。

第9章(2)

1.「世界共同体の漸次的な樹立を宣言する」の下線部分を「暫定的な樹立」に変更。
〈趣旨〉民衆会議を通じた共産主義革命においては、まず世界民衆会議の結成を通じた世界共同体の樹立が出発点となることを強調し、世界共同体の樹立は間延びした「漸次」でなく、先駆的な「暫定」であるべきことを示すため。

第9章(4)

1.「革命防衛連絡会」(革防連)の意義に関する記述の補正。
〈趣旨〉革防連が政治警察の代替組織と化さないよう、監視・抑圧よりも、啓発・包摂に重点を置くことを明確にするため。

2.軍の「高度救難隊」への一部再編に関する記述を追加。
〈趣旨〉軍備廃止計画の一環として、在来の軍組織の平和利用的な転換の一策を提示するため。

〇第9章(6)

1.完成憲章の発効要件として、連合領域圏では連合を構成する全準領域圏における直接投票を義務づけ。
〈趣旨〉連合領域圏を構成する準領域圏はそれ自体がまさに領域圏に準じた自立性を有することを重く見て、完成憲章の発効要件を強化するため。

第10章(2)

1.上掲第4章(1)の項目1に同じ。

第10章(3)

1.世界共同体暦の策定を追加。
〈趣旨〉人類史的な一大転換点となる世界共同体の創設を銘記しつつ、暦法の上でも世界共同体の一体性を担保するため。

2.世界共同体のエスペラント語表記をTutmonda KomunumoからMonda Komunumoに変更。
〈趣旨〉より簡潔で発音しやすく、覚えやすい単語とするため。

第10章(3)・続

1.「環境経済理事会」を「持続可能性理事会」に変更
〈趣旨〉世界共同体のレベルにおける環境政策と経済政策の融合を徹底しつつ、包括的な任務を有する主要機関とするため。

2.「人権理事会」を削除。
〈趣旨〉世界共同体における人権保障体制を司法機関としての人権査察院に一元化するため。

3.「人権審査院」を「人権査察院」に変更。
〈趣旨〉個別的な人権侵害事案に対する世界共同体司法機関による強制力を伴う調査及び審決が実現されることを明瞭にするため。

10章(4)

1.「平和維持警察軍」及び「航空宇宙警戒軍」をそれぞれ「平和維持巡視隊」「航空宇宙警備隊」に変更。
〈趣旨〉世界レベルでの軍備・常備軍廃止の趣旨を徹底するため、世界共同体に統合される二つの共同武力に関しても、「軍」の名称を冠さないようにするため。

2.改称された「航空宇宙警備隊」の概要に関する記述の変更。
〈趣旨〉平和維持巡視隊に準じつつも、その防空任務に照らし、部分的には既存の空軍に近い側面を持つことを示唆するため。


コメント    この記事についてブログを書く
« 共産論(連載最終回) | トップ | 共産論[増訂版]・総目次 »