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世界共同体通覧―未来世界地図―[補訂版](連載最終回)

2024-07-30 | 〆世界共同体通覧―未来世界地図―[補訂版]

八 独立宗教自治市/域

世界共同体は、特定の宗教の聖地・聖域として特別の歴史的意義を持つ都市または地域を世界共同体の枠外で独立し、宗教組織または宗教的権威者によって自治的に統治される独立宗教自治市/域として保障する。これらは、当該の都市または地域と世界共同体の協約に基づき、個別的に設定される。独立宗教自治市/域は世界共同体憲章の適用を受けないが、それぞれの宗教上の教義と矛盾しない限りで憲章の各条項を尊重することが認証の条件となる。認証された独立宗教自治市/域は、世界共同体総会に各一名のオブザーバを送ることができる。また、近隣の領域圏と共通経済協定を締結して、共通経済計画の適用を受けることもできる。こうした独立宗教自治市/域として、さしあたり次の二つの自治市と二つの自治域が想定されるが、上記条件を満たせばさらに追加される可能性もある。

 

メッカ独立市
サウジアラビア領内のイスラーム教聖地メッカが、民衆会議制度による中央アラビア領域圏とは分離される形で設定される。市の運営は、サウジ王家であるサウド家の首長が世襲総督として行なう。中央アラビア領域圏と共通経済計画協定を締結する。

バチカン独立市
ローマ・カトリック総本山のバチカン市国を継承する独立市。市国時代と同様、バチカン市の運営はローマ教皇庁が行ない、民衆会議制度は導入されない。イタリア‐サンマリノ領域圏と共通経済計画協定を締結する。

マルタ宮独立域
国際連合との関係において、領土なき主権実体としての地位を認証されてきた通称マルタ騎士団が拠点を置くイタリア‐サンマリノ領域圏ローマ市内のマルタ宮殿敷地内に限定された最小の独立域。騎士団による自治が認められる。イタリア‐サンマリノ領域圏と共通経済計画協定を締結する。

アトス山独立域
ギリシャ領内の正教聖地アトス自治修道士共和国を継承する独立域。その運営はアトス域内の主要修道院によって自治的に行なわれ、民衆会議制度は導入されない。ヘラス領域圏と共通経済計画協定を締結する。


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