白洲正子の『西行』を読みました。
僕はこれまで、再三旅の歌人西行について授業で扱って来ました。西行の経歴や主要な和歌について一通りの知識はありましたが、この本を読んで知らなかった事がたくさん出て来ました。北面の武士として仕えた鳥羽院や徳大寺との関係についてはある程度知っていましたが、待賢門院との関係などは全く知らなかったので、驚きました。
西行は、この時代の人としては長生きだったので、その分エピソードも多い人です。生前すでに歌人としての名声が高かったため、権門に招かれる事も多くありました。奥州に向かう途中で鎌倉に寄った際には源頼朝に会って東大寺への勧進を要望しました。頼朝はこの訪問を喜んで、勧進を受けた上に、銀細工の猫を西行に与えました。西行はこの高価な銀の猫を、帰り道にその辺りで遊んでいた子どもに与えてしまいました。権力に対する彼の姿勢がよく分かるエピソードです。
とても面白く読みましたが、この本の性格上やむを得ないのですが、和歌がたくさん掲載されていて、その都度僕は読んでは解釈して行ったので、授業で使っている神経を使わなくてはならず、けっこう読むのに苦労しました。ただ、まだまだ勉強不足だったなと思いました。しっかり勉強する必要があるなと感じました。
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