黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『烏に単は似合わない』阿部智里(文藝春秋)

2012-08-24 | 読了本(小説、エッセイ等)
八咫烏が支配する世界。宗家の金烏を主君とし、東西南北の四家四領はそこに連なる名門である。
宗家は、その四家のいずれの姫を后として迎え入れることになっており、その入内の前に、各家から候補となる姫君を<桜花宮>に集め、一緒に住まわせることを登殿という。
中央で高官を務める東家の当主を父に持つ二の姫は、別邸で得意な音楽を楽しみつつ静かに暮らしている、おっとりとした風情の娘。しかしある事情により登殿できなくなった姉・双葉に代わり、急遽登殿することが決まってしまう。
南家からは浜木綿、西家からは真赭の薄、北家からは白珠という、それぞれの美しさを誇る姫君たちが集められる中、何の知識を持たず、いつでも実家へ帰ってきてよい、とばかりに送り出された二の姫は、大紫の御前(兄宮の生母)から、皮肉めいた<あせび>という名をもらい、春殿で暮らすことに。それぞれの思惑の中、策謀渦巻く後宮で戸惑うあせび。
そんな中、ようやく若宮の姿を垣間見たあせびは、彼が幼い日に恋に落ちた男の子だと知る。
だが彼はなかなかやってこようとはせず、不穏な空気が漂いはじめる。届けられない手紙の行方、あせびと親しかった女房・早桃の不審な行動、男子禁制の地へ侵入者……お后選びの行方は何処へ向かうのか?

第19回松本清張賞受賞作(最年少受賞者。20歳!)。
平安朝的な舞台設定のファンタジーで、后の座を争う四つの名家の姫君たちとその周辺で起こる謎。
ザ・少女小説な感じの、王道でベタな展開(登場人物の造形とか)……かと思いきや、覆しっぷりが(爆笑)。
荒さはいろいろ目立つし、難はあるけれど、将来が楽しみな作家さんかも。

<12/8/23,24>