黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『大展覧会』望月諒子(光文社)

2012-08-22 | 読了本(小説、エッセイ等)
ロンドンの美術品競売ルービーズのオークションで、出品されることになったゴッホの『医師ガシェの肖像』。
英国人の美術収集家イアン・ノースウィッグは、愛妻の為に落札するつもりであったが、日本人に競り負け、本来の数倍もの値段…一億二千万ドルで落札されてしまう。
それから十数年後の日本。群馬の資産家大浦家の長男・大浦荘介は、東京の一等地で小さなデザイン会社を設立するも、うまくゆかず、借金を雪だるま式に増やしては、実家に尻拭いをさせていた。
仕事に事欠くようになり、やがて怪しげな仕事も引き受けるようになった壮介。突然金融会社の督促がきたこともあり、その仕事相手・矢吹から聞いた上場株の儲け話をきき、母・定子に無理を云い、条件付きで大金を用立ててもらうが、振り込んだ後に、それが詐欺であったことを知る。
一方、かつては銀座のホステスとして大金を稼いでいた筆坂茜は、客のツケを立て替えた分が嵩み、いつのまにか一千万に。その借金を踏み倒して、逃げるように各地を転々とする中で貯めたお金で、都内の外れにようやく小さなスナックを持つ。
ところが、そんなある日、彼女の前に借金取りから連絡があり、大きく膨らんだ利子とともに返済を迫られてしまう。
切羽詰り、客のひとり安福富男から持ち掛けられた、上場株の儲け話に乗ることにした茜。店も担保にし、何とか大金をつくり、金を振り込んだがそれが詐欺であったことを知る。
パンフレットを唯一の手掛りに、事務所に乗り込んだ二人はそこで鉢合わせ。そこへ茜の店の客でもある城田に会い、二人と城田自身も騙されたのだと聞かされる。
そんな城田は、二人にある相談を持ち掛ける。それは銀行の担保物件として倉庫に眠る、名画の強奪だった……

バブルの時代に、日本人に買われた名画『医師ガシェの肖像』を巡り展開される、騙し騙されのコンゲーム。 茜と壮介は騙されっぱなしですが…(笑)。
テーマは魅力的だし、明かされた真相が次々と覆されてゆく様は面白く、読後感も良いのですが、入り組んだ真相だけに、もうちょっと読みやすい構成を考えられた方が、より効果的だったかな、という気が。

<12/8/21,22>