黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『夢からの手紙』辻原登(新潮社)

2011-02-25 | 読了本(小説、エッセイ等)
『夢からの手紙』辻原登(新潮社)
明和九年。染料問屋染屋治兵衛は、京の島原の女・小春に入れあげ、周囲に借金した挙句、女房のおりくや親族が止めるのも聞かず、彼女を身請けするつもりで島原へ。
ぎりぎりの金を懐に、小春と心中をする決意を固めた治兵衛の耳に、その向かいの座敷のやりとりが聞こえてきて……『川に沈む夕日』、
河内の国枚方宿に平岡兵吉というものがいた。大坂町奉行川役同心で、枚方宿に派遣され三年が過ぎた。
彼は仕事の合間に菊づくりをしていたが、そんな菊を見に来た美しい女・まきを見初める。彼女は本陣池尻善兵衛に雇われたばかりの者だというが、記憶喪失で素性がわからないという。
そんな彼女を嫁に迎えた兵吉だったが、三年目の秋、彼女は突然姿を消した。
捜し歩いたが見つからず、兵吉の庭は荒廃。そんな中、菊人形作りを提案されて……『菊人形異聞』、
大阪東町奉行同心の糸賀彦四郎は、病を得て一時休職して療養。その後快復した為、復職願いをだしたが、奉行所からの沙汰がない。蓄えがなくなりそうになったところで、届いた妻の兄からの金・十両とそこに添えられた言葉に感じ入った糸賀は、それを披露したいと知人を招いて宴を催す。
そこに呼ばれた、米方両替屋を営む田中屋新兵衛。早くその場を退散して、野田の妾宅に行きたいと考えているが、なかなか帰れない。そんな中、彦四郎が、小判を使った趣向の後、一両が行方不明になり……『おとし穴』、
鶴ヶ岡の加藤大弐の屋敷に、十六で奉公にあがった老女・もんがいまわの際に遺した言葉。
それは四十年前、世間を騒がせた、加藤家の跡継・多士美と年の離れた妹・せつとの密通騒動の裏に隠された真実だった……『もん女とはずがたり』、
国元で待つ妻・総から届いた手紙に書かれていた、夢の話。
それを読んだ、府内藩江戸屋敷勘定方を勤める片岡孝介は、先日遭遇した奇妙な出来事を思い出す。
孝介は、昔一緒に学んだ学友・柏木清一郎にばったり再会。彼から、不思議な仕事を請け負った話を聞いた孝介は、その場に無理矢理ついて行ったのだが……『夢からの手紙』、
近畿温泉旅館組合の女将講で、天神祭の舟遊びに参加した、有馬温泉の上人法師屋女将・良恵は、昔亡き母に連れて行ってもらった思い出のある、南本町筋の呉服屋・菱屋に顔を出した。
その主人・長兵衛は、彼女に惹かれ、彼女もまた憎からぬ様子。高価な着物をつけで売り、その代金を回収する名目で有馬を訪れたのだが……『有馬』の6編収録。

時代小説の短編集。
元ネタが存在する話もあるようですが(西鶴とか)、どれも短さを生かした、うまいまとめ具合というか、オチの付け方になってます。
表題作も不気味な雰囲気が怖いのですが、何気に『もん女~』のラスト数行が印象的……。

<11/2/24,25>

『ピースメーカー』小路幸也(ポプラ社)

2011-02-24 | 読了本(小説、エッセイ等)
昔から、伝統的に文化部と運動部の戦いが続いている赤星中学校。
文化部総合顧問の菅野と、運動部総合顧問の玉置という、二大巨頭と呼ばれる二人の古株の先生が犬猿の仲で、事あるごとに争っていることが原因で、他の先生達もやむをえず、いずれかの派閥に所属している。
そのどちらにも属さない教師・コウモリこと中山俊一は、一計を案じ、近所に住んでいる少女・林田みさき…容姿端麗で成績優秀、おまけに美声の持主…に、<ピースメーカー>に…文化部と運動部の橋渡しになって欲しいと頼む。
その能力を発揮した彼女は、放送部員として校内に平和をもたらし、伝説を残して、卒業していった。ところが、その後再び両者の仲はさらに険悪になり、放送部も三年生で部長の沢本香苗ひとりを残すだけとなっていた。

一九七四年。そんなところへ入学してきたのが、“僕”こと、みさきの六歳下の弟・良平。姉のように優秀ではないが、家がジャズ喫茶をしている友人のケンちゃんとふたりで、日々放送部の活動に勤しんでいる。
そんな中、菅野の息子で元バスケ部員の光男と、玉置の娘である吹奏楽部員の裕子が付き合っているという話を聞いたふたり。彼らの関係は親には内緒にしていたのだが、どうやらバレてしまったらしい。
真面目な彼女が思いつめて、何かしでかさないかと心配する、コウモリは、ふたりに何とかしてみて欲しいといって……“一九七四年の<ロミオとジュリエット>”、
剣道部の二大剣士…折原と河内が、八百長するのではという噂が立っているらしい。取材にかこつけ、彼らの練習の様子を見にいったふたり。
確かに河内は折原との練習の時に、わざと打ち込む隙を作っているような様子。折原を個人戦の代表にするために、今のうちから、わざと負けて怪しまれないようにしているのでは?というのだ。
しかし、良平はその様子に違和感を感じて……“一九七四年の<サウンド・オブ・サイレンス>”、
九月三日。文化祭<赤星祭>間近。その赤星祭では、フォークソング同好会によるフォークソングのグループが、ステージ演奏するというのが、ここ三年くらいの傾向だという。そんな中、元サッカー部で問題児との噂だった三年の岩島が、ロックバンドを結成。そのプログラムに加えられないかとのことだったのだが、菅野が猛反対。おまけにフォークソングのリーダー・倉持と岩島が、昨年相当派手に対立し、同好会の反発もある。何とかしようと画策するふたりは……“一九七四年の<スモーク・オン・ザ・ウォーター>”、
十一月。コウモリの薦めで、みさき似の美声の持ち主の転校生・三浦文枝が、放送部に入部。転校前の学校でも、放送部に所属していたというからうってつけ。
その矢先、<お昼の校内放送>の<音楽鑑賞プログラム>で、ロック音楽を流してはいけないことになりそうだと、部長の沢本…お嬢様ゆえに習い事が多いため、幽霊部員。その孤高さゆえに<女王>と呼ばれる…が、聞いてきた。校内の服装の乱れが、ロックの所為だと玉置が難癖をつけたのが原因らしい。
翌日、コウモリからそれが決定したと聞かされた彼らは意気消沈。
そんな中、三浦のアナウンス練習を聞いていた良平は、ある策を思いつく……“一九七四年の<ブートレグ>”、
十二月。沢本から、放送部が廃部になるかも知れないという話を聞かされた良平たち。
みさきとコウモリがデートしているところを目撃したものがおり、問題に。しかもみさきが在学中からの関係ではないかということになり、極秘裏に問題を闇に葬ろうとしている学校側は、部を潰してしまうつもりらしい。
折りしも、有名ロックバンド<パープルウェザー>のベーシストである、ケンちゃんの兄が年の離れた彼女と結婚して、故郷に戻ってきていた。
彼らの手を借り、学校側の思惑を阻止する計画を立て…………“一九七四年の<愛の休日>”、
沢本邸でクリスマスパーティをしていると、書道部部長の柴田から電話があり、<ピースメーカー>にSOSが。
書道部では、お正月に書き初めイベントの為、体育館を使う予定。しかも今年は、有名書道家の村崎大点が来るのだという。
ところがバスケ部でも王志工業バスケット部がやってきて、試合をする予定があるらしい。それぞれに理事長と校長の口約束が原因なのだが、どちらもゲストの存在がある為、譲れない……“一九七五年の<マイ・ファニー・バレンタイン>”、
二月に入ったある日曜。沢本から放送室に呼び出された良平。そこで渡されたものとは……“ボーナストラック”を収録。

文化部と運動部が対立する中学校で、<ピースメーカー>として名を馳せた姉同様、放送部に入り、その二代目となった良平と仲間たちが、学校の平和の為に奔走する話。青春モノ。
放送部ならではの知恵と技術(笑)を使い、何とかしていくところが楽しいです。是非続編を!

<11/2/24>

福運萬来マドレーヌ・その1@ねこの約束

2011-02-23 | スイーツ
 ちゃちゃさんからのいただきもの♪
 招き猫型なのが、らぶりーvvなマドレーヌ(…というよりはフィナンシェっぽい?)。
 いろんな味の8種類入りでしたが、今日は、かぼちゃとブルーベリーを。
 どちらかというとバターの風味の方が勝ってるかな?(飛騨産のバターを使ってるとか)

 ねこの約束:岐阜

『燔祭の丘 建築探偵桜井京介の事件簿』篠田真由美(講談社)

2011-02-23 | 読了本(小説、エッセイ等)
謎の言葉を残し、皆の前から姿を消した桜井京介は、久遠アレクセイという名に戻り、父・グレゴリと対決すべく、昔暮らしていた館に戻っていた。目を開けることができず監禁される彼を責め苛む、ニコライと名乗る人物。
一方、そんな京介の行方を追う蒼は、函館に飛び、情報収集をすることに。そこで、ニキこと加島和子と名乗る人物と出会い、グレゴリの妹・エレナらの元に導かれる。
やがて、二十年前京介がいた学園で起きた惨劇の存在を知り、その事件を背後で操っていたのが、京介であると聞かされる蒼。
その頃、東京では門野貴邦が松浦窮に襲撃され、復讐に燃える秘書・高倉美代は、北海道へと渡った松浦を追う。栗山深春は、本当の桜井京介の父である了介に話を訊き、久遠家に関して情報を得ようと試みる。そんな深春の元に輪王寺綾乃が現れ、一緒に京介の元へと向かうことに……

シリーズ最終巻。足掛け16年…長いような、短いような(笑)。
いよいよ京介の過去が明らかに。彼が、通っていた学園で起きた大量殺戮を、陰で操っていた血も涙もない人間、という話を聞かされつつも、彼を信じようとする蒼がいじましい…。
グレゴリの扱いが若干微妙だとか、神代さんとモイラの関係が妙に唐突…とか、ちょっと気になるところもなくはないですが、何だかんだありつつも、最後は大団円で良かったです(やっぱりこれだけ長く読んでると、幸せなラストをみたいと思うし/笑)。

<11/2/21~23>

すいーとぽてと(白)@農園ビギン

2011-02-22 | スイーツ




 芋焼酎の材料として使用されるさつまいも・コガネセンガンのスイートポテト。
 コガネセンガンは色白で、どちらかというとじゃがいもっぽい甘さひかえめなさつまいも。
 その特色を活かし、りっつさんが研究を重ね、より色白に、甘さひかえめな仕上がりに。
 他のスイートポテトよりは、若干ほくほくな感じかも?
 思っていたよりはだいぶ甘みを感じましたが、今回は(りっつさん曰く)ガンジー牛乳を使われていた所為?
 
 農園ビギン:新潟(小千谷) 

『妄想気分』小川洋子(集英社)

2011-02-20 | 読了本(小説、エッセイ等)
故郷から上京し、大学時代に過ごした女子学生寮での思い出。忘れがたい本や人との出会い、自分と夫との事。
タイガースや甲子園球場への思い、創作秘話……等々、さまざまに語るエッセイ集。

いろんなところに掲載された(地元の広報誌とかも)エッセイを集めた一冊。
各章のはじめに一枚の写真とそれに対する文章が添えられています。
タイトルの割にはいたって真っ当な内容(笑)。
父とも慕っていた編集者さんと実父との別れのエピソードが切なかったです;

<11/2/20>