さる侯爵が、美しい養女ジュリーを、知人である放蕩三昧の金持ち・V***氏に輿入れさせようと企てた。ところが、ジュリーには、すでに結婚を誓い合った若者D***がいる。
彼女をわが子同然に可愛がり育ててきた侯爵夫人は、この縁談に胸を痛め、パリのみならずフランス全土で流行していた訴訟の手管を使う奸計を巡らせた……すなわち、誹謗文を流布させ、悪評を流して醜聞を炎上させるという方法。
“私”が彼女の命を受けて、この醜聞の代筆屋として白羽の矢が立てたのは、腕は良いうだつの上がらない弁護士・ルフォン。
その意図通り、その一件はパリ中の話題を攫い、世間は若者たちの味方になり、(正体は暈されているものの)侯爵やV***氏が非難が集中するのだが……
フランス革命直前のパリを舞台に、若いカップルの仲を引き裂いて、養女を好色な狒々爺に嫁がせようとする侯爵と、それを<醜聞>を用いて阻止しようとする侯爵夫人と“私”、ルフォンの駆け引きを描いたお話。
それぞれ書簡や覚書などの形で進行しているのですが、それ故に語られない裏の部分もありそうで…そして語られている事柄の真偽さえも揺らいでいくような、一筋縄ではいかない感じが面白いです。
佐藤さんの他の作品よりはだいぶ読み易いですが、風刺の効きっぷりは流石(笑)。
<11/2/11,12>
彼女をわが子同然に可愛がり育ててきた侯爵夫人は、この縁談に胸を痛め、パリのみならずフランス全土で流行していた訴訟の手管を使う奸計を巡らせた……すなわち、誹謗文を流布させ、悪評を流して醜聞を炎上させるという方法。
“私”が彼女の命を受けて、この醜聞の代筆屋として白羽の矢が立てたのは、腕は良いうだつの上がらない弁護士・ルフォン。
その意図通り、その一件はパリ中の話題を攫い、世間は若者たちの味方になり、(正体は暈されているものの)侯爵やV***氏が非難が集中するのだが……
フランス革命直前のパリを舞台に、若いカップルの仲を引き裂いて、養女を好色な狒々爺に嫁がせようとする侯爵と、それを<醜聞>を用いて阻止しようとする侯爵夫人と“私”、ルフォンの駆け引きを描いたお話。
それぞれ書簡や覚書などの形で進行しているのですが、それ故に語られない裏の部分もありそうで…そして語られている事柄の真偽さえも揺らいでいくような、一筋縄ではいかない感じが面白いです。
佐藤さんの他の作品よりはだいぶ読み易いですが、風刺の効きっぷりは流石(笑)。
<11/2/11,12>