明治十年。御家人の次男に生まれた定九郎は、御一新によってすべてを失った家を出奔。
現在二十六になる彼は、今では根津遊郭の美仙楼に流れ着いた。
根津遊郭は、吉原には劣るが、小見世も合わせると百軒近い妓楼と、二十数軒の引手茶屋から成る遊郭。美仙楼は半籬ながら、気高さと賢さを持ち合わせる美しき花魁・小野菊が隆盛を誇っていた。
廓の仕事を取り仕切る、妓夫太郎の龍造はその仕事に心血を注ぎ、仲どん(雑用係)の異相の小男・嘉吉は、どんな些細なことでも店に関することで、自分に知らないことがあることに恐怖を覚え、落ち目の花魁・芳里は首をくくるが失敗に終わる。
そんな店の中で仕事に身を入れずに周囲を受け流しつつ、立番を務める定九郎は、ただ自らの行方の無さを感じていた。そんな彼の周辺を、何故かうろつき、付きまとってくる名人と呼ばれる噺家の弟子・ポン太。
ある日、以前深川で一緒だった吉次と五年ぶりに再会。彼は小野菊を吉原に売ろうと考えており、定九郎に手を貸すように迫って……
第144回直木賞受賞作。明治初期の遊郭を舞台にしたお話。
自分探しとかする、現代社会の若者像にどこか通じるものが、定九郎にはあるような気がします。
派手さはないけれど、舞台設定も筆致も非常に上手く、今後に注目したい作家さんかも。
ポン太の狂言回し的な存在感と、そして何といっても小野菊花魁が素敵vv
<11/2/7,8>
現在二十六になる彼は、今では根津遊郭の美仙楼に流れ着いた。
根津遊郭は、吉原には劣るが、小見世も合わせると百軒近い妓楼と、二十数軒の引手茶屋から成る遊郭。美仙楼は半籬ながら、気高さと賢さを持ち合わせる美しき花魁・小野菊が隆盛を誇っていた。
廓の仕事を取り仕切る、妓夫太郎の龍造はその仕事に心血を注ぎ、仲どん(雑用係)の異相の小男・嘉吉は、どんな些細なことでも店に関することで、自分に知らないことがあることに恐怖を覚え、落ち目の花魁・芳里は首をくくるが失敗に終わる。
そんな店の中で仕事に身を入れずに周囲を受け流しつつ、立番を務める定九郎は、ただ自らの行方の無さを感じていた。そんな彼の周辺を、何故かうろつき、付きまとってくる名人と呼ばれる噺家の弟子・ポン太。
ある日、以前深川で一緒だった吉次と五年ぶりに再会。彼は小野菊を吉原に売ろうと考えており、定九郎に手を貸すように迫って……
第144回直木賞受賞作。明治初期の遊郭を舞台にしたお話。
自分探しとかする、現代社会の若者像にどこか通じるものが、定九郎にはあるような気がします。
派手さはないけれど、舞台設定も筆致も非常に上手く、今後に注目したい作家さんかも。
ポン太の狂言回し的な存在感と、そして何といっても小野菊花魁が素敵vv
<11/2/7,8>