黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『照葉ノ露 居眠り磐音 江戸双紙』佐伯泰英(双葉社)

2011-02-19 | 読了本(小説、エッセイ等)
芒の穂が秋の風情をみせる頃、佐々木磐音は、南町奉行所定廻り同心木下一郎太らとともに上総の地に赴いていた。
一郎太出入りの旗本・設楽家に不祥事が出来したためだ。
直参旗本二千五百五十石の設楽貞兼は、以前より酒乱癖があり、それ故に先妻のおとせは逃げ戻り、離縁。その後、領地である上総の上湯江陣屋に見回りに行った折、陣屋に奉公していたお彩を見初め、強引に妾話を進めて江戸へ連れ帰った。その後はお彩が嫁ぎ、小太郎貞綱という子供にも恵まれた。悪癖はしばらく納まっていたのだが、小太郎五歳の折、上総より奉公に上がった佐江傳三郎が、お彩と所帯を持つ約束を交わしていた仲だという無責任な噂が広まり、それをきっかけとして再発。
安永七年、城中で失態を犯した貞兼は、酒に逃げて暴れ、それを止めに入った傳三郎は誤って貞兼を死に至らしめてしまったのだが、お彩は彼と共にそのまま屋敷を出たのだった。
設楽家の用人・隅田三太夫から知らせを受けた一郎太は、磐音に相談し、さらに速水左近に相談。設楽家の家名を存続させるため、十三歳の小太郎に傳三郎とお彩を討たせることとなった。
一郎太は、傳三郎とお彩が安房から浦賀水道を渡る船の手配を済ませたという情報をつかみ、先回りし勝山に向かい、安房北条の湊に着いたが、天候が悪化し、傳三郎らが乗る播州丸は、未だ着いていなかった。
その頃、江戸の尚武館道場。でぶ軍鶏こと重富利次郎が、父とともに土佐へ赴くことが決まったのだが、心中が複雑らしい。
事態を収拾し、安房から戻って来た磐音は、久しぶりに利次郎の稽古の相手をし、数日間での利次郎の変化を感じ取る。
そんな中、品川柳次郎が竹村武左衛門のために門番の話を探してきた。場所は、柳次郎の飲み仲間である、猿渡孝兵衛が用人をつとめる、陸奥磐城平藩五万石安藤対馬守の小梅村にある下屋敷。但し、磐音が武左衛門の身許引受人になるという条件つきだが。
かくして、利次郎は土佐へと旅立ち、翌々日竹村一家が下屋敷の長屋へと越していった……

シリーズ第二十八弾。仇討ちの助太刀、利次郎の土佐行き、武左衛門の新たな職が決まったり…の他、一郎太の恋の動きやら、磐音が剣術指南として西の丸に行ったり、五人の刺客の四番目が出てきたりで、いつもにも増しててんこもりな内容。
話のテンポが早いので読み易いけど、反面ちょっと詰め込み過ぎな気もする…。

<11/2/19>