黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『医学のたまご』海堂尊(理論社)

2008-04-26 | 読了本(小説、エッセイ等)
世界的なゲーム理論研究者を父に持つ、桜宮中学2年生の少年・曾根崎薫。両親は離婚し、父はほとんどアメリカに行ったきりで、メールのやりとりが主。そんな彼の世話してくれているのはシッターの山咲だ。
普段の成績はいたって普通(むしろ歴史以外はダメ)の中学生な薫だが、父が作成した潜在能力テストでうっかり日本一の成績を……作成に協力していたので、見たことのある問題ばかりだったのだ……とってしまい、周囲は大騒ぎ。
しかも東城大学の医学部の藤田教授の元で研究に参加することになってしまい、同級生の医学オタク・三田村や、優等生のおさななじみ・美智子の手を借りつつ、何とかごまかしている日々。そんな彼の行なった実験で。思わぬ世界的発見をしてしまったらしく……

ひょんなことから、医学(とそれを巡るオトナたちの事情)にかかわることになった少年のお話。
まだ続きそうな気配もあるので、これから彼がどんな将来を選んでいくのか楽しみです。
……そして例によって、あの辺とかこの辺とかその辺と繋がってます(笑)。
横書きなのがちょっと読みにくい;

<08/4/26>

『青空のルーレット』辻内智貴(筑摩書房)

2008-04-25 | 読了本(小説、エッセイ等)
バンドデビューを夢見ながら高層ビルの窓拭きをしているタツオ。そんな彼が働く会社・宝栄ビルサービスの面々も同様に、音楽や芝居、マンガなどさまざまな夢を抱えながら働いている。20代前後の人間が多い中、40代で小説家を夢見る萩原は、社長の実弟で専務・奥田に目をつけられて、いびられている。
そんなある日、若いながらベテランの保雄と新人の井上、萩原が組んで作業する仕事に手違いがあり、その所為で、保雄が大怪我を負ってしまい、萩原は会社を辞めた。その後、彼は新たに会社を起こしたが……『青空のルーレット』、
オートバイに乗る酒屋の少年とほのかな恋を育んでいた多輝子。周囲からはグレたと勘違いされる中、彼はバイク事故死してしまい、彼女は世界を閉ざしてしまう。自殺を思い立ってさまよう彼女は、たまたまラジオで聴いた曲に心を動かされ……『多輝子ちゃん』の2編収録。

青春だなぁ、としみじみ感じる1冊でした。
個人的にはどちらかというと“星空派”ですが(笑)。

<08/4/25>

『別冊 図書館戦争 Ⅰ』有川浩(アスキー・メディアワークス)

2008-04-24 | 読了本(小説、エッセイ等)
近くの病院に転院してきた堂上を、毎日のように見舞う郁。りんごを剥いてあげたり(実際に剥けているかはさておき)と、すっかり恋人気分なふたり。やがて堂上も無事退院し、仕事に復帰した頃、図書館で本の盗難事件が多発。どうやら犯人は同一人物とみられることから、罠を仕掛けて……一、「明日はときどき血の雨が降るでしょう」、
正月。実家に帰る気になれず寮に居残っていた郁の元に、堂上の携帯から電話が。しかしそこから聞こえてきたのは何故か女性の声……実はそれは堂上の妹・静佳からの電話だったのだ。そんなこんなで郁の存在が彼の家に知られ、挨拶に行くことに……二、「一番欲しいものは何ですか?」、
二月。付き合い始めて半年も経つのに、恋愛経験のなさからキスから先に進むことを躊躇する郁。そんな彼女に触れようとした堂上を思わず避けてしまったことから、ふたりの仲はギクシャク。そんな中、図書館で催涙ガスが撒かれる事態が発生。建物内に聴覚障害の子どもが取り残されていることを知った郁は、思わず助けに戻ってしまい……三、「触りたい・触られたい二月」、
ようやく結ばれたふたり。けれどうっかりスポーツブラをつけてきてしまった郁は、途中でコンビニに買いに出かけようとしたり、行為に慣れていない為、堂上の肩に噛み付いてしまったり…。一方、図書館では、いろんな所にお菓子を隠しては、図書館内に“秘密基地”を作ろうとしている少年がやってきていて……四、「こらえる声」、
他の図書隊のカップルのように、ふたりで一緒に部屋を借りたいと持ち掛けた郁の言葉を、堂上に即座に却下。そんな彼の態度に郁が拗ねてしまった為に、気まずい雰囲気になってしまう。一方郁は、図書館で中学生が吐いた暴言がきっかけで、彼ら影響されたという作家・木島ジンの存在を知る。彼はあえてメディア良化委員会の示す“違反語”を用いずに、際どい内容の作品を発表しているという……五、「シアワセになりましょう」の5話収録。

図書館戦争スピンオフ・第1弾。ふたりの結婚までの道のり編(笑)。
……もう、ベタ甘です。
いろいろ名言(迷言?)、読みどころ満載な1冊でした。
第2弾は、どの辺に焦点があたるのか楽しみ~。

<08/4/24>

『星空放送局』中村航/宮尾和孝(小学館)

2008-04-23 | 読了本(小説、エッセイ等)
牛乳が大好きな少女が手紙を綴る。それはいつも牛乳配達ををしてくれる少年へ宛てた、出すことのない手紙……『第一話 出さない手紙』、
月からやってきたといううさぎと友達になったカラス。そのうさぎの為に、懸命に月を探すカラスだったが……『第二話 カラスは月へ』、
リスナーからのリクエストに応えて、夜空をデザインする“星空放送局”。そこに今回届いた依頼は、あるおばあさん思いの少女からのもので、おばあさんが昔見た彗星をもう一度見せてあげたいというもの。ところがその彗星を打ち上げる為のある部品が足りず、リスナーに向かって、それを運んできて欲しいと呼びかけて……『第三話 星空放送局』の3話収録。

宮尾和孝さんの画によるほのぼのとした素敵な絵本。夜が似合います。
お話は3つに分かれてますが、内容はリンクしていたり。
これまでの中村作品に登場するキャラクターもちらほら登場しているのが、ちょっと楽しいです。

<08/4/23>

『鼓笛隊の襲来』三崎亜記(光文社)

2008-04-23 | 読了本(小説、エッセイ等)
赤道上に発生した戦後最大級の“鼓笛隊”が上陸。勢力を拡大しながら迫っていた。周辺住民が避難する中、私達一家だけは避難せず、義母とともに家で過ごすことに……『鼓笛隊の襲来』、
ある朝、目覚めると共に、恋人を失ったという強烈な喪失感を覚えた私。しかし肝心な恋人の記憶が私にはない。そんな喪失感だけを抱えて歩いていた私はふと目にとめたギャラリーで“彼女の痕跡展”という展示がされているのを見て……『彼女の痕跡展』、
世間で労働者が覆面をつける権利を確立した昨今。ある日、同僚の由香里は、覆面をつけて出社。名も変え、新入社員のように振る舞い始めるが……『覆面社員』、
かつては新興住宅街だった、私が住む街の公園に、新しい遊具“象さんすべり台”が置かれるという。それは本物の象のすべり台で……『象さんすべり台のある街』、
彼女の背中には、“ボタン”があった。それを押すとどうなるのかは、誰にもわからない。僕はかつて同じようにボタンがついている女性を見た事があり……『突起型選択装置(ボタン)』、
友人・高橋と連絡が取れず、自宅に電話をかけると、彼の妻がいった。“美見ることはできるかもしれませんが、会うことはおそらくできない”と。不思議に思いながら、彼の家を訪れた私は見たものは……『「欠陥」住宅』、
私と雄二は遠距離恋愛中。住んでいるのは隣町なのだが、彼の住んでいるのは、空に浮かんでいる町“浮遊都市”なのだった……『遠距離・恋愛』、
娘の授業参観で出かけた、かつての母校の校庭の真ん中に1軒の家が建っているのを見かけた私。しかし他の人たちは見えていない様子。授業参観の教室でも、同様に誰にも相手にされていない少女の姿を見た私は……『校庭』、
5年前の2月3日。忽然と消え失せてしまった電車に、たまたま乗り合わせていた恋人・聡史を待ち続ける私は……『同じ夜空を見上げて』の9編収録の短編集。

ちょっと不思議な設定の中で展開されるお話たち。あいかわらず組み合わせの妙が光ってます。
この中では『鼓笛隊~』と『同じ夜空~』が好きかな。

<08/4/23>

『濱次お役者双六 花合せ』田牧大和(講談社)

2008-04-22 | 読了本(小説、エッセイ等)
江戸歌舞伎の芝居小屋・森田屋で、女形をつとめる大部屋役者・梅村濱次。姿も良く、才能もあり、密かに座元の森田勘弥らにも期待をかけられているもののいまひとつやる気が感じられず、唯一興味を示すのは“怨霊事”の芝居ばかり。
今回の新作の芝居でも、稽古している最中に、脇役のはずが、つい幽霊である主役の踊りを踊ってしまい、怒られる始末。
気分を変えようと、師匠である有島仙扇の元を訪れた濱次は、その帰り道に、見知らぬ町娘から奇妙な蕾のついた鉢を押し付けられる。濱次が小屋に持ち帰ったそれを見た下っ端・清助は、それが変化朝顔であることを見抜き、濱次に内緒で、“花合せ”(品評会)の場に出品する。ところがその後、何者かにその朝顔の鉢を盗まれてしまい……

時代物のミステリですが、わりと軽めなテイストで読み易いかも。
キャラクター的には仙扇さんがおちゃめで素敵v
続きそうな気配なので(だから“双六”なのでしょう…ねぇ)、濱次の役者としての成長にも期待♪
……某幽霊の活躍にも(笑)。

<08/4/22>