黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『星空放送局』中村航/宮尾和孝(小学館)

2008-04-23 | 読了本(小説、エッセイ等)
牛乳が大好きな少女が手紙を綴る。それはいつも牛乳配達ををしてくれる少年へ宛てた、出すことのない手紙……『第一話 出さない手紙』、
月からやってきたといううさぎと友達になったカラス。そのうさぎの為に、懸命に月を探すカラスだったが……『第二話 カラスは月へ』、
リスナーからのリクエストに応えて、夜空をデザインする“星空放送局”。そこに今回届いた依頼は、あるおばあさん思いの少女からのもので、おばあさんが昔見た彗星をもう一度見せてあげたいというもの。ところがその彗星を打ち上げる為のある部品が足りず、リスナーに向かって、それを運んできて欲しいと呼びかけて……『第三話 星空放送局』の3話収録。

宮尾和孝さんの画によるほのぼのとした素敵な絵本。夜が似合います。
お話は3つに分かれてますが、内容はリンクしていたり。
これまでの中村作品に登場するキャラクターもちらほら登場しているのが、ちょっと楽しいです。

<08/4/23>

『鼓笛隊の襲来』三崎亜記(光文社)

2008-04-23 | 読了本(小説、エッセイ等)
赤道上に発生した戦後最大級の“鼓笛隊”が上陸。勢力を拡大しながら迫っていた。周辺住民が避難する中、私達一家だけは避難せず、義母とともに家で過ごすことに……『鼓笛隊の襲来』、
ある朝、目覚めると共に、恋人を失ったという強烈な喪失感を覚えた私。しかし肝心な恋人の記憶が私にはない。そんな喪失感だけを抱えて歩いていた私はふと目にとめたギャラリーで“彼女の痕跡展”という展示がされているのを見て……『彼女の痕跡展』、
世間で労働者が覆面をつける権利を確立した昨今。ある日、同僚の由香里は、覆面をつけて出社。名も変え、新入社員のように振る舞い始めるが……『覆面社員』、
かつては新興住宅街だった、私が住む街の公園に、新しい遊具“象さんすべり台”が置かれるという。それは本物の象のすべり台で……『象さんすべり台のある街』、
彼女の背中には、“ボタン”があった。それを押すとどうなるのかは、誰にもわからない。僕はかつて同じようにボタンがついている女性を見た事があり……『突起型選択装置(ボタン)』、
友人・高橋と連絡が取れず、自宅に電話をかけると、彼の妻がいった。“美見ることはできるかもしれませんが、会うことはおそらくできない”と。不思議に思いながら、彼の家を訪れた私は見たものは……『「欠陥」住宅』、
私と雄二は遠距離恋愛中。住んでいるのは隣町なのだが、彼の住んでいるのは、空に浮かんでいる町“浮遊都市”なのだった……『遠距離・恋愛』、
娘の授業参観で出かけた、かつての母校の校庭の真ん中に1軒の家が建っているのを見かけた私。しかし他の人たちは見えていない様子。授業参観の教室でも、同様に誰にも相手にされていない少女の姿を見た私は……『校庭』、
5年前の2月3日。忽然と消え失せてしまった電車に、たまたま乗り合わせていた恋人・聡史を待ち続ける私は……『同じ夜空を見上げて』の9編収録の短編集。

ちょっと不思議な設定の中で展開されるお話たち。あいかわらず組み合わせの妙が光ってます。
この中では『鼓笛隊~』と『同じ夜空~』が好きかな。

<08/4/23>