黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『楽園の蝶』柳広司(角川書店)

2013-07-18 | 読了本(小説、エッセイ等)
1942年。東京で主義者狩りに遭い、あっけなく転向した青年・朝比奈英一は、実家の京都に戻ったものの身の置き場や周囲の目に困り、満州映画協会に脚本家として潜り込もうと、海を渡った。
しかし到着早々、ドイツ帰りの若き女性監督・桐谷サカエからは、満州のことが全くわかっていない上に、ベタな内容だと駄目出しされ、ことごとく没をくらう。
そんな中、撮影所内で起きていた幽霊騒ぎを解決した探偵もどきの腕を買われ、いっそ探偵物を書いてはどうかと提案される。
それにあたり、満州に疎い彼は、中国人のスタッフの陳雲と組んで、脚本を仕上げることに。折しも故郷から出てきたという陳の美人の妹・桂花も加え、怪人二十面相風の話を作り上げてゆくことに……

1942年の満映が舞台。甘粕やら石井やら怪しげな輩は暗躍する中で、探偵映画の脚本を手がけることになった青年の話。
当時のあやうい満州の雰囲気は魅力的だったのですが、D機関シリーズ的な切れ味を期待するとちょっとがっかりするかも。
あちこちのエピソードがちょっと物足らない感のまま、終わってしまったのが残念な感じ。

<13/7/17,18>