黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『猿若町捕物帳 土蛍』近藤史恵(光文社)

2013-07-12 | 読了本(小説、エッセイ等)
同心・玉島千蔭のもとに、諏訪町の長屋の差配人・銀治という男から頼み事が持ち込まれた。
彼の店子である新粉細工師の長六・良江夫婦と、良江の兄・作二郎の諍いを仲裁して欲しい、という。
作二郎は博打好きで小伝馬町の牢に入ったこともある身持ちの悪い男。良江は牢に入っている間に、姿を消していたのだが、伯母が居場所をもらしてしまい、以来たびたび金をせびりにきているらしい。
一方、吉原で火事が起き、その被害に遭った青柳屋の花魁・梅が枝が、他の遊女たちと武家屋敷に避難しているという話を聞いた千蔭。気になりつつも、なかなか見舞いに行くことができずにいた。
そんな中、千蔭が作二郎と会いに行く前に、銀治が何者かに殺されてしまい、千蔭は捜査に乗り出すが……“むじな菊”、
巷で髷を切られるという事件が続いていた。その四件目の被害者である、北大門町の油屋井筒屋の手代・伴蔵に話を訊きに出かけた千蔭。その帰り、中村座付きの作者・桜田利吉と娘が橋の上で言い争うのを止めたが、夕方、利吉が相談に現れた。
先の娘は、破門された兄弟子・利十郎の妹・お鈴。他に身寄りのない兄妹のふたり暮らしだが、利十郎こと権三は博打好き。巴之丞が借金を代わりに返しても、すぐに借金を作る始末で既に見放されているらしい。どうやらお鈴を吉原に売るつもりらしい権三。そんなお鈴を玉島家でしばらく預かることにしたが……“だんまり”、
中村座を訪れた千蔭は、人気女形・水木巴之丞から梅が枝の身請け話を聞かされる。
二ヶ月ほど前、火事で焼け出された折に身を寄せていた屋敷の主・旗本の小野外記が身請けするというのだが、彼は梅が枝の同輩の遊女・雛鶴のなじみであったはず。他の女に心移りを嫌う世界であるはずなのに、何故。
一方、上方から中村座にやってきた岩井杉蔵は、女ぐせが悪く、あちこちに女を作っては捨てているという評判の悪い男だが、役者としての腕は確かなため、巴之丞も強く言えないでいる様子。
そんな中、杉蔵の弟子・新八が舞台のスッポンで首をくくるという事件が発生。女房のおりょうは杉蔵の女だったが、彼の子どもができるとともに捨てられたところで、新八が所帯を持ったという。しかし新八はそんな境遇を不満に思うことなく、むしろ喜んでいたというのだが……“土蛍”、
怪我をして大工をやめ、棒手振りの八百屋をしていた直吉。しかし客がつかない貧乏暮らしで、みなに見放される中、隣に棲むはる坊だけがやさしく接してくれた。
ある日、同じ長屋の後家・お米から富くじを一緒に買わないかという話を持ちかけられた直吉だったが、その後土左衛門となって見つかる。お米から富くじの話を聞いた千蔭はその行方を探すことに……“はずれくじ”の4編収録。

シリーズ第5弾。かなり久々ですね~。
千蔭も年の離れた異母妹・おたつが生まれて、べた甘っぽいですが、その所為か全体的に話に艶っぽさがなくなっているような;
書き下ろしの「はずれくじ」は、後味の悪さもあってやや微妙かな。

<13/7/12>