黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『ぬいぐるみ警部の帰還』西澤保彦(東京創元社)

2013-07-05 | 読了本(小説、エッセイ等)
被害者の清水上美寿々は、<アクアピュア・グループ>という洋菓子店から始まったカフェやホテル経営などを手がける会社の経営者一族の娘(前妻の連れ子)。
父・慶次の書斎で、全裸で扼殺されている発見された。両親は彼女がプレゼントしたハワイ旅行にでかけており留守。しかもなぜか誰も開け方を知らない先代所有の金庫が開いていた。
ぬいぐるみ好きなイケメン警部・音無美紀は、三体のウサギのぬいぐるみの存在を気にして……“ウサギの寝床”、
<聖ベアトリス女子学園>に通う女子高生・橋都麻穂が、自転車走行中に何者かに金属バットで殴られ殺害された。そんな彼女はなぜか、<市立貴泉中学校>の錫村恭平という生徒の生徒手帳を所持。彼は野球部のピッチャーとして、将来を嘱望されていたが、去年彼女同様に殴殺されていた。彼らには接点はないというのに、何故彼女はその生徒手帳を持っていたのか。
クールビューティな刑事・則武佐智枝は、無能なおぼっちゃまだとおもっていた音無に、ひょんなことから惚れてしまい、密かに妄想を繰り広げるが……“サイクル・キッズ・リターン”、
<スマート・イン>というコンビニの従業員・平和達樹が殺害された。
生活感のない彼の部屋には、本人は飲まないはずの缶コーヒーがあり、12年前に出された限定商品であるクマのぬいぐるみを自分の柩に入れて欲しいという彼のメモが遺されていた。
そんな被害者のダイイングメッセージは「C」……“類似の伝言”、
親が所有するマンションで、絵を描いていた青年・長谷尾翔市が殺害され、隣人の飯沼幸枝が通報した。
その場には押鐘由美子名義のカードが残されており、長谷尾が何枚も描いていた黒衣の女性のモデルがその人物なのではないかと話を訊きにゆく、音無たち。
だが、以前出席した葬儀で彼らしき男に声をかけられたものの、モデルは引き受けていないという……“レイディ・イン・ブラック”、
佐野谷元博の電話に、妻の麻弥の携帯電話から「女房はあずかった」と電話が入った。
相手の要求通りに行動する佐野谷だったが、行き着いたマンションで麻弥は殺害された。犯人は母・琴子の介護ヘルパーとして家に出入りしていた丘岬富美子だと確信した彼が逆上、その場にいた彼女を麻弥の殺害に使われたロープで返り討ちにしてしまい……“誘拐の裏手”の5編。

犯人当て小説『お弁当ぐるぐる』に登場したぬいぐるみに並々ならぬ愛情を注ぐイケメン警部たちが再登場するミステリ。
一人称ではない分、前ほど妄想垂れ流しではないので、ちょっと暴走が薄まってる印象ですね(笑)。

<13/7/5>