黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『スタッキング可能』松田青子(河出書房新社)

2013-07-11 | 読了本(小説、エッセイ等)
職場や社会で自分たちに興味を見せない女たちをレズビアンと決めつけ、彼女たちに受けた仕打ちのストレスを解消する場をレズビアン会議と呼ぶ、A田B田。
男にがっかりしつづけてきたことから、その絶望ゆえにあえて反対のことをして戦う『わたし』。
部署のチームリーダーがあまりにもオランウータン的で、何を言っているのかわからず悩む新人C田。
会議室のイスを重ね終えたD田はエレベーターに乗ろうとボタンを押した。同じチームのJ田が後から来たが、持っていたエコバッグが見あたらないと騒ぐ相手に生返事。
女子B野とF野とG野の会話を聴きつつ、理解不能さをおぼえるE野……“スタッキング可能”、
<全国地域婦人団体連絡協議会>通称:ちふれ。女性が団体を結成したらちふれだと名乗ってもいいのだ、自分たちもちふれの一員だと称するAとB。化粧品やデパートや飲食店の店員へのあれこれについてのふたりの主張は……“ウォータープルーフ嘘ばっかり!”、
マーガレットは植えた。バラの花を、スミレの花を、スズランの花を。
人と関わることに疲れていた。誰ともしゃべらなくていい仕事がしたかったマーガレットが見つけた仕事は、送られてくるあらゆるものを植えることだった……“マーガレットは植える”、
公園で会話する小学生女子AとBは、以前「ウォータープルーフ嘘ばっかり!」と叫んでいたおばさんたちを最近見かけないと話題にする。そこへ……“ウォータープルーフ嘘ばっかり!”、
もうすぐ結婚する女に会うべく、もうすぐ結婚する女のいるビルにやってきた私。
中学生の頃からのつきあいで高校生になってから親しくなったもうすぐ結婚する女。
高校卒業後も、半年に一、二度会っていたが、ある時自分はもうすぐ結婚する女になったと私に告げた……“もうすぐ結婚する女”、
ちふれのAとB。社会にはびこる嘘をあばくために日夜活動している。
土偶展の行列に喜びを感じる、マスカラボトルの透明性を訴える……“ウォータープルーフ嘘ばっかりじゃない!”の6編収録。

表題作は、ある会社の中での群像劇的なお話。ウォータープルーフ~は、コントというか戯曲的な掌編。
概ね匿名性の中で描かれています。
かなり独特ですが、どれも短くテンポよく読める感じで面白いです。

<13/7/11>