黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『ときぐすり』畠中恵(文藝春秋)

2013-07-10 | 読了本(小説、エッセイ等)
妻のお寿ずに先立たれた麻之助は、彼女と血のつながりのあるおこ乃をたびたび見間違えたりし、心ここにあらずという感じ。
そんな中、幼なじみの町名主・八木清十郎を通して、ある相談ごとが持ち込まれた。三月前に八木家支配町に若い医者・太源が越してきた。彼は眠れる薬として甘夢仁湯を売るというが、その所為か亡くなるものがたびたび出たという。しかし確たる証拠もなく、また彼の師が大名お抱えであることから、うかつに訴えることができないという……『朝を覚えず』、
清十郎が親戚たちが持ち込んだ見合い話の席から逃げだし、謎の失踪を遂げた。
彼の文机の横の籠からは、謎めいた書き損じが見つかり、それを手がかりに行方を探ることになった麻之助たちだったが……『たからづくし』、
盛り場の顔役・貞が、手下三人を引き連れて、麻之助の元に相談にやってきた。麻之助の幼なじみである同心見習い吉五郎のことだという。
手下三人…銀次、権助、岩太の三人は、それぞれ美男だが、先頃みな振られたらしい。両国橋界隈で人気を博している、団子屋のおきん、汁粉屋のお紺、煎餅屋のお寛がその相手。彼女たちと親しくなろうと思っていたが、どうやら意中の男がいるという。その相手が、吉五郎だというのだ。
微妙な立場にいる彼は、下手な噂で相馬家の養子縁組の話をを解かれては大変と、事実を調べることに……『きんこんかん』、
父の宗右衛門から、町名主の仕事を押し付けられた麻之助。
瀬戸物問屋小西屋と茶問屋増田屋の息子たちが、くだらぬことで言い争いをしているというのだが、そもそも親同士、さらには店ぐるみで対立しているらしい。麻之助が一度は話を収めたのだが、今度は息子二人…小西屋の彦六と増田屋の久七が泣きついてきた。
持参金目当てで、裕福な菓子司嶋屋のわがまま娘・緒すなと彦六の縁談が持ち上がり、そこに増田屋の久七の縁談も持ち込まれたという。しかし、ふたりとも彼女との縁談に乗り気ではなく……『すこたん』、
高利貸しの丸三が、高橋家に相談にやってきた。吉五郎のことが心配だという。
彼の店の手代・庄吉が、有名な菓子屋金沢丹後で彼を見かけ、さらに奉行所につてのある武家・井草庄五郎によると、吉五郎は仕事が終わった途端に、どこかに姿を消してしまうらしい。
早速、丸三とともに後を付けることにした麻之助。彼はどこかに通っている様子で……『ともすぎ』、
高橋家の猫・ふにが木に登って降りれなくなった。麻之助は自分で登ろうとするが長屋の人々に止められる。そこへ滝助という少年が現れ、ふにを助け、その代わりに相談に乗ることになった麻之助。
巾着切りの男に拾われ、飯炊きに使われていたという彼は、これからどうやって暮らせばよいのかわからないという。
翌日、吉五郎から、滝助が世話になっていたらしき賊の若頭たちが江戸に来るという話を聞かされた麻之助。そんな中、滝助は、先頃息子を病で亡くしたばかりの袋物師の数吉と、ひとりで暮らすむめ婆さんの元に身を寄せることになり……『ときぐすり』、の6編収録。

シリーズ第4弾。前作でお寿ずたちを亡くした麻之助。その後はどうなるのかと心配していたのですが…『朝を~』での姿はかなり痛々しい;;
それでも周囲に支えられ、ちょっとずつ様が見れて安心しました。

<13/7/9,10>