iPodがあそこまでヒットしたのは、「スローライフ」を志向していたからだ・・・そう言うコラムを見かけました。
スローライフを志向するiPodの強み CNET
たまにネタに使わせてもらっている森氏のコラムですが、今回の記事はちょっと賛同できません。
森氏は、iPodよりも日本産のプレイヤーの方が、機能的にも楽曲提供の形でも、機能的には先行していることを認めた上で、
しかしながら、それら日本製の「ハイテク」プレイヤーとiPodとの間には、競争力という点でいかんせん動かしがたい何かがある気がしてならなかった。そんなもやもやとした疑問を吹き飛ばしてくれたのは、本家Appleの方の「iPodはスローライフを目指しているんです」という一言だった。
今の携帯のように、様々な機能をつけない。シンプルな機能で勝負する、と言うことらしい。筆者は
機能の高度化や複数機能の集積化を「当然」として考えてきた日本家電メーカーの人間にとっては、逆転の、目からウロコ的な発想であろう。
として、そのスローライフ志向を絶賛しています。
ちょっと待って欲しい。
iPodは、ついこの間、iPod Photoとの統合が終わり、写真ビューワとしての機能を持つようになりました。さらに、元々iPodにはテキストビューワも付いています。
また、iTunesが高機能ではないかと言われると、首をかしげざるを得ません。ポッドキャストやTMSへの接続、CD-Rのライティング機能などを考えると、むしろ複雑化、高テクノロジー化しているとは思えないでしょうか。
そりゃ、FMラジオやボイスレコーダーは付いていないけれど。
前にも書きましたが、iPodの成功は、日本のメーカーの物よりも、数段優れたユーザーへの利便性への配慮だと思います。別にスローライフだとか、単機能だからとか言う問題では無かったと思うのです。
まず、アップルがiPodでMP3プレイヤーの市場を開拓したこと。追随した日本のメーカーが、MP3という選択肢を与えず、独自形式でのみ使用できるような仕様にしたこと。
現在もですが、良くも悪くも、MP3が圧縮音源としてのディファクトスタンダードなのです。それを切り捨てるということは、ユーザーの利便性を無視すると言うことも同じ。それではダメだろう、実際にダメだったわけですが。
で、結局HDDプレイヤーはiPod一人勝ちなんですけど、おもしろいことにシリコンプレイヤーの場合はそうでもないんですよね。
カカクコムとかみてみますと、最近出たネットワークウォークマンのほうがShuffleよりも売れているんです。シンプルという点で言えば、Shuffleの方が圧倒的にシンプルですよね。
これは、単純にShuffleよりも便利だから、利便性が高いから売れているのだと言ってしまえば良いんじゃないかと。
ある意味Shuffleはスローライフの究極みたいな形(枯れた技術、廉価、単機能)ですけども、多くの人がウォークマンを選んでいる。そりゃ液晶が付いていたほうが便利ですよね。電池が持つ方がいいですよね。総合的に便利ですよね、と言う話でしょう。
HDDプレイヤーの時は、利便性でも時期的にも、iPodが数歩前をいっていた。ですが、シリコンではSonyもMP3に対応してきたこと、Shuffleの投入時期の関係もあり、両者ともほぼ横並びでのスタートとなったわけです。
シンプルがいいというのなら、携帯だって別にTUKAで良いじゃない。でもDOCOMOとauが勝ち組。便利だから。
結局、ヒットする商品は「大多数のニーズの最大公約数であること」。HDDはiPodだったし、シリコンではネットワークウォークマンだったと言うこと。複雑だろうがシンプルだろうが、結局は大枠の利便性が問題であって、複雑でも使いやすければ問題なく、シンプルでも機能が足りなければダメなのです。そこには、コラム冒頭の「サル化」とかそう言う問題ではなく、もっと単純な原理だと思うのですが。
最終的には、デジタルオーディオも、今のMD・CDプレイヤーのように、機能が似通ってくるでしょう。結局は携帯に取り込まれるという可能性だってあるわけです。
どの方向性が選択されるのか。まだ結論を出すには早いような気がしますけど。
スローライフを志向するiPodの強み CNET
たまにネタに使わせてもらっている森氏のコラムですが、今回の記事はちょっと賛同できません。
森氏は、iPodよりも日本産のプレイヤーの方が、機能的にも楽曲提供の形でも、機能的には先行していることを認めた上で、
しかしながら、それら日本製の「ハイテク」プレイヤーとiPodとの間には、競争力という点でいかんせん動かしがたい何かがある気がしてならなかった。そんなもやもやとした疑問を吹き飛ばしてくれたのは、本家Appleの方の「iPodはスローライフを目指しているんです」という一言だった。
今の携帯のように、様々な機能をつけない。シンプルな機能で勝負する、と言うことらしい。筆者は
機能の高度化や複数機能の集積化を「当然」として考えてきた日本家電メーカーの人間にとっては、逆転の、目からウロコ的な発想であろう。
として、そのスローライフ志向を絶賛しています。
ちょっと待って欲しい。
iPodは、ついこの間、iPod Photoとの統合が終わり、写真ビューワとしての機能を持つようになりました。さらに、元々iPodにはテキストビューワも付いています。
また、iTunesが高機能ではないかと言われると、首をかしげざるを得ません。ポッドキャストやTMSへの接続、CD-Rのライティング機能などを考えると、むしろ複雑化、高テクノロジー化しているとは思えないでしょうか。
そりゃ、FMラジオやボイスレコーダーは付いていないけれど。
前にも書きましたが、iPodの成功は、日本のメーカーの物よりも、数段優れたユーザーへの利便性への配慮だと思います。別にスローライフだとか、単機能だからとか言う問題では無かったと思うのです。
まず、アップルがiPodでMP3プレイヤーの市場を開拓したこと。追随した日本のメーカーが、MP3という選択肢を与えず、独自形式でのみ使用できるような仕様にしたこと。
現在もですが、良くも悪くも、MP3が圧縮音源としてのディファクトスタンダードなのです。それを切り捨てるということは、ユーザーの利便性を無視すると言うことも同じ。それではダメだろう、実際にダメだったわけですが。
で、結局HDDプレイヤーはiPod一人勝ちなんですけど、おもしろいことにシリコンプレイヤーの場合はそうでもないんですよね。
カカクコムとかみてみますと、最近出たネットワークウォークマンのほうがShuffleよりも売れているんです。シンプルという点で言えば、Shuffleの方が圧倒的にシンプルですよね。
これは、単純にShuffleよりも便利だから、利便性が高いから売れているのだと言ってしまえば良いんじゃないかと。
ある意味Shuffleはスローライフの究極みたいな形(枯れた技術、廉価、単機能)ですけども、多くの人がウォークマンを選んでいる。そりゃ液晶が付いていたほうが便利ですよね。電池が持つ方がいいですよね。総合的に便利ですよね、と言う話でしょう。
HDDプレイヤーの時は、利便性でも時期的にも、iPodが数歩前をいっていた。ですが、シリコンではSonyもMP3に対応してきたこと、Shuffleの投入時期の関係もあり、両者ともほぼ横並びでのスタートとなったわけです。
シンプルがいいというのなら、携帯だって別にTUKAで良いじゃない。でもDOCOMOとauが勝ち組。便利だから。
結局、ヒットする商品は「大多数のニーズの最大公約数であること」。HDDはiPodだったし、シリコンではネットワークウォークマンだったと言うこと。複雑だろうがシンプルだろうが、結局は大枠の利便性が問題であって、複雑でも使いやすければ問題なく、シンプルでも機能が足りなければダメなのです。そこには、コラム冒頭の「サル化」とかそう言う問題ではなく、もっと単純な原理だと思うのですが。
最終的には、デジタルオーディオも、今のMD・CDプレイヤーのように、機能が似通ってくるでしょう。結局は携帯に取り込まれるという可能性だってあるわけです。
どの方向性が選択されるのか。まだ結論を出すには早いような気がしますけど。