Cafe de Kerm ~毒味ブログ~

物言いにも、珈琲にも、もれなく毒が混入している可能性が無いこともないです。

とうとうブラウザが販促グッズに

2005-08-20 15:22:41 | Weblog
 最近は、インターネットでの新製品キャンペーンや、懸賞の応募受付がごく当たり前になってきました。その時に、ごく当たり前に目にするのが、デジタルノベルティー・・・電子おまけとでも言いますか、要するに製品の販促グッズのデジタル版です。

 多い物は壁紙、時計や付箋紙のようなちょっとしたアクセサリが主で、ちょっと使いにくい物が多かった用に思います。
 時計なんて、わざわざデスクトップに表示しなくたって、タスクバーについてますし。むやみに大きい場合が多いので、デスクトップを占有されたり、作業中のウインドウに隠れてしまって見えないことも多々あります。

 さて、そんなデジタルノベルティーに新たなアプローチが提案されました。

 Lunascape、トヨタ「マークX」ユーザー向け専用ブラウザ「X-Browser」提供  INTERNET Watch

 X-Browserは、タブブラウザ「Lunascape3」をベースとして、マークXのコンセプトを取り入れた専用のデザインを実装したWebブラウザ。トヨタ車の公式サイトやキャンペーン情報などがお気に入りやRSSティッカーにあらかじめ登録されているほか、X-Browser専用のポータルサイト(toyota.luna.tv)が用意されている。

X-Browzer

 見てみると、黒を基調にしたなかなか格好いいデザインです。ポータルサイトやRSSが最初から登録されていることを除けば、MarkXをとくに主張しているわけでもありませんので、普通に使っていても違和感はなさそうです。

 確かに、タブブラウザがフリー、シェア問わずに大量流布し、ユーザーにとっては選択肢が多く与えられるようになっています。このような、販売促進ツールとしての使い方も一つの手として評価される物だと思います。

 この戦略についての私の印象としては、とうとう、という感想が一番大きいですが、こういう手もあったかと言う感嘆もあります。

 ブラウザの様に「毎日、頻繁に使う物」が促販ツールとなるのは確かに合理的。ホビーユーザーにとって、一番向き合うのがブラウザという人間は多いでしょうから、効果としては大きいように思います。メインで使う物ですから、他の作業の邪魔にはなり得ませんからね。
 もちろん、いつも使う物だから、できるだけ控えめに・・・というのは前提として。

 果たしてこの戦略は根付くのでしょうか?
 今度のIEはタブブラウザになるそうですが、もしもスキンが使えたならば、もっと手軽にブラウザに”主張させる”事ができそうです。そうすれば、今回のような”ソフトの提供”よりも、ずっとハードル(提供側、ユーザー側双方)は下がるでしょう。それでいて同じような結果が得られるのですから、”有り”だと思うのですが。

 何にせよ、今回の試みはおもしろいと思います。今後の展開も含めて、やや気になるニュースですね。

iPodとスローライフ

2005-08-20 05:25:21 | Weblog
 iPodがあそこまでヒットしたのは、「スローライフ」を志向していたからだ・・・そう言うコラムを見かけました。

スローライフを志向するiPodの強み CNET

 たまにネタに使わせてもらっている森氏のコラムですが、今回の記事はちょっと賛同できません。

 森氏は、iPodよりも日本産のプレイヤーの方が、機能的にも楽曲提供の形でも、機能的には先行していることを認めた上で、

 しかしながら、それら日本製の「ハイテク」プレイヤーとiPodとの間には、競争力という点でいかんせん動かしがたい何かがある気がしてならなかった。そんなもやもやとした疑問を吹き飛ばしてくれたのは、本家Appleの方の「iPodはスローライフを目指しているんです」という一言だった。

 今の携帯のように、様々な機能をつけない。シンプルな機能で勝負する、と言うことらしい。筆者は

機能の高度化や複数機能の集積化を「当然」として考えてきた日本家電メーカーの人間にとっては、逆転の、目からウロコ的な発想であろう。

として、そのスローライフ志向を絶賛しています。

 ちょっと待って欲しい。
 iPodは、ついこの間、iPod Photoとの統合が終わり、写真ビューワとしての機能を持つようになりました。さらに、元々iPodにはテキストビューワも付いています。
 また、iTunesが高機能ではないかと言われると、首をかしげざるを得ません。ポッドキャストやTMSへの接続、CD-Rのライティング機能などを考えると、むしろ複雑化、高テクノロジー化しているとは思えないでしょうか。
 そりゃ、FMラジオやボイスレコーダーは付いていないけれど。

 前にも書きましたが、iPodの成功は、日本のメーカーの物よりも、数段優れたユーザーへの利便性への配慮だと思います。別にスローライフだとか、単機能だからとか言う問題では無かったと思うのです。

 まず、アップルがiPodでMP3プレイヤーの市場を開拓したこと。追随した日本のメーカーが、MP3という選択肢を与えず、独自形式でのみ使用できるような仕様にしたこと。
 現在もですが、良くも悪くも、MP3が圧縮音源としてのディファクトスタンダードなのです。それを切り捨てるということは、ユーザーの利便性を無視すると言うことも同じ。それではダメだろう、実際にダメだったわけですが。

 で、結局HDDプレイヤーはiPod一人勝ちなんですけど、おもしろいことにシリコンプレイヤーの場合はそうでもないんですよね。

 カカクコムとかみてみますと、最近出たネットワークウォークマンのほうがShuffleよりも売れているんです。シンプルという点で言えば、Shuffleの方が圧倒的にシンプルですよね。
 これは、単純にShuffleよりも便利だから、利便性が高いから売れているのだと言ってしまえば良いんじゃないかと。
 ある意味Shuffleはスローライフの究極みたいな形(枯れた技術、廉価、単機能)ですけども、多くの人がウォークマンを選んでいる。そりゃ液晶が付いていたほうが便利ですよね。電池が持つ方がいいですよね。総合的に便利ですよね、と言う話でしょう。

 HDDプレイヤーの時は、利便性でも時期的にも、iPodが数歩前をいっていた。ですが、シリコンではSonyもMP3に対応してきたこと、Shuffleの投入時期の関係もあり、両者ともほぼ横並びでのスタートとなったわけです。

 シンプルがいいというのなら、携帯だって別にTUKAで良いじゃない。でもDOCOMOとauが勝ち組。便利だから。

 結局、ヒットする商品は「大多数のニーズの最大公約数であること」。HDDはiPodだったし、シリコンではネットワークウォークマンだったと言うこと。複雑だろうがシンプルだろうが、結局は大枠の利便性が問題であって、複雑でも使いやすければ問題なく、シンプルでも機能が足りなければダメなのです。そこには、コラム冒頭の「サル化」とかそう言う問題ではなく、もっと単純な原理だと思うのですが。

 最終的には、デジタルオーディオも、今のMD・CDプレイヤーのように、機能が似通ってくるでしょう。結局は携帯に取り込まれるという可能性だってあるわけです。
 どの方向性が選択されるのか。まだ結論を出すには早いような気がしますけど。